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  • 『炎と血』は『ゲーム・オブ・スローンズ』前史を描き出す架空の一大歴史書だ!

    2021-02-24 16:28  
    50pt

     きょうもファンタジー小説の話ですぞ。ぼくは昔からファンタジーが好きで、いろいろと読んできているのですが、最近になってファンタジーというジャンルそのもののイメージが変わってきているのを感じています。
     昨日も書きましたが、いま、ファンタジーと呼ばれているのはつまりはほとんどがゲーム小説なんですよね。
     それが悪いとは思いませんが、かつてのようなより純粋な意味でのファンタジーは、ほぼ絶滅に近い状態にあるといって良いのではないでしょうか。あるいは東京創元社あたりで細々と続いている感じ。
     まあ、何をして純粋というかはむずかしいところだけれど、世間でいわれるファンタジーブームはじっさいのところ、古典的な意味でのファンタジーの衰退を意味しているようにしか思われません。
     もちろん、時代とともに作品の流行が変わっていくことはあたりまえのことだし、どんなに「時よ止まれ!」と願ってもむなしいことはたし
  • 大晦日だよ。好きなキャラクターランキング男女別ベスト20。

    2017-12-31 01:39  
    51pt
     質問箱で「好きなキャラクターランキングを教えてください。」(https://peing.net/q/8acd316f-e553-4950-8c0b-b082c571a50d)という質問をいただいたので、作ってみました。
     けっこう苦労しました。当然、好きなキャラクターは枚挙にいとまがないほどいるわけですが、ランキングをつけるのって大変だよね。ぼくが好きなキャラクターは男女を問わず、何らかの形で「戦っている」という特徴があります。与えられた運命に対し、果敢に抵抗しているキャラクターが好きですね。下のほうにくわしい解説をつけておきます。
    〇男性編
    1位 ヤン・ウェンリー(『銀河英雄伝説』)
    2位 イシュトヴァーン(『グイン・サーガ』)
    3位 ダグラス・カイエン(『ファイブスター物語』)
    4位 尼子司(『SWAN SONG』)
    5位 土方歳三(『燃えよ剣』)
    6位 令狐冲(『秘曲笑傲江湖』)
    7位 オスカー・フォン・ロイエンタール(『銀河英雄伝説』)
    8位 森田透(『翼あるもの』)
    9位 ジークフリード・キルヒアイス(『銀河英雄伝説』)
    10位 伊集院大介(『伊集院大介の冒険』)
    11位 ルルーシュ(『コードギアス』)
    12位 沖田総司(『燃えよ剣』)
    13位 田島久義(『恋愛』)
    14位 上杉達也(『タッチ』)
    15位 ジュスラン・タイタニア(『タイタニア』)
    16位 グリフィス(『ベルセルク』)
    17位 衛宮士郎(『Fate/stay night』)
    18位 グイン(『グイン・サーガ』)
    19位 碇シンジ(『新世紀エヴァンゲリオン』)
    20位 ジョン・スノウ(『氷と炎の歌』)
    〇女性編
    1位 比良坂初音(『アトラク=ナクア』)
    2位 沢渡真琴(『Kanon』)
    3位 ヴィアンカ(『OZ』)
    4位 黒猫(『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』)
    5位 ラキシス(『ファイブスター物語』)
    6位 姫川亜弓(『ガラスの仮面』)
    7位 シルヴィア(『グイン・サーガ』)
    8位 躯(『幽☆遊☆白書』)
    9位 白鐘直斗(『ペルソナ4』)
    10位 美樹さやか(『魔法少女まどか☆マギカ』)
    11位 アトロポス(『ファイブスター物語』)
    12位 久慈川りせ(『ペルソナ4』)
    13位 綾波レイ(『新世紀エヴァンゲリオン』)
    14位 ユーフェミア・リ・ブリタニア(『コードギアス』)
    15位 真賀田四季(『四季』)
    16位 長谷川千雨(『魔法少女ネギま!』)
    17位 アウクソー(『ファイブスター物語』)
    18位 鹿目まどか(『魔法少女まどか☆マギカ』)
    19位 川瀬雲雀(『SWAN SONG』)
    20位 サーバル(『けものフレンズ』)
     男性版1位のヤン・ウェンリーはもうしかたないというか、30年近くファンやっているもので、どうしようもないですね。歳を取ってから見てみると、驚くほど繊細なバランスでできているキャラだと気づきます。この頃の田中芳樹のすごみですね。
     2位のイシュトヴァーンは若き日の野生、たけだけしさ、行動力、与えられた運命に果敢に抵抗していくところもさることながら、後半の殺人王へと堕ちていくくだりも好きです。人生で最も心配して眺めたキャラクターといっても過言ではないかも。
     3位のカイエンは、まあ自分のハンドルネームのもとにするくらいで、それはもう大好きです。非常に男性的な、「男」という生きものの長所と短所というものがもしありえるとすれば、それを凝縮させたようなキャラクターですよね。ひたすら男のロマンを追求したようなというか。かっこいい。
     第4位は『SWAN SONG』の司。やっぱりあまりにも過酷な運命に抵抗しつづけるところが好きですね。人間として強い。強すぎる。ランキングには入っていないけれど、鍬形も好きです。リアリティありすぎ。
     第5位、土方歳三。まあ、ぼくの読書人生でいちばんといっていいくらいかっこいいキャラクターですね。切ないほどの男らしさ。そしてやっぱり行動力が好きです。アクティヴなキャラクターが好きだということですね。
     第6位、令狐冲。いい奴(笑)。とにかくいい奴。あまりにもいい奴すぎてヒーローというより被害者じゃないかという気もするのですが、とにかく気のいい兄ちゃんです。大好き。金庸のキャラクターは他にも魅力的な人がたくさんいます。
     第7位、『銀英伝』からふたり目。ロイエンタール。こいつもかっこいいよなあ。破滅的に生きて、結局破滅する悲劇性が好きですね。女嫌いのくせに女にはモテるところとか、矛盾した性格に惹かれます。
     第8位、栗本薫の初期の名作『翼あるもの』より森田透。この人はね、とても優しい人ですね。9位のキルヒアイスもそうなのだけれど、優しい人が好きです。自分も優しい人間でありたいと思っています。少しは優しくあれているといいのですが、どうだろうなあ。
     で、第10位、伊集院大介。はい、この人も優しい人ですね。栗本薫の作品全作を通じての最大の名探偵であり、弱い人々の守護者のような存在です。意外にも、名探偵キャラクターからはこの人しか入っていませんね。金田一耕助とかも好きは好きなんですけれど。
     第11位は『コードギアス』からルルーシュ。「反逆の」ルルーシュというくらいで、やっぱり運命に抵抗する系統のキャラクターですね。ぼくはとことんこの手の反逆者キャラクターが好きなようです。
     第12位は『燃えよ剣』の沖田総司。土方歳三の相棒ともいうべきキャラクターですが、そのあまりの透明さ、哀切さは強く印象にのこっています。こんなキャラクターをさらっと生み出してしまうのだから、司馬遼太郎という人もたいがい天才ですね。
     第13位、ぼくの最も好きな漫画のひとつ、『恋愛』から主人公の田島久義。狂気のような情熱の持ち主で、一歩間違えばストーカー以外の何ものでもありませんが、そういうところが好きです。
     第14位のキャラクターは『タッチ』の上杉達也。まあ、この人に関してもあまりいうことはないですね。とても辛い、重い運命を背負って、それをだれのせいにもせず、ひとりで孤独に戦い抜いたところが好きです。
     第15位、ジュスラン・タイタニア。いやー、すごいキャラですよね。「中途半端な美形」といういちばんダメになりそうなキャラを、ここまで魅力的に描いてしまう全盛期田中芳樹の凄まじさよ。キャラクターの造形に関してはほんとにものすごい作家だと思います。
     で、第16位なのですが、ガッツではなくグリフィスを持ってくるところがぼくらしいと思ってほしいですね。イシュトヴァーンを好きなのとほぼ同じ理由で好きです。運命に対する抵抗。
     第17位は『Fate』から士郎。まあ、奈須きのこユニバースからひとり持ってくるなら、やっぱり士郎になるのかなあと。凛も桜もセイバーも好きですが、士郎の狂気はすごく好きです。ぼくは狂的なパッションを持っているキャラクターが好きらしい。
     第18位、グイン。まあ、みんなのお父さん的な存在ということで、出てくると安心感がありますよね。あまりにも無敵すぎるのでかれが活躍するとあっというまに問題が片付いてしまうのですが。やっぱり好きは好き。
     第19位はシンジくん。ぼくはかれのことはかなり評価しています。だって頑張っているじゃないか! そりゃ弱音は吐くけれど、それでも戦っているわけで、もう少し評価されてもいいはず。まあ、状況が過酷なんだよね……。
     そして第20位はジョージ・R・R・マーティンの『氷と炎の歌』からジョン・スノウ。非常に人気があるキャラクターですね。ティリオン・ラニスターとどっちにしようか迷ったのだけれど、ジョンのほうにしておきました。ティリオンも好きです。
     女性編の第1位は『アトラク=ナクア』の初音お姉さま。もうダントツで好きですね。邪悪さと可憐さ、攻撃性と被害者性が一身に両立しているところが好きです。これは、男性キャラクターでもそういうキャラクターが好きですね。ぼくの好みなのだと思う。
     で、第2位の真琴。この子はね、純粋にいたいけな無垢の象徴みたいなキャラクターですよね。これは異性として好きというより完全に子供として好きなんですね。ぼくの子供好き(怪しい意味じゃない)が端的に表れているキャラクターだと思います。
     第3位、ヴィアンカ。妹のフィリシアも好きですが、この子の浮かばれなさが好きです。チョロイン属性というか、作者にもあまり愛されていないっぽいところが好き。不遇萌えの窮みみたいなところありますね。
     第4位、黒猫。可愛い。以上。いや、可愛いよね、黒猫。ぼくはフィクションのキャラクターに萌えても恋愛感情は感じないんだけれど、この子だけはちょっとべつで、普通に付き合いたい(笑)。年齢差何十歳あるんだって感じですが……。好きですね。
     第5位はラキシス。まあ、天真爛漫のプリンセスですね。アトロポスやエストも好きなのだけれど、この子のまったくファティマらしくない自由奔放さが好きです。好き勝手にやっているキャラクターが好きなのかも。
     第6位、姫川亜弓。努力の人ですよね。やっぱり「運命に対する抵抗」が好きなんだと思う。マヤのような傑出した天才を持ち合わせていないことを、懸命な努力でどうにしかしようとするその姿勢に強く強く惹かれます。マヤも好きですが。
     第7位、シルヴィア。非常に悲惨な目に遭っている少女ですが、それでもなお、愛を求め、幸福を求め、地獄のような環境のなかであがき、もがいているところが好きですね。『グイン・サーガ』におけるジョーカーのようなキャラクターなのだと思います。
     第8位は躯(『幽☆遊☆白書』)。彼女も被害者性と加害者性を両立させているキャラクターですよね。非常に好きです。ただ、キャラクターとしてあまりに完結してしまっているので、ランキングとしてはそこまで上にはなりません。いいキャラクターですけれど。
     第9位、白鐘直斗。大好きなゲームである『ペルソナ4』からひとり選んでおきたいということで、彼女にしました。非常に知的でそつがなく、女性的なところを抑圧していて、しかしそれがしだいに解放されていくというところが好きです。
     第10位、美樹さやか。『まどマギ』のなかではこの子がいちばん好きです。ぼくはだいたい酷い目に遭っているキャラクターを好きになる傾向が強いようですね。もちろん、それ自体ではなく、その状況に対する抵抗にこそ共感するわけです。
     第11位にはアトロポス。これも不遇萌えに近いかもしれない。妹のラキシスに比べ不幸な人生を送っているように見えますが、そういうところが魅力的です。でも、ドラゴンに惑星を亡ぼさせようとするのはやめろ。ものすごく迷惑だぞ。
     で、すいません、『ペルソナ4』からひとりといいましたが、第12位にりせちーも選んでしまいました。本来、ぼくの好みではないはずのキャラクターなのですが、不思議と好きですね。たぶん、あのグループのなかでこそ輝くキャラクターなのだと思います。
     第13位、ぼくたちの綾波。まあ、あの儚そうなところに惹かれるわけですね。彼女については既に山ほど論考があるのでいまさら語りませんが、やはり加害と被害、サディズムとマゾヒズムが同居したキャラクターだと思います。そこに惹かれます。
     第14位、『コードギアス』のユーフェミア・リ・ブリタニア。非常に「女の子らしい」ままであのルルーシュを敗北に追い込んだというところに凄みを感じます。男性的にならないままで運命と戦っているところが好きですね。
     第15位は真賀田四季。これは『四季』の少女四季に一票、ということにしておいてください。まあ、いろいろな意味で非常に画期的なキャラクターなのですが、ぼくは完璧になる前のわずかに欠けたところがある幼い四季が好きです。
     お次は第16位。えーと、長谷川千雨(『魔法少女ネギま!』)。みごとネギと結ばれてしまった勝ち組キャラクターなのですが、あの劣等感を抱えたまま戦っているところに共感します。ぼくも似たようなものなので。オタクキャラですね。
     第17位、アウクソー。ラキシスとアトロポスは女神なので例外と考えるとして、ほぼファティマ代表ですね。あのダメ男に仕えて幸せそうにしているけなげなところが気に入っています。エストとどっちにしようか迷ったけれど、まあ、アウクソーかな、と。
     第18位、まどか。ヒーロー。ザ・ヒーローというイメージです、ぼくのなかでは。この人を「普通の女の子」として捉える人もいるだろうけれど、ぼくのなかでは普通じゃない異常な人ですね。その異常さに惹かれます。でもさやかより順位は下。
     第19位。川瀬雲雀。ひばりん、かわいいよなあ。強いし。田能村のプロポーズに対し即座に「いいよ」と答えるところに惚れました。いい女だぜ! 
     第20位、サーバルちゃん(『けものフレンズ』)。この子はもっと順位が上でもいいかもしれませんね。このラインナップのなかで今年のキャラクターはこの子だけじゃないかな。やっぱり優しさ、懐の広さ、包容力というところが好きなのだと思います。
     以上、好きなキャラクターランキングでした。まあ、暫定版というか、いまの気分に多分に影響されているランキングですが、だいたいこんな感じだと思います。うーん、参考になるかな? 質問者さんに届いていれば幸いです。 
  • 連休には『ゲーム・オブ・スローンズ』を観よう!

    2017-01-06 14:13  
    51pt
     あけましておめでとうございます――という時期でも既にないですね。あいかわらず更新が遅れていて申し訳ありません。
     この正月、ぼくは何をしていたかというと、一心に小説を書き進めるほか、欧米を初め世界で大人気、既刊5作で7500万部突破!という超人気タイトル『氷と炎の歌』のテレビドラマ版『ゲーム・オブ・スローンズ』を借りて来ては見ないで返却したりしていました。
     ええ、ぼくはいままで延滞金で数万円は使ってきた男です。これからはダウンロードオンリーにしようかな。それはそれでお金かかるけれど……。
     まあ、観ずに返却しておいていうのも何ですが、『ゲーム・オブ・スローンズ』は原作もドラマも傑作の評判も高く、じっさい異様に面白い作品です。
     最近、やたらにレベルが上がっているという噂のアメリカのテレビドラマのなかでも、頂点に君臨する作品だといいます。
     いったいどこがそんなに面白いのか? ひと言でいうと、超が付くほど重厚なんですね。この作品に、『進撃の巨人』などと同じく「壁」が登場するのですが、ちょっと世界の分厚さが桁違いという気がします。
     もちろん、『進撃の巨人』も傑作なのだけれど、『ゲーム・オブ・スローンズ』のそれは、ほとんど世界が「そこにある」という感じで、ほかのファンタジーの追随を許しません。
     ちょっと一読しただけでは憶えきれないほどの膨大な登場人物が錯綜し、殺し合ったり、貶め合ったり、それはもう大変なドラマを繰りひろげています。
     一応、ファンタジーには違いないのですが、むしろ架空戦国絵巻という色合いのほうが強く、特に序盤では魔法とかドラゴンといった存在はほとんど出てきません。
     そのあとは徐々に幻想色が強まっていきますが、それにしても『指輪物語』みたいな作品とは一線を画す印象です。いわゆるダークファンタジーの理想的結実といえるかもしれませんが、ひと口にダークといっても、その「世界の色あい」の多様性は半端ではない印象。
     とうてい善悪では割り切れない、途方もなく複雑な個性をもった登場人物たちの活躍やら暗躍やら没落には、強く惹き付けられるものがあります。
     作者のジョージ・R・R・マーティンは、いわゆる「天才」というべき才能ではないかもしれませんが、なまじの天才ではとても追いつけない技量に到達していると思えます。化け物め……。
     まあ、あまりにも世界を拡大しすぎた結果、新刊がなかなか出ないというよくある現象が例によって発生し、遅々として出ない続刊を待つ読者たちが焦れに焦れるという事態になったりしているようですが、それも大長編ものの宿命といえるでしょう。
     作者の寿命から考えて未完に終わる可能性も高いという洒落にならない事実もあるのですが……。あと2作で終わる予定なんだけれど、果たしてほんとうに完結を迎えるものなのか、神々のみぞ知るというところ。
     しかしまあ、とにかく、克明きわまりない描写の積み上げによって生み出されたそのリアリティは半端じゃないものがあります。
     『銀河英雄伝説』とか『グイン・サーガ』、『ベルセルク』といった大河群像劇が好きな向きは必ず嵌まると思われるので、ぜひ読んでみてください。マジパネェっすよ。
     とはいえ、この作品、いったいどういうわけなのか日本での知名度はあまり高くないようです。Googleで検索してもあまり多くの記事が見つかりません。
     どうしてなのかと考えてみてのですが、そもそも翻訳ファンタジーというジャンルの需要があまり高くないのだと思い至りました。このライトノベルが百花繚乱のご時世に、翻訳ファンタジーなんて読んでいる人はマニアだよね……。
     まあ、先述した通り、『ゲーム・オブ・スローンズ』はシンプルにファンタジーとはいい切れない作品ではあるのですが、そこら辺は読んでみないとわからないわけで、一緒くたにされて敬遠されているのでしょう。可哀想な子!
     何といってもあまりに長いし、一冊は分厚いし、登場人物は記憶力の限界に挑戦する数である上に同名の人物がたくさん出て来るし、何かととっつきづらい作品であることは間違いありません。
     しかし、一旦はまったら最後、ちょっと抜け出せない程の深みがあることはぼくが保証します。おそらく、世界中のあらゆる長篇ファンタジー小説のなかでも最高の一作です。厚みが違うんだよ、厚みが。
     とはいえ、先に述べた通り、未完のままなかなか続刊が出ないこともたしかで、いまとなっては何とドラマ版が原作の展開を追い抜いてしまうという奇妙なことになってしまいました。
     そう、原作ではまだ未刊の第六シリーズ「冬の狂風」がドラマでは既にリリースされているのですね。このままだとほぼ確実にドラマのほうが先に完結することになるでしょう。何てこったい。
     まあ、このまま原作が未完に終わったらドラマを見ればいいということかもしれないけれど、でも、そんな訳にいくか。何とかしてよ、マーティン! と思いつつ、ぼくは小説を書くのでした。いや、ほんと、未完の大長編ロマンって罪だよね……。