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『ログ・ホライズン』は「ニセモノ」の時代に「本物」を追い求める物語だ。

 日常もいいけれどやっぱり冒険もね、ということでアニメ『ログ・ホライズン』を追いかけています。  テレビでは第二シリーズもクライマックスを迎えているようですが、ぼくはまだ第一シリーズの中盤。いよいよ物語が最初の佳境を過ぎ、スケールを増して盛り上がって来るあたり。  『ログ・ホライズン』の物語は、あるオンラインゲームのプレイヤーたちが異世界に召喚されるところから始まっています。混乱を究めるその異世界で、主人公シロエとその一行はさまざまに活躍を続け、やがてアキバの町に統治機構〈円卓会議〉を作り出すに至ります。  そして、シロエ自身は自らのギルド〈記録の地平線(ログ・ホライズン)〉を生み出し、ひとりの冒険者として世界の探索を続けるのですが――というところがいまのお話。  ここらへん、実にカタルシスに満ちた展開で、初めて「小説家になろう」でこのくだりを読んだときはそれはそれは感動したものです。  とはいえ、『ログ・ホライズン』全体の物語からすれば、それすらも全体の導入であるに過ぎず、物語はさらにさらに壮大な展開を迎えることになるわけです。うーん、面白い。  いま、色々なアニメが放送されていますが、冒険物語の面白さという意味では『ログ・ホライズン』は一級のものがあるでしょう。  なぜこれほど面白いのだろうと考えてみると、やはりオリジナルなファンタジーを幾重にもひねってあるところに第一の魅力があるのだろうと思います。  ファンタジー小説の歴史をたどってみると、やはり前世紀の『指輪物語』や『ナルニア』といったハイ・ファンタジーに突きあたります。  それはもちろんさらに前の時代の民話や神話、宗教に大もとがあるわけなのですが、それを現代の小説として洗練させて提示したという意味で、やはり『指輪物語』はエポックだったのでしょう。  その物語や世界は映画『ロード・オブ・ザ・リング』の成功によって原作読者以外にも広く知られるようになりました。それもあっていまとなってはそれほど目新しくは思われないでしょうが、もともとは非常にオリジナリティが高いものだったのです。  で、これが膨大なファンタジー小説に模倣され、また、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』や『トンネルズ&トロールズ』といったテーブルトークRPGに移植されてひろまっていった。  そしてやがてコンピューターゲームが生まれ、その世界はいっそう広まるとともに陳腐化していきました。そしてそれからさらに数十年経って、『ログ・ホライズン』はそれらのゲームをもっとひねった物語を展開しているわけです。  最初期の『指輪物語』や一部の優れたヒロイック・ファンタジーから数えると、どれだけのコピーを重ねているのかよくわかりません。自然、そこではもはや初期のファンタジーが持っていた超常的な輝きは失われてしまっています。  『ドラクエ』や『FF』がどんなに面白いとしても、あるいは『ログ・ホライズン』がどれほど楽しく見られるとしても、そこにはトールキンやダンセイニのオリジナルなファンタジー小説が持っていた神秘は存在しないということ。  いまとなっては想像しづらいことですが、「ファンタジー」という言葉が黄金のひびきを備えていた時代もあったわけなのですね。  ここらへんの歴史に関しては小谷真理『ファンタジーの冒険』が網羅的に語ってくれています。すごい本です。オススメ。  それはともかく、とにかく模倣に模倣を重ねることによって、ある意味でファンタジーの魔法は消え去ってしまった。いま、ファンタジー小説と呼ばれている作品のほとんどは、最初期のファンタジーが持っていたマジック以外のところで読者を惹きつけているといえるでしょう。  最近は早川文庫FTなどでも、クラシカルなファンタジーはそれほど見かけないような気がしますね。フィリス・アイゼンシュタインの『妖魔の騎士』とかR・A・マカヴォイの『魔法の歌』、好きだったなあ。いやまあ、そういうことをいいだすとただの懐古厨になってしまうのだけれど。  ただ、いまだに創元推理文庫あたりではイニシエのファンタジー小説が翻訳出版されつづけているようで、やっぱりそういう意味でのファンタジーが好きなひとはまだ一定数残っているのでしょう。  クラーク・アシュトン・スミスとかね。いまになってクラーク・アシュトン・スミスが翻訳されるのって凄いことだよね。  いや、余談に走りすぎました。とにかく21世紀も随分と過ぎ去ったきょう、ぼくたちはそういう「オリジナルな物語」が失われたご時世を生きているわけです。  ここでいう「オリジナル」とは、「現実の体験」から生まれた物語ということです。ぼくたちはいま、そうではない「コピーのコピーのコピー」から生まれた物語を楽しんでいる。『ログ・ホライズン』もまたそういう作品だと思います。  そう、ここでようやく『ログ・ホライズン』の話に戻るわけですけれど、この物語の面白さは「オリジナル」ではありえないことを受け入れた上で、「オリジナル」なファンタジーの定石をひねりにひねったところにあるのだとぼくは考えています。どういうことか? 

『ログ・ホライズン』は「ニセモノ」の時代に「本物」を追い求める物語だ。

橙乃ままれ『ログ・ホライズン』番外編『西風の旅団』を読んだよ!

 橙乃ままれ&こゆき『ログ・ホライズン 西風の旅団』第一巻を読み終わりました。  この漫画は現在も「小説家になろう」で連載中の小説『ログ・ホライズン』の番外編。  本編では重要な脇役のひとりだったギルド〈西風の旅団〉のマスターを務める少年、セタ・ソウジロウを主人公に据えた物語です。  はらぐろ策士であるところのシロエが中心になっている本編に比べると、女の子ばっかりのハーレムギルドのマスターであるソウジロウを主役に持ってきたこの番外編はよりストレートな内容になっています。  そのぶん本編のトリッキーな部分も薄れているわけで、一長一短。おもしろいけれど、『ログホラ』本編を未読のひとに薦められないかもしれません。  あくまで『ログホラ』あっての番外編ですね。  『まおゆう』にしろ、『ログホラ』にしろ、いまどきのコンテンツらしく、実に多角的に展開しているのですが、それもこれも本編のストーリーテリングの巧みさがあって初めて成立するものであることはいうまでもありません。  『ログホラ』を未読のひとはとりあえずそっちから読みましょう。  それにしてもままれさんもたくさん仕事するよな。健康とか大丈夫なのかしら。まあ、ぼくにだけは心配されたくないだろうけれど。  第1巻ではまだあまりストーリーが動いていないので、この先、どうやって『ログホラ』とは異なる物語を紡いでいくつもりなのかわかりません。  すでにシロエたちも出てきているのだけれど、かれらはいつ絡むのだろう。  たぶん本編ではちらっとしか出てこなかったエピソードとかがクローズアップされていくことになるのだろうけれど、 

橙乃ままれ『ログ・ホライズン』番外編『西風の旅団』を読んだよ!

ウェブ小説作家としての橙乃ままれと物語の本来あるかたち。(2042文字)

 先日の炎熱地獄我慢大会――もとい夏のコミックマーケットでは、ぼくも協力した同人誌『敷居の部屋の最前線』が発売されました。  おかげさまで評論系同人誌としては異数なほどの冊数が売れたようで、関係者ともどもほっと安堵しているところです。めちゃくちゃいい本に仕上がっているので、ぜひ、いろんなひとに手にとってもらいたいんですよね。  ちなみにぼくの原稿ではブロマガ運営の裏側をすべて(すべて、ですよ)ぶっちゃけています。いやー、恐ろしい。こんなに書いてしまっていいのだろうか。いいのだろう。いいと思おう。もう書いちゃったから仕方ないしな。てへぺろ。  まあ、いろいろと興味深い記事がそろっているわけですが、そのなかでも最も素晴らしいのは、やはり橙乃ままれさんのインタビューでしょう。  これは素晴らしい。橙乃ままれという作家へのインタビューとして、過去になく、おそらく未来にもないであろう特異なものとなっています。  ぼくはこのインタビューを読むことによってそれまでくわしく知らなかったVIPSSの世界を初めて知りました。ひとは本来そういうことに向かないメディアでもどうにかして物語を紡ごうとするものなのですね。感動というほかありません。  で、このインタビューのなかで登場しているのが「物語のライブ感」という概念です。物語は、ただその完成度だけで語れるものではない。ライブ感もまた重要なのだ!という話ですね。  物語のライブ感とは何か。それは、「いままさに目の前で物語が紡がられている」という実感のことです。  ぼくたちはいままで多少の例外はあれ、完成されたパッケージで物語を楽しむことをあたりまえとして受け入れて来ました。つまりは物語は完成品となって提示されるものだったわけです。  しかし、それは恒久不変のことかと云えば、じつは必ずしもそうではない。近代以前には、そもそも物語とはライブで語られるものだったわけです。  それこそ吟遊詩人とか琵琶法師によって目の前でリアルタイムに生み出されるものだった。さらにさかのぼれば、それこそ寒い夜、燃えさかる人々が火を囲んで語り部による民話とか神話に耳を澄ませた時代があったわけでしょう。  その種のライブ感は、しかし時代が下り、印刷技術という魔法が生まれるにつれ、失われていきました。それでもまあ、いくらかライブ感がある表現方法は存在すると云っていいでしょう。  

ウェブ小説作家としての橙乃ままれと物語の本来あるかたち。(2042文字)

橙乃ままれインタビューの一部を贅沢に公開しちゃうよ。(12438文字)

 ども。海燕です。 このたび、今月11日(日)の夏コミ2日目において販売されるサークル敷居亭の同人誌『敷居の部屋の最前線』の宣伝を兼ね、目玉企画である橙乃ままれさんインタビューの前半部分を公開してしまうことにしました。  ほぼ同人誌掲載の内容そのまま。かなりの分量がありますが、これでもまだ全体の半分にも達していませんw 長い長い。  下記を一読していただければわかるように、はっきりいっていままでにないままれさんインタビューになっていると思います。はてしなくディープ、そして感動的です。「物語とは何か?」「ひとを感動させる秘密とは?」その深奥に迫る内容となっています。  とりあえずこの前半をお楽しみください。このあとは同人誌で。なお、この内容は「敷居の先住民」と同時公開となっています。この同人誌についてくわしくは「敷居の先住民」の告知記事を御覧ください。 http://d.hatena.ne.jp/sikii_j/20130717/p1 [自己紹介と対談のコンセプト]  レスター伯: 今回は橙乃ままれさん(以下、ままれさん)をゲストにお招きして、座談会形式で今回の同人誌のコンセプトである「WEB創作とその創作が行われる場」について語って行きたいと思います。  なぜ、ゲストがままれさんかというと、この本でメインに取り扱う「小説家になろう」、そして2chのVIPSSの両方において作品を発表した経歴をもち、さらに現在は商業作家として活躍されているということで、これ以上の適任はいないだろうと声をかけさせていただきました。  最初に、簡単に参加者の自己紹介を。今回進行役を務めさせていただく、レスター伯です。サークル敷居亭の編集・DTP担当をやっています。なろうはそこそこ、VIPSSは咲SSを中心に結構読んでます。  ままれ: 橙乃ままれです。いわゆるネット小説家になるのかな。聖フランシスコ幼稚園卒業の自動筆記マクロです。  敷居:サークル敷居亭代表の敷居です。だいたい3〜4年前くらいから小説家になろうにドはまりして、今も常時何かしらよんでいる「なろうジャンキー」です。大方の例に漏れずハマったきっかけは『ログ・ホライズン』が連載されていたからなので、おおむねままれさんのせいですね。  VIPSSに関してはレスターさんとさっすまにしょっちゅう話を聞く程度の知識です。  さっすま: SS読みまくりVIPPERのさっすまです。ままれさんのSSにレスしたこともある程度にSS中毒で、これまで1万作くらいは読んでいて当時SSも書いてた、ということで呼ばれました。  レスター伯: 全体をまとめると、VIP・なろうで創作活動をしてきたままれさんに対して、重度のSS読みのさっすま、同じく重度のなろう読みの敷居さん、そして両方ともそれなりに読んでいるレスター伯が色々と聞こうという流れになっています。  ままれ: ありがとうございます。なんだか書けばば書くほどボロがでるイキモノだけど、本日はお招きいただいたんで頑張って色々説明したり喋ったりするよ! チャーハン作るよ!  レスター伯: 座談会の構成としては、前半をVIP時代、後半を『まおゆう』〜『ログホラ』、そして商業作家活動を予定しています。  ままれ: しかしなんですね(枕) VIPSSやなろうで、こういう種類の同人誌が出るとか、画期的ですね。  レスター伯: 僕らがVIPSSやなろうのジャンキーで、「好きな物を同人誌にしよう」というコンセプトですね。そして、「あわよくば、大好きな作家さんにインタビューしよう」という欲望丸出しの企画でございますw [ままれさんのVIPPER度]  レスター伯: では、早速本題に入っていきたいと思います。最初に聞いておきたいんですが、ままれさんはぶっちゃけどれくらいVIPPERだったんですか?  ままれ: 「どれくらいVIPPER」って難しい質問ですよね。でも3getロボに戦いを挑める程度の能力持ちです。  敷居: 高速で2getできるレベル、と。  さっすま: 2get自動マクロだったのか……  レスター伯: なんでこの質問をしたかというと、ままれさんが書いてた頃のVIPSSって、SSではあるんだけど、それ以前にVIPのスレなんですよね。つまり、VIPで遊ぶのが目的で、SSは楽しむための手段だったんじゃないかと、初期のSS読んでて思ったんです。  ままれ:  創作活動というのも変な話ですけれど、学生時代は、嘘新聞とか作るの好きだったんですね。学校の廊下に張ってある壁新聞のパチモンを作ってゲリラ的にハリ逃げするとか。その流れで同人にもすこしやってたり。広い意味では、遊びですよね。  なので、遊び場としてのVIP ってのは、ある意味、色々楽だったんですよ。ルール無用の残虐ファイトなので。  レスター伯: ルール無用の何でもありっては、VIPSSの最大の魅力。  さっすま: 楽しめればなんでもいいし、面白くなければ何の反応もない、というわかりやすさですね。  ままれ: そうですね。簡単に説明すると、あそこは芸をする場所なんですよね。SS というのはその大きな芸、大道芸の一種の釣り芸であって、全部ではない。  敷居: 「ここは小説を書く場である」って前提がそもそも無くて、人が広場にわらわら集まってきて色々芸をしていたら、ちょっとした小話や紙芝居をはじめる人もいるよね、というイメージですね。  ままれ: そういうイメージですね。  これは自分が立てたスレの1つなんですけれど、SSだっていう断りはないんですね。「精神失調気味になってしまった1がみんなに自分の半生を語りつつ悩みを相談する」という体のスレなんですけど。  さっすま: 僕このスレ知ってますね。保守してたヤシの中に僕もいますねこれ。  ままれ: うわーいヾ(◉∀◉;)ノ  レスター伯: さっすまが保守勢w  ままれ: まぁ、1が色々語りながらスレのみんなと雑談というか興隆をしていくスレなんですが、オチとしては、これ、太宰治の「トカトントン」を現代風に翻案してリライトしたものなんですよ。つまり、「太宰治を現代風に語ってみた」というネタスレです。  敷居: 『電車男』はいつぐらいの時代だったかな? 「事実を小説のように語る/小説を事実のように語る」ってのをスレでやるってのが定着したのは『電車男』周りですよね。ままれさんの頃はさすがに完全に定着した後なんでしょうけど。  ままれ: いや定着したとは言え、実はこの手の実話と創作のアイの子みたいな話ってなかなか難しいんですよ。最近半年くらい前? ゲームセンターで病弱な女の子と友だちになるスレがありましたね。  敷居: ありましたね。  ままれ: お話の筋はシンプルじゃないと多数に訴求できないし、それでいてある程度リアリティが確保されていないと嘘くさいし、釣るのはなかなかむずかしいです。  敷居: 最初はノリでみんなついてきてくれても、有名になると本気で怒る人も出てくるから、さじ加減が難しそう。  ままれ: ゲームセンターの少女は拡がり過ぎちゃったんで後から賛否両論ありましたけど、VIPPER 的には、あれを「実話だと思ったダマされた!」って怒るのは、非常に野暮なんですよね。いいからおまえVIP 辞めろ級の野暮。  さっすま: 「お前ら遊びに本気になっちゃってどうすんの?wもういいから半年ROMれ」という名無しの構え。  敷居: 「このお話はフィクションです」って言わないことが「粋」だよねって文化なわけですからね。  ままれ: そうですね。そもそも実話かフィクションかでお前の中に生まれた感動が変わるのか? 読んでいる自分のリテラシーで真偽判断くらいしろ、自分の立ち位置くらい自分で決めろよ、というのがVIP なので。このへんの突き放しというか、自己責任的な雰囲気が殺気言った「ルール無用な居心地良さ」ですね。  レスター伯: VIPにどっぷりって以外の人が読む機会が増えたってのも大きいですよね。  ままれ: VIP以外の人が読む機会が増えたという点に関しては、やっぱりまとめサイト文化が大きく影響しているんでしょうね。 [まおゆう以前のVIPでのSS作品について]  レスター伯: VIP文化の変容の話は後にまわして、ままれさんがVIPで書いてきたSSの話にうつりましょうか。  ままれ: はい(正座  敷居: そうですね。「ぶっちゃけどのへんから活動してたんですか?」とか凄い聞きたそうな顔をしている現地人(さっすま)もいることだし  レスター伯: 一番わかりやすいのは、ニコニコ大百科にまとめられてる作品群ですね。  ままれ: そうですね、ここに並んでいるのは書きました。  レスター伯: 古いのだと兄「ハンバーグだよ! ハンバーグっ!」(以下、腹ぺこ兄)が2008年の夏くらいですが、大体これくらいの時期からSS形式でスレを建ててた感じですか? ちなみに、僕はこの腹ぺこ兄が大好きです^^  さっすま: 最初からすごい「あ、またスレ立ててる」ってわかりやすかったんで、保守してましたね。  ままれ:VIPSS は2007 年くらいからはじめたとおもいます。実を言うと、その時点では卓ゲ板ですでにコテハンをやっていて、そっちでのSS 修行からはいってきたんですよね。そちらのコテハンは2002 年くらいからだったと思います。  レスター伯: じゃあ、VIPSSとしてまとめられてるのは、卓ゲ板での活動開始6年くらいたった後って感じですか。  ままれ: そうですね  レスター伯: じゃあ、腹ぺこ兄SSからちょっと話していきたいと思いますが、とりあえず「妹がかわいい」と「料理がうまそう」と、作品の魅力が非常にわかりやすいですよね。  ままれ: 当時、「敬語妹」っていう「新ジャンル」がありました。腹ぺこ兄のSS はその新ジャンルを単品で立ててみたものですね。  さっすま: 普通の「姉」とか「妹」だと見えないイメージを拓くみたいなのが流行った時期ありましたね。  レスター伯: 「新ジャンル」というテンプレと、料理っていうお題を使って、シチュエーションコメディーっぽく淡々と展開していく極めてシンプルな構成ですよね。  ままれ:  そうですね、シチュエーションコメディーなので、通常は、オチとかクライマックスって言う概念はありません。新ジャンルでは、「1=スレ建て主」がテーマなりキャラなりを決めて、参加者が自由に1レス〜数レスの短いSS を投げつけるのが主流でした。  敷居: キャラクターの魅力を不純物を除いて抽出している感じがしますね。  レスター伯: それが、スレ民の反応が返ってくる中で、だんだんキャラクター付けが固まっていったり、新キャラが出たり。  ままれ: そうですね。相性が良いサブ特徴が追加されていったり。「男」「女」「男友」なんてキャラネームはその頃からの名残ですね。汎用登場人物。  敷居: ままれさんの本の後書きを読んでると、出てくる「妹」の話題がまさにVIPのキャラネームそのものに見えるんですよねw  ままれ: 「妹」ですからね!  敷居: うん間違いない。  レスター伯: そんな「妹」とか「妹友」のキャラが徐々に固まっていく中で 最終的に甘酸っぱい兄妹ラブコメの物語になっていくというのは、すごくドライブ感があってたまらないですね。  ままれ: これはすごくツッコミに助けられた記憶があります。クソ暑い夏の部屋で書いていましたね。  敷居: そこの切り替わり、けっこう舵取りに勇気が要りそうですよね。シチュエーションラブコメのみに徹すれば失踪しても問題ないけど、物語がはじまってしまうと終わりを望む欲求が生まれるので。  ままれ: うん、それはすごく勇気が必要で、その見切りって後々まで尾を引くんですよ…… たとえば、この腹ぺこ兄SSって、一回目にスレを立てた時は完走できなかったんですね。  敷居: 物語なんざいらん。どうせいつ消えるかわからんのだからいらんことすんなってスレ民も当然いますよね、たぶんですけど  レスター伯: 逆に、もっと恋愛させろ的なプレッシャーもあるし。  ままれ: キャラクターを消費する場合、物語性ってのは必ずしも必要ではないんですよね。シチュエーションで十分だから。でもキャラクターに愛着がわいたら、オチはつけたくなる。でぺこはそういう意味では、二回目立て直してみんなに受け入れてもらえて完走できたパターンに属します。  敷居: 保守するスレ民と主の共同作業ですね  レスター伯: 新ジャンルで書き始めて、スレが伸びていく中で物語としてドライブがかかって完結を迎える。そういうままれさんのSSの特徴は、腹ぺこ兄で一応確立されてる感じはしますね。  ままれ: 「Web 上の小話」であるってのと、やりとりの中で完走する「VIPSS」って、やっぱり同じ人が書いても別物にならざるを得ないのですよね。  さっすま: もしドライブかからなくても、乗っ取りがあるんで完結はするけど別物になる、という。  敷居: 乗っ取りも面白い文化だよね。失踪したなら乗っ取られても文句言うんじゃねーぜ。終わったほうがみんな幸せ。確かにそのとおり。  レスター伯: この後のままれさんのSSを見て行くと、○○妹シリーズとか、同僚女とか、イメージをつけてしまってから始めるという形式になりますよね。最初からある程度ストーリーの方向性が決まっていて、当然キャラ立てがはやくなり、ストーリーを進めようとする意図を感じるようになるというか。  ままれ: 妹シリーズは、あれはある種の「お題X についての研究レポート」としてのSS なんですよ。さっきの腹ぺこ兄もそうなんですけれど、あれも最初は敬語妹の自主研究レポだったんですね。  レスター伯: 研究テーマを発表したら、教授(VIPPER)に添削されて「書き直せ」といわれると。  ままれ: 同僚女も実は一回完走できなくて。腹ぺこ兄と同僚女も、他と同様に研究発表として第一弾を書いたんですけれど、それに失敗するんですよ。  さっすま: 保守できなかったんですよねー同僚女は…… もう一回やらないかなって待ちわびた記憶がありますね。  ままれ: 失敗する原因は、物語方向に内圧がありすぎるから。  レスター伯: 物語方向に内圧がかかりすぎると、保守がうまくいかないと。  ままれ: 保守と言うよりも、動きのあるお話を書きたくなっちゃって、それで失敗するんですね。萌えシーンだけが存在するシチュエーションコメディーでいられなくなる。物語をやるためにはサブキャラをだしたり展開が必要だけど、それは、萌えキャラを味わうという目的においては、不純物だから、Vipの萌えSSとしては失敗作品になってしまう。  さらに当時のVIP において物語性があるSS ってのは少数派でどちらかというとあんまり見ない方向性だったんですよ。  レスター伯: そう考えると、「dat落ち」と「さる(猿)」があるVIPでSSを完走するのってすごく縛りプレーですよねw そういう厳しい環境で物語性のあるSSを投下するのって、一種のゲームみたいな感覚とかあったんですか?  ままれ: ゲーム感覚はもうちょっと後で、2008 年の10 月ですよね。9月頃には一回へこんであきらめがあって、それはどうも、自分はシチュエーションコメディの、ばらばらのシーンをショットガンにするSS は向いてない、そういう種類の話は下手だぞ、って判った。  でも腹ぺこ兄とかが望外に完走できたので、「良しこの路線で行こう!」とおもったのが10 月あたりだったと思います。短くのは苦手なんで、長めの話を書こう。その方が自分は向いてるんだって諦めたのがこの時期ですね。  敷居: 繋げていく方向に舵を切ろう、と  ままれ: そうですそうです。で、この時点で、作り方というか気持ちはすごく切り替わって世界変わったんですよ。  レスター伯: 『式子内親王』とかは元ネタがあるってのもあるし、なによりままれさんの萌えポイントが感じられるのがいいなと思います。  さっすま: 「こういうのいいだろ?」っていうのが前面に出てきてる感じ。  ままれ: あれもすごくわがままで書きましたよね。10月以降は開き直りがあるように思います、自分で読んでも。  敷居: 本来はシチュエーションをバラまくのが新ジャンルの王道だけど、あえて新ジャンルから出発して邪道を行こう、と開き直ったってことですね。物語として見るとそれは別に邪道ではないですけど。  レスター伯: その開き直りが結果的に、VIPの一次創作SSとして新しい領域を切り開いていってる感じしますね。  ままれ: さっすまさんは保守してくれてたって言う話なんですが、このころ、少数ですけど、個人として認識してもらったりもしたんですね。「おまえこないだXX をかいてたやつだろ」みたいな。  さっすま: そうですね、10レスあればわかるようになってました。  ままれ: そのせいですこしほっとして、居場所が出来た気持ちになったのも、あったとおもいます。短いSSで即座に結論出さないでもいいや、ちょっと長めの書いても許されるだろうって。  レスター伯: ここで、作家性みたいなものの萌芽が感じられるのが面白いですね。  ままれ: 最初に手に入れた作家性だったかもしれません。  さっすま: コテハンなくてもこの人は面白い、っていうのがわかるんで保守する、みたいなところはありますね。  ままれ: VIP では「作家性がない=匿名」がデフォルトでスタートしますよね。作家性を許さない文化だから、その中で見つけるのに時間がかかった。  レスター伯: その一方で、同僚女みたいに、レスの中で伸びてきたキャラが物語を加速させるのもいいですね。C男は明らかにスレ民の反応の結果、面白いキャラになっていて、それが同僚女のストーリーに大きな影響を与えてると感じられる。ああ、こういう展開するのがVIPSSの魅力だなあとすごく思います。  ままれ: C男はそうですよね。あとはあれだ、ゴージャス松野w  レスター伯: 松野w  ままれ: 書いた時点でゴージャス松野さんって言う方を自分は知らなかったんですよ。でもそんな指摘されると、やっぱり、ぐぐるじゃないですか。ぐぐって情報を仕入れると、その人のキャラになっちゃうんですよねw  さっすま: わかっちゃいますもんねw  レスター伯: やっぱりグーグル先生って偉大だわ。  ままれ: 偉大なんですよ、ぐぐる先生w 「オイスターバーで女性を軟派する」とかとか、「蛇皮の靴はいてる」とか、無駄にキャラが濃くなるんですよね。  レスター伯: 松野がああいうキャラにならないと、あの結末のカタルシスないですもんね。個人的に同僚女はシフトチェンジしたままれさんのスタイルと、VIPのレスの科学反応がいい方向に向かっていてすごく好きです。  ままれ: 女僧侶はそういう意味では吹っ切れた後のSS で、「長いSSを書いてもどうやらいいんだ。それなら読んでくれる人と往復書簡しながら書こう」って考えて書き始めました。  レスター伯: 女僧侶はかなり挑戦的ですよね。VIPSSの中に、もう一つVIP(作中掲示板)を建てて、そこのレスを拾う。構造としてはメタだけど、そのメタさがすごくVIPっぽい。  敷居: ああ、それ今のSSにも踏襲されてるやり方ですね。  レスター伯: 別記事で言及しますが、咲SSの「カンちゃんシリーズ」がまさにメタな構造を取り入れた傑作ですね。ただ、咲SSの場合は取り込むのがVIPじゃなくてなんJなのが面白いんだけどw  ままれ: 僧侶ちゃんが掲示板のツッコミにおろおろするのが書いてて楽しかったし、おかげでずいぶんかわいくなったと思います。保守の人との掛け合いでキャラ語りが出来るのがよいですね。  敷居: なろうでも掲示板捏造ものって一時期流行りましたけど、VIPの場合ほんとにリアルタイムで掲示板使ってそれを連載するわけですからねー。  レスター伯: スレ民との一体感がやばいですよね。みんなが女僧侶を誘惑しようとする。ああ、こいつらどうしようもねえVIPPERだってw  ままれ:そうそう、スゴロク場にモーニングスターがあるとかw 幼女のミルクが美味しいとかw どうしようもないVIPノリで進めていけました。  さっすま: もう完全に「俺らの僧侶ちゃん」なんですよね。  ままれ: ああ、まさに「俺らの僧侶ちゃん」でしたね。  レスター伯: VIPを楽しんでる空気が作中から感じられるし、VIPPERが自然とモブとして作品中に登場してる。  さっすま: 掲示板系SSでオイシイのは、安価投げられなくても勝手に参加してる気になれるんですよね。そういう部分で、書く方も突発で安価投げるより物語やるならそのほうが楽できるし、読む僕等もすごく楽しい。  ままれ: 本当に応援してくれるんですよ。  レスター伯: 後、女僧侶の面白いところは勇者ですよね。引き籠もりで一人で冒険する勇者をもう一人の視点キャラとして持ってきてる。  ままれ:2メインストーリーで書いてみました。ドン・ウィンズロウの影響ですね。  レスター伯: 女僧侶ってDQ3がベースですけど、女僧侶の方はみんなでわいわいやりながらプレーしてる感覚で、勇者の方はDQ3の勇者が持ってる暗い部分を引き受けるキャラになってる。で、この二つが重なって後半のカタルシスがすごいことになる。  ままれ: 女僧侶は「掲示板越しにみんなのアドバイスを受けられる能力+そういったみんなのアドバイスがないとダメな弱者」でキャラをデザインしました。勇者はその待遇で「ひとりでも答えがわかる攻略本という能力+みんなから支えてもらわないでも勝てる強者」っていう対比でした。助けてもらわなくても勝てるキャラ、という構造で書いたら、暗いやつになっちゃいましたよね。  レスター伯: 攻略本があるからこそ、本来の結末に救いがないのが勇者にはわかるんですよね。でも、女盗賊とのエピソードを通じて、勇者が「攻略本=本来の結末」を乗り越えていく。で、最後の「俺とりゅーおーではんぶんこするって約束したんだっ」に繋がったときに、もう、鳥肌がマッハに。  ままれ: あれも本当に応援感謝で。たぶん、VIPじゃなきゃ、書けなかったお話だと思います。ひとりじゃ無理だったかなぁと思う。  レスター伯:女僧侶のがんばりとか、そういう応援が反映されていていいんですよね。なんていうか、勇者の姿にあらたな方向性を切り開いていったままれさんの姿がかさなるというか。そして、女僧侶の時点でまおゆうの物語としての射程が浮かびあがってくるんですよね。  さっすま: 保守勢の僕らからしたら応援してる気はないんですよねw ただ読みたい。完結したら「また待ってるよ」とか言うし、もう次の話を見たいんですね。  ままれ: 書き手も不完全なのですよね。物語やキャラ人気は、こっちが意図したのとは別の受容のされかたがあるんです。その「ずれ」っていうのは、もちろんその物語にもプラスなんですけれど、それ以上に、書き手の引き出し増やしてくれると思います。保守の人の誤解は次回とか次々回に向けた非常に大きな財産なんですよ。  ちょっと前後しちゃうんですけれど、「ルンデルハウス+五十鈴」」って、VIP やってなかったら書けなかったキャラクターだと断言できますね。  さっすま: あー納得w  レスター伯: なんていうかままれさんスタイルのVIPSSは作品内でもドライブかかるけど、作品間を通じてもドライブがかかってきてるんですよね。これはVIPっていう場で、VIPと必ずしも相性が良くないスタイルのSSを書き続けて、人気を得てきたからこその重みというか。今回の対談にむけて過去作を読み返してて一番感じました。 [VIPのシステムについて]  レスター伯: さて、そろそろ話としてはまおゆうに繋がって来たんですが、その前に、ちょっとだけVIPのシステム面についても話を聞いてみたいなあと思います  さっすま: まおゆう辺りだともう保守も人が多かったんですけど、その辺りのスレが落ちる、落ちないの意識ってどうだったんですか?  ままれ: 季節とか時間の影響が大きいですよね。腹ぺこ兄は夏休みだから深夜でも保守してくれる人が沢山いました。まおゆうはシリーズ化したんでまた少し別ですけれど、妹シリーズとかは、時間によってはすぐ落ちますよね。  さっすま: そうですよね、まおゆうとか女同僚より前の作品だと何人いるんだってくらい少なくて睡眠時間との戦いだったんですけど、スレ主としてはどうだったのかという。  ままれ: あと、ログで「さる」って発言があると思うんですけれど……  レスター伯: さるはきついですよね。後、規制。  さっすま: さるさんとの戦いはつらい、本当に。  ままれ: そう、さるが辛い。  さっすま: 保守も人数がいないとほんとどうしようもないんで、落ちるとほんとガッカリしてました。  ままれ: 落とさないためには「速いペースで連続投下しなきゃならない→連続投下するとさる発生→書き込めなくなる→落ちるのを指をくわえて見つめる」。この黄金コンボが当時のVIPの醍醐味でしたねw  さっすま: 「お前何落としてんだよー、寝てんじゃねーよ」って保守してる方もさる食らいながら画面の前でブーメラン投げてるw  敷居: まあもともと物語を連載するようには出来ていないわけで。だからこそ面白くなったんだって話はここまでさんざん聞いてきたので仕方ないことではありますね。  ままれ: さるにせよ、1スレの容量にせよ、間隔にせよ、VIP って決して静的な状況じゃないんですよ。季節と時間の話をしましたけれど、夏休みになると参加年齢が下がってお客さんが多くなるとか、金曜だからサラリーマンが多いとか。  そういう状況とか潮目があって、それをにらみながら「この調子なら、明後日くらいにスレ立てるか?」なんていう部分を含めてVIP でSS スレを立てるというゲームなんですね(ここでの話はあくまで2008 年の状況で、現在ではかなり話が違います)。  敷居: ああ、潮目を読んで投稿して、落ちたらゲームオーバーと。  レスター伯: それと関連して、パー速とか外部スレに移行することについてはどう思いますか?  ままれ: そういう意味では、パー速とか外部サイトっていうのも、潮目の一部なのでそれそのものには良い悪いは無くて、納得できるものですね。  レスター伯: そこまで含めてゲームだと。  ままれ: ただその一方で、「おちやすい」というのが一種の締め切り装置として作用してた側面もあって、外部サイトの安全な環境にうつったら、エタり易くなるって言うのも事実だと思います。   レスター伯: 「エタる」はなろうにしても、VIPにしてもキーワードですよね。  さっすま: そういう側面もあって、ままれさん自身はVIPのパートスレってどう考えてたんですか? 住民の中では「パートスレはないだろ」っていうのも多くいましたけど。  ままれ:  個人的にはVIP でパート化OK 派でしたね。2008 年でひろゆきもOK だしていましたし。当時パートスレ狩りみたいなのもあって、あれはヒステリックで、「祭りとしてつまらない」っておもっていました。でも、まおゆうに限定すれば、あれは引っ越して正解だったと思います。この手の判断の多くは後知恵なんで難しいんですが……。  レスター伯: 場としての許容量の問題もありますよね。まおゆうは明らかにでかくなりすぎましたよね。  ままれ:まおゆうについては、おそらく引っ越したおかげで、橙乃がみんなに育ててもらう環境として、よりよくなった。  さっすま: パー速、製作速報だと、もともと読んでる人だけが移動しますもんね。 [他者のSS作品について]  レスター伯: もう一つ話をまおゆうに移す前に聞いておきたいのは、「他のSSをどれくらい読んでた(レスして)ました? 2次創作SSを読んでました(書いてました)?」ということです。   ままれ: 他のSS は相当読んでましたよ。自分に書けないギャグものとか不条理ものが好きでした。  レスター伯: VIPだと書き手は読み手ですもんね、乗っ取り含めて  敷居: もちろんなろうでもそう 書き手=読み手。  ままれ: 「妹 インディアンけつ拭かないっ!」とかかなりブチギレでしたね。  さっすま: 懐かしいw  敷居: 二次SSはどうですか?  ままれ: 二次創作SSにかんしては、当時、オタとして薄くなってた時期で、最新のアニメとかみてなかったんですね。なので、当時の最新は弱かったです。逆に、ドラえもん系の二次SSとかはマメに読んでましたね。  レスター伯: ちょうど2次SSが増えてきた時期ですもんね。後、まとめサイト。  さっすま: ドラえもんSS(のびた「……ごめんね」)拾ってきたやで〜。当時だとここらへんだったような記憶が。  ままれ: うわあああ。そうそう、こういうの!  レスター伯: 「さっすま VIPPER 有能 保守乙」(唐突ななんJ文化の乱入)  敷居: レットイットビーを口ずさむジャイアンがwww  ままれ: えーっと、これに関する話は、後でまとめてします。ログホラの話の時にでも触れたいと思います。  敷居: あとVIP以前に何か創作活動はしてました?  ままれ:  2ch 以前はですから学生時代の活動とか、同人ですよね。草の根BBS でも創作系はやってました。2ch 以降は、卓上ゲーム板、TRPG関係でコテハンだったんですね。  敷居: やっぱり直接受け手と関わるものが圧倒的に多いですね  ままれ: TRPG 関係のコテハンの芸の一種で「あれもおまえか!」っていうのが個人マイブームで、落語ののっぺらぼう的に、「あちこちに逃げていくんだけど、逃げた先にものっぺらぼうが……」っていう芸ですね。  ですからその芸を完遂するために2ch のあちこちの板でTRPG とは別に別々のコテ活動を十種類くらいやろうとしていて、ママレードサンドはそのひとつですね。  敷居: 受け手、読み手との関わりが今のままれさんを作ったんだなあ。 [まおゆうについて]  レスター伯: ということで、ここから後半戦。やっぱりままれさんにとっての最大の契機であろう『まおゆう』について聞いていこうと思います。  そして、同人誌へつづく! 

橙乃ままれインタビューの一部を贅沢に公開しちゃうよ。(12438文字)

『まおゆう』の作者による異世界料理漫画『放課後のトラットリア』がおもしろい。(1274文字)

 橙乃ままれ&水口鷹志『放課後のトラットリア』読み終わりました。メテオコミックスという聞きなれないレーベルですが、原作が『まおゆう』、『ログ・ホライズン』の橙乃ままれと来たら買わずにはいられません。  ジャンルは『まおゆう』と『ログホラ』に続いて今回もやはり異世界ファンタジー。同じジャンルで三作目となると、いいかげん趣向を変えて来る必要性があるわけで、今回のテーマは「料理」。  ある意味、異世界ファンタジー版『美味しんぼ』みたいなところがありますが、そのヴィジョンはより広く、人類(カエル人間とかも出てくるけれど)にとって料理が何を意味するのか、美味しい料理がどれほど偉大なものか、というあたりにあるようです。  物語はある日、主人公の女の子四人組がなぜか異世界に召喚されるところから始まるのですが、ここらへんはまあ、「お約束」のひとことで済ませてしまってもいい。異世界に落ちたあと、いつ帰れるともしれない生活にあっというまに順応してしまった四人は、いまひとつ美味しくない料理を改善するべく立ち上がったのだった!というのがだいたいのあらすじ。  料理に関するうんちくも盛りだくさんで、楽しめます。これは作画を担当している漫画家さんもうまいのだろうけれど、まあとにかくあいかわらず語り口が達者。物語の河がよどまずたゆまず、すらすらと流れていくのは気持ちいいですね。  このストーリーテリングの才能は天与の部分が大きく、できるひとはできる、できないひとはどうあがいてもできないもののようです。ままれさんはさすがにうまいなあ。アイディアとしては「小説家になろう」によくあるパターンに過ぎないのだけれど、その語りの巧みさが全然違う。  

『まおゆう』の作者による異世界料理漫画『放課後のトラットリア』がおもしろい。(1274文字)
弱いなら弱いままで。

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海燕

1978年新潟生まれ。男性。プロライター。記事執筆のお仕事依頼はkenseimaxi@mail.goo.ne.jpまで。

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