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幻の天才作家木崎ひろすけの遺作『少女・ネム』を語る。(2064文字)
2013-10-17 07:0053pt
あなたは、ネムと逢ったことがあるでしょうか。どこかの街角、あるいは路傍に座り込み、さもなければ呆然と立ち尽くしているその姿を見かけたことは?
ネムはとても内気な子です。その瞳はしじゅう自分の内側だけを見つめているよう。彼女は、そう、地味な、目立たない、しかしよくみればきわだって可憐な可憐な一輪のスミレであるに過ぎません。
だから、あなたがどこかでネムとすれ違っていたとしても、気づかなかったかもしれませんね。どこにでもいるあたりまえの少女、平凡でものしずかな女の子、そうとしか思わなかった可能性もあります。
いいえ――いいえ。ネムは、特別。その瞳はどんな少女より深く澄み、その魂のほかのだれより透明で純潔なのです。
もしあなたが望まれるなら、その証をお見せいたしましょう。いまを去ること十数年前、天才とうわさされた伝説の作家、木崎ひろすけが遺した至宝『少女・ネム』全一巻を。
木
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