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『杉原千畝 スギハラチウネ』は泣けないけれど凄い映画だ。
2015-12-10 01:5251pt
最近、生活が昼夜逆転していて、あまり陽の光を見ていない海燕です。
ただでさえ日が短い真冬にこれではいけないなあと思うのですが、普通に暮らしているとどうしてもそうなるんですよね……。
というわけで、真夜中に一本映画を観て来ました。『杉原千畝 スギハラチウネ』。
タイトルロールの杉浦千畝は、数千人のユダヤ人に「命のビザ」を発行し、その生命を救った日本人として最近非常に有名になった人物で、映画にも当然、そのエピソードが出て来ます。
しかし、この作品はその出来事を単純に「いい話」として描いて終わるのではなく、その前後に連なる歴史の文脈を重厚に描き出し、一本のストーリーとして魅せることに成功しています。
特別な大傑作というわけではないかもしれませんが、深々と心に染み入るように印象的な歴史映画の力作です。
この映画に出て来る杉浦千畝は、単なるお人好しの外交官ではありません。
まず何よりも動乱の時代において、ソ連やヨーロッパ諸国で、複雑な諜報活動を展開した人物なのです。
冒頭から杉原がほとんどスパイそのものといった活躍を繰り広げる場面が続き、いったいどういう映画なのだろうと戸惑わせられますが、もちろんアクションが主体の映画ではありません。
物語はやがて、戦乱のヨーロッパにおけるナチスドイツとユダヤ人の運命にフォーカスしていきます。
この、複数の国家や民族に注目しているところで、映画全体に複雑な陰影を与えることに成功していると思う。
杉原千畝という「美談の人」を集約に選んだところから、「日本人すげー」的なシナリオを予想して見に行く人も少なくないと思われますが、そういう単純な見方を強いる映画ではまったくないのです。
さりとてひたすらにウェットな涙、涙の作品というわけでもない。
非情な歴史の荒波のなかで、それでもなお懸命に自分の良心に恥じない行動を取ろうとする個人を描いた物語です。
そういう意味でははたしてヒットするのかどうか微妙なところですが、ぜひあたってほしい。あたるべき映画作品だと思います。
偶然ではありますがヨーロッパで難民問題が話題になっているいま、タイムリーな作品ということもできるでしょう。
日本人が主役ではあるものの、舞台の大半はヨーロッパで、日本語の場面はごく少ないという映画なので、気楽に見に行くには辛いかもしれませんが、見て損はないだけの格式のある作品です。
ネットの感想サイトを見に行くと、「感動できなかった」、「泣けなかった」という意見が散見されますが、そもそもそういうわかりやすい感動を描く映画ではないんですよね……。
相当にドライな作風なので、ひとを選ぶところはあるでしょうが、日本にはウェットな映画が既にたくさんあるわけで、ぼくはこういうドライな映画もあっていいと思いますね。
全編でも特に印象的なのは、 -
夢を生きる。
2015-08-27 23:0151pt
ヒーロー。
孤高を生きる英雄たちの姿にはひとを魅了するものがあります。
ヒーローを描く映画はたくさんありますよね。
『バットマン』や『スーパーマン』のようなスーパーヒーローものを初めとして、西部劇や刑事ものも広い意味でヒーロー映画ということができるでしょう。
日本でいえば『ウルトラマン』や『仮面ライダー』、『戦隊シリーズ』がいまも昔も子供たち(と、一部の大人たち)に夢を与え、勇気を教えてくれています。
『イン・ザ・ヒーロー』は一風変わった視点からヒーローを描いた映画。
よく使われる表現ですが、「笑えて泣ける」一作となっています。
特撮業界でスーツアクター(スーツの中に入ってアクションを行う顔の出ない俳優)を務めて周囲から「リーダー」と呼ばれる主人公を唐沢寿明が務め、スーツアクター業界の表裏を描き出しているところが特色。
特撮ヒーロー好きから見てどの程度の評価を与えられる
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