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天才作家が描く「日常系」。吉田秋生『群青』に別格の凄みを感じる。(1672文字)
2012-12-11 17:0853pt吉田秋生さんの『海街Diary(5) 群青』のレビューです。いやー、素晴らしかった。あたりまえの日常をただユーモラスに描き出しているだけのようでありながら、そこらの「日常系」が束になっても敵わないほど深い世界観を感じさせる作品となっております。いったい何が違うんだろうなあ。とにかくこういう作家がいてくれることは実にありがたいことだと思います。 -
セックス&バイオレンス! はてしない暴力と陵辱の螺旋つづく『ウルフガイ』を読む。(2044文字)
2012-12-09 12:0553pt平井和正原作の漫画『ウルフガイ』全12巻がおもしろかったので、紹介記事を書いてみました。いやあ、何しろ原作は70年代の発表ですし、あまり現代に受けそうな物語ではないかもしれませんが、ぼくは好きですねえ、こういうお話。セックス&バイオレンス! 吹き荒れる暴力と陵辱の嵐! ある種なつかしいような、そういう雰囲気を感じさせる作品だといえるでしょう。 -
漫画家で考える「慣れ」と「燃えつき」。どの程度のテンションが適切なのか見きわめよう。(2557文字)
2012-12-08 14:1953ptぼくが大好きな『月刊少年マガジン』で『capeta』が盛り上がっています。盛り上がっているのですが、ぼく的に見ると完全に盛り上がりきってはいないかな、と。超一流の漫画家であるところの曽田さんに対してはどうしても過剰に注文してしまう一面があるわけですが、やっぱりもっと行ってほしいな、と。で、その理由についてあれこれ憶測をたくましくしてみました。 -
俺の妹がこんなに健気なわけがない? 山本周五郎の時代小説に究極の妹萌えを発見した。(2349文字)
2012-12-07 16:5253pt大好きな作家であるところの山本周五郎の珠玉の妹萌え小説(?)『あんちゃん』について語っています。ここだけの話、山本周五郎の作品には、ふつうにラブコメとして読んで楽しめるものが少なくなく、特に「わたくしです物語」などは、「お前、わかっていてやっているだろ」といいたくなるような秀抜なラブコメとして読めると思います。いやあ、いいですよ、ほんと。 -
無限の平行世界を描き尽くす! 『紫色のクオリア』漫画版が素晴らしい出来。(1048文字)
2012-12-07 12:5953pt漫画版『紫色のクオリア』の紹介です。数年前に上梓され、一部で熱狂的に支持されるにいたった作品のコミカライズであるわけですが、いや、これが素晴らしい出来なのですよ、旦那。ライトノベルを漫画化した作品には、成功したものも、そうでないものもあるわけですが、これは大成功に属するでしょう。原作の一ファンとして納得というかほとんど感涙の出来なのです。 -
嫉妬は成長を阻害する。『GIANT KILLING』に学ぶ自分を高める競争のしかた。(2340文字)
2012-12-04 13:5853ptだれかと競争する時、勝利するためにはふたつの方法が考えられます。ひとつは自分を高めること、もうひとつは相手を貶めること。このふたつのやり方のうち、どちらが正しいやり方なのかはいうまでもありません。そして、正しい道から足を踏み外してしまった人間は決して前へ進んでいくことはできません。その歪みは最終的にそのひとを破滅させるでしょう。という話。 -
祝アニメ化! 『恋愛ラボ』に見る脱ハーレムラブコメの豊かな可能性。(2118文字)
2012-11-26 20:1553pt『恋愛ラボ』はぼくがいまいちばん続きを楽しみに待っている漫画のひとつです。うう、ヤンがどうやってマキとくっつくのか、気になって夜も眠れん! このたびアニメ化されるそうで、とにかく楽しみでなりませんが、でも、この作品、構造的に問題含みだよなーなどと感じないこともない。そこで「脱ハーレムラブコメ」作品として、この作品を捉え解説してみました。 -
才能とは何なのか。『ベイビーステップ』を読んでその本質を考える。(2069文字)
2012-11-14 10:4953pt天才論ふたたび、です。ぼくはこの世に才能の差というものがないとは考えません。あきらかに生まれつきの才能の差はあって、それはときに絶対的なものですらあるようにも思えます。しかし、それにしても才能とか天才という言葉はあまりに安易に使われすぎていないか。どこか幻想なり錯覚が含まれているのではないか。そんなふうにも思ったりするのですが、さて……。 -
【有料記事】『詩羽のいる街』は山本弘のインナースペース。(2744文字)
2012-09-29 15:4553pt山本弘『詩羽のいる街』のレビューです。ぼくは長編に限るなら山本さんのほぼ全作品を読んでいる山本弘ファンなのですけれど、そのあくの強さには時々辟易させられます(お前がいうなって話かもしれませんが)。かれの思想はきわめて善良ではありますが、やっぱり一面的だと思うんですよね。そういう違和感について書いてみました。でも、おもしろいんですけどね。 -
【有料記事】バビロニアの女神の名を与えられた天才作家タニス・リー。(2061文字)
2012-09-22 00:0553ptタニス・リーはぼくが最も好きな作家のひとりです。ひたすらに美しくまた邪悪な世界を描くその技量は無二のもので、まさに「天才」という称号がふさわしい作家といえるでしょう。『悪魔の薔薇』は彼女の短篇集なのですが、いやあ、レベルが高い。それぞれに異様な作品ばかりで、読み耽るほどにその悪夢的な世界に耽溺させられます。もっと翻訳されないかな、リー。
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