• このエントリーをはてなブックマークに追加

記事 2件
  • 書評:種の起源(下)

    2018-03-14 12:49  

    書評:種の起源(下) チャールズ・ダーウィン 箸、光文社文庫  http://amzn.to/2HvM62D●人間の脳は最近ほとんど進化していない  下巻では進化(種)の中間的存在の生物が、化石として見つかるケースが少ないという批判に対して、<地層堆積の膨大な時間の中で生物が化石として保存されるケース(可能性)が少ない>ことなどを、地質学の深い知識から論じています。  当時はまだ大陸移動説(ドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱した説がはじめとされる)は登場していませんでしたが、地形の変化によって生物の分布や化石の見つかる範囲が大きく変わるということにはすでに気付いていました。  この議論の中で感じるのは、生物の進化というのは数百万年、数千万年、数億年、数十億年(ダーウィンの時代にわかっていたのは4億年~5億年前のシルル紀のあたりまでです)の悠久の時間を味方にして
  • 書評:種の起源(上)

    2018-01-12 13:54  

    書評:種の起源(上) チャールズ・ダーウィン 箸 光文社古典新書  http://amzn.to/2qOd4PD  1859年出版ですから、今から160年ほど前のことになります。  この年には、スエズ運河が起工(完成は1869年)され、この年に起こった太陽嵐において、リチャード・キャリントンが初めて太陽フレアを観測しています。  日本では、安政の大獄が起こり、吉田松陰が斬首刑に処せられています。  確かに、「昔」のことですが、アダム・スミスの国富論が出版されたのは、1776年ですから「種の起源」刊行の百年近く前。アイザック・ニュートンが『自然哲学の数学的諸原理』を刊行したのは1687年、さらに100年以上前の話です。  今ではごく当たり前になっている進化論の歴史は、他の自然科学などと比べると意外に新しいのです。  この原因は、キリスト教(ローマカトリックおよびその分派)が欧州を支配して