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記事 5件
  • 書評:量子コンピュータ 超並列計算のからくり

    2019-06-20 16:53  
    書評:量子コンピュータ 超並列計算のからくり   竹内繁樹 著、講談社ブルーバックス   https://amzn.to/2In5yls●コンピュータの歴史 マスコミが騒ぐ先端技術のほとんどは眉唾ものである。 常温超電導、常温核融合、空飛ぶ自動車、AIなど・・・詳しくは現代ビジネスの2018年8月27日の記事「騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57205?page=3 を参照いただきたい。 量子コンピュータもその「空騒ぎ」の一つであると思われる。 数学的に二進法を確立したのは17世紀のゴットフリート・ライプニッツで、"Explication de l'Arithmetique Binaire"という論文も発表しているが、現代コンピュータの理論的な歴史は少なくともそこまではさかのぼるであろう
  • 書評:生物化するコンピュータ

    2019-04-19 16:48  
     書評:生物化するコンピュータ デニス・シャシャ&キャシー・ラゼール著、講談社 https://amzn.to/2UZUrq2●デジタルは原始的である 「生物化するコンピュータ」という言葉の持つ意味は大きい。人類の文明において「デジタル」が表舞台に登場してきたのは、ここ半世紀ほどのことである。それまでは、すべて基本的にはアナログであった。 現在のトルコに残された、現存する人類最古の遺跡とされる「ギョベクリ・テペ」の時代から約1万年、同じ祖先からサルと分岐したのが2800万年から2400万年前頃と推定されていることを考えれば、ごくごく最近の話だ。 だから、世の中で「人類はアナログからデジタルに進化する」という考え方が流布するのも仕方が無いのかもしれない。 しかし、これはまったく間違った考えである。 生物はデジタルからアナログへ向かって進化しており、特に人間の脳はアナログだからこそ、高度な情報
  • 書評:歴史の方程式 科学は大事件を予知できるか

    2018-05-09 01:26  
    書評:歴史の方程式 科学は大事件を予知できるか マーク・ブキャナン著、早川書房  https://amzn.to/2HJR4cM  マーク・ブキャナンは、この本の出版後「複雑な世界、単純な法則 ネットワーク科学の最前線」という本も書いていますが、こちらのほうがより「本質」に鋭く迫った内容です。  タイトルでは「歴史」となっていますが、物理的な「時間軸」を人間社会に当てはめると「歴史」になるわけです。  現在の科学(物理学)の基礎は、アルバート・アインシュタインの相対性理論と量子論の二つの方程式にあります。今のところ、この二つを組み合わせると矛盾が生まれますが、この世は11(または10)次元であるという前提(第一線級の多くの物理学者が受け入れつつある考え)などによってこの問題が解決され、この世の中のすべてをたった一つで表す「神の方程式」の完成が近いとも言われます。  しかし、本書で触れられ
  • "地球温暖化教"と"地球寒冷化問題"

    2018-04-08 03:28  

    Newton(ニュートン) 2018年5月号  https://amzn.to/2GvZ58M  Newtonは毎月欠かさず読んでいますが、毎号とても興味深い記事にあふれています。特に、5月号の「ゼロからわかる量子論」の「量子コンピュータ」に関する話は、量子コンピュータとは何か(ジョージ・ジョンソン著 早川書房)の内容を圧縮して整理したような内容でわかりやすいです。  しかし今回注目したいのは、「太陽の異変と宇宙からの災害:太陽に異変がおきている?「スーパーフレア」の脅威と弱まる太陽活動」です。  現在、地球温暖化騒動が始まってからずいぶん時間が経過し、今やそれがカルト宗教のようになっています。  もちろん、ジーザス(イエス・キリスト)が処女から生まれたとか、水の上を歩いたとか、はたまたゾンビのように生き返ったということを100%否定することはできません。  また、「宇宙人に拉致された
  • 書評:たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する

    2018-03-23 16:36  

    書評:たまたま 日常に潜む「偶然」を科学する レナード・ムロディナウ 著、ダイヤモンド社  http://amzn.to/2ppisVy  「偶然」にまつわるエピソードを、世の中の幅広い範囲にわたって歴史的に深く洞察した良書です。特に歴史的なエピソードには興味深いものが多く、カルダーノの半生は注目されます。  そもそも、「確率論」や「統計学」は、古代ギリシャから続く幾何学などの偉大な「正統派数学」とは違って、その理論を確立したのがギャンブラーやアマチュア数学者であることから(しかも歴史が新しい)、軽く見られがちですが、少なくとも人間社会との関係に関する限り「確率論」や「統計学」のほうがはるかに重要であることは明らかです。  サー・アイザック・ニュートンが錬金術に熱中していたのは有名な話ですが、「科学」そのものの出自が、結構怪しいところにあるのも事実です。ただし、だからといって「科学」の