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村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その5
2022-12-28 15:14
===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(5回目)====他のコンデンサを置き換えるMLCC= MLCCは製品として「ドライ」であり、アルミ電解のように液を使わないので寿命が長く信頼性が高いという特徴があります。一方で大容量には向かないという欠点がありました。 この数十年はMLCCがタンタルコンデンサやアルミ電解の小容量分野を切り崩してきた歴史があります。2007年のIR資料には村田製作所見解として、1000μFまでのMLCCの大容量化は可能とのことです。 100μFを超える領域では、高分子コンデンサの一部を置き換えることが可能になります。 タンタルコンデンサや一部の有機高分子アルミ電解コンデンサなどの領域です。2010年の村田製作所のIR資料によれば年間500億円相当の置き換えが生じているとされました。 技術的課題として1mFまでの高容量化は可能ということでしたので、そうな -
村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その4
2022-12-21 14:57
===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(4回目)===第3部 情報処理量の増加がMLCC需要拡大の追い風に=自動運転とMLCC(multi-layer ceramic capacitor)= 自動運転の時代です。 情報処理の量が自動運転になると膨大になるのです。 センサーの数が膨大になり、それを瞬時に処理をしなければなりません。 そしてそれを処理するのが論理回路であり、マイコンチップやゲートアレイなどの演算装置(ロジック半導体)です。ゲートアレイは決まった演算を出力するための回路ですが、センサーからの入力信号はI/Oと呼ばれる端子からデジタル情報に直してから演算装置に入って演算装置がその入力データを計算して出力データを生成していくのです。 たとえば、前方に物体ありという情報がインプットされると速度を落とすとかどの程度ハンドルを切るかという情報へとアウトプットされる。減速する -
村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その3
2022-12-16 23:00
===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(3回目)===第2部 MLCCはさらに高付加価値化へ=MLCCの温度特性と耐圧特性= セラミックは強誘電性で、通常はチタン酸バリウム(BaTiO3)を誘電体として用います。これが高い誘電率を持つことから、温度、電圧、エージングにより誘電率は大きく低下してしまうのです。 セラミックの結晶構造が温度により電子のいたずらで相転移をしてしまいます。そうなると誘電率は大きく変化します。 一方で、二酸化チタン(TiO2)を基材とする非強誘電性(電圧がないときには分極がおきない)セラミックで、その多くはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)およびチタン酸カルシウム(CaTiO3)を添加物として含有したものですが、常誘電性(非強誘電性)のため、温度特性が高いのです。自動車では20年という長期の耐久性が求められます。 ところが温度特性を優先するとやはり -
村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その2
2022-12-12 12:24
===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(2回目)=== 今後のMLCC事業は大きく展望が開けている状況です。 高い単価が得られる車載向けの数量が急拡大するという見通しが持てるからです。 需要の拡大の背景の理解には、コンデンサそのものへの理解が先決です。 それではMLCCという製品の詳細をみていきましょう。=MLCCの構造= コンデンサは構造的には誘電体(絶縁体)を電極で挟む単純な構造です。 誘電体には物性による誘電率があり、高い誘電率を持つチタン酸バリウムなどが主材料です。 内部電極にはニッケルを使用しています。MLCCはmulti-layer ceramic capacitorの略です。陰極と陽極の違いがない無極性コンデンサです。 電荷Qは内部電極の面積Sと薄さdと誘電率εなどで以下の比例関係式にて決定されます。 QはSε/dに比例(電荷は内部電極の面積Sと誘電率εの積を -
村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その1
2022-11-30 18:24
===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(1回目)====はじめに= セゾン共創日本ファンドの保有銘柄の1つである村田製作所の保有理由の一部をまとめたものです。村田製作所のコンデンサ事業の将来性を感じていただくために執筆いたしました。 第1部で村田製作所のコンデンサ売上の推移やその中核となるMLCCの基本を説明します。海外売上が中心に村田製作所の売上は急拡大していますが、国内売上も頑張っていることをご紹介します。 第2部ではMLCCの高付加価値化の長期トレンドをご紹介します。 高耐圧や高温特性の求められる領域が自動車やロボットでは求められるのですが、長期の業績の強い追い風となることを説明いたします。 第3部では自動運転など、今後、車の情報処理量が膨大になることがMLCCの需要の拡大にどうして結びつくのかをお話します。 今回は、MLCCを中心にお話しますが、バンド数が劇的に増え -
市場潮流
2018-06-18 17:01
今週(6月11~15日)の東京株式市場は、日経平均株価が週間で157円25銭上昇し(率にして0.7%の上昇)、2万2851円75銭で取引を終えました。2週連続の上昇です。 週初は、前週の流れを引き継いだ外為市場での円安・ドル高の進行、12日(火)に予定された米朝首脳会談への期待などから、日経平均株価は11日(月)から13日(水)まで続伸。ただ、14日(木)は、米連邦公開市場委員会(FOMC)で3月に続いて利上げが決定され、米国の利上げペースが加速するとの思惑や米中貿易摩擦が激化するとの見方などから反落。しかし、再び15日(金)は円安・ドル高を受けて反発しました。 個別銘柄の週間の上昇率をみると、太陽誘電(6976)、村田製作所(6981)などの電子部品株が上位を占めました。 ITイノベーションのうねりの中、これら電子部品株の受注は第2四半期(7~9月)にかけ、一段と拡大するとの
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