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記事 215件
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その24

    2022-06-23 16:32  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/7月号連載記事■その24 日本型経営は「人間社会の進歩の結果」●アナログはデジタルの進化形である。 例えば読者が「アナログ人間」とだれかに言われたとしよう。それをほめ言葉だと受け取るケースはほとんど無いであろう。大概の場合、「あなたはデジタルが分からない旧式の人間だ」と侮辱されたと思うに違いない。 つまり、現在の世の中では、デジタルがアナログよりもすぐれており、アナログがデジタルに進化していくように思われているということだ。しかし、それはまったくの間違いであり。正反対なのだ。 生物進化の一つの完成形と考えられる読者の体を使って確かめてみたい。1.読者の両腕を左右に広げる。2.前を向いたまま左右の手の指先を、それぞれ目の端でとらえる努力をする。 すると、ほぼ手を180度広げた状態でも、左右それぞれの目の端で指
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その23

    2022-05-26 13:18  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/6月号連載記事■その23 ノーベル賞経済学者の大罪●アルフレッド・ノーベル 今や世界中の誰もが知るようになったノーベル賞は、1833年にスウェーデンに生まれた化学者、発明家、実業家であるアルフレッド・ベルンハルド・ノーベルの遺産によって創設された。彼は、350もの特許を取得し、中でもダイナマイトの開発で巨万の富を築いたことから、「ダイナマイト王」とも呼ばれた。 遺言で賞を授与するとされた分野は、まずは物理学、化学、医学または生理学の3分野である。さらに4つ目として(理想的な方向性の)「文学」、5つ目は軍縮や平和推進に貢献した個人や団体に贈る「平和賞」である。 実業家であると同時に化学者でもあったノーベルが「科学・化学」関連分野の研究を高く評価していたのは間違い無い。ダイナマイトを含む多数の発明は科学・化学の
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その22

    2022-05-20 16:03  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/5月号連載記事■その22 アダム・スミスと人間経済科学●アダム・スミスと「道徳感情論」 アダム・スミスの名前を知らない読者は多分いないであろう。彼が1776年に発刊した「国富論」は、今でも経済学の聖典として扱われている。スミスが「経済学」の始祖というべき人物であることに異論は無いはずだ。 しかしスミスが、映画ハリー・ポッターの撮影に使われたと言われるグラスゴー大学の道徳哲学(最初は論理学)教授であったことはあまり注目されない。1759年に「道徳感情論」を出版したが、当時はこちらの方が大ベストセラーであり、「国富論」はこの大ベストセラーの内容のうち「人間の経済」に関わる部分をより詳しく解説した別冊として企画されたのだ。 したがって、「国富論」を読むだけでは、アダム・スミスの思想の表面だけを撫でることになってし
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その21

    2022-03-26 11:52  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/4月号連載記事■その21 「現場重視」の日本型経営が競争力の秘密●人間は狂ったサルか? 「人間は狂ったサルである」と表現されることがしばしばある。縄張り争いのために、敵(国)を攻撃して殲滅するだけでは無く、核兵器などというものまで生みだして、敵だけでは無く自国も含めた人類滅亡の危機を招く。 さらには、存在するかどうかもわからない「神」のために凄惨な殺し合いを行う。果ては、自分の信じる神を敬わないからと言って、生きたまま焼き殺したり、車で八つ裂きにしたりする。 このような人類を「正気」だというのは難しいであろう。 それでは、人類が狂っている原因は何か? 人間の知性や思考を、他の動物から際立たせている、極めてよく発達した大脳皮質にあるのだ。もちろん、大脳皮質が発達することによって、人間の高度な文化・文明が進展し
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その20

    2022-02-28 16:03  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/3月号連載記事■その20 事件は現場で起こっている●デジタルは原始的である 一般的に、「アナログ」という言葉は、「時代遅れで古臭くて機能が劣っている」という意味合いで使われることが多い。逆に「デジタル」は「先進的・未来的・挑戦的」なイメージで語られることが殆どだ。 確かに、人間を始めとする生物界、さらには人工の建設物も含む環境はほぼすべてアナログだから、近年登場したデジタルが革新的だと思うのも無理は無い。 しかし、地球誕生以来の生命の歴史を考えれば、「デジタルからアナログ」へ進化してきたと考える方が正しいのだ。 例えば、コンピュータ上で生活する(画面上を動く)生物は、ごく簡単な単細胞生物のようなものであれば、デジタルで十分作成できるのだ。ところが、その生物がコンピュータ上で「進化」していくにつれて、どんどん
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その19

    2021-12-29 12:53  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/1月号連載記事■その19 インディ・ジョーンズと「人間経済科学」●経済学(社会科学)は数式では表せない 天文学、数学、物理学のようないわゆる「自然科学」では、仮説を立て、それに基づいた実験を行ったり、論理的に完全に実証できる「証拠」を見つけ出して、仮説の正しさを証明する。 しかし、歴史に「もしもは無い」と』よく言われるように、設定条件を変えて「本能寺の変」をやり直すなどということは不可能だ。映画やドラマでは、歴史の「もしも」を扱った作品がよく見られるが、それは「あり得ないことを実現したい人間の願望」といえる。 また、人体実験はもちろんのこと、例えば貧富の差が人格形成に与える影響を調べるために、生まれたばかりの赤ん坊を両親から引き離して、貧困家庭と富裕家庭で育てさせるなどということも、倫理上当然許されない。「
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その18

    2021-12-03 01:03  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/12月号連載記事■その18 人間経済科学が目指すもの●「人間経済科学」とは 「人間経済科学」という言葉は、私と財務省(大蔵省)OBの有地浩が中心になって「人間経済科学研究所」(https://j-kk.org/)を創設する際に生み出した造語である。 したがって、「人間経済科学」とは、「人間経済科学研究所」で研究している内容という定義の手法もあり得るが、それでは、読者にはいったい何のことかわからないであろう。 端的に言えば、「人間経済科学」とは、「人間」と「経済」を結び付けて考察する学問である。「経済とは人間の営みの一部」であるから、これは当たり前のようにも思える。しかし、これまでの経済学、特にマルク主主義や近代経済学のように「唯物主義」に基づく学問では、人間を「個性や感情を持たないもの」として扱う。典型的な
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その17

    2021-11-01 15:27  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/11月号連載記事■その17 資本主義社会では誰もが味方であり敵である●知らないやつは殺せ 「銃・病原菌・鉄」(草思社)のベストセラーで有名なジャレド・ダイアモンド氏の著作に「昨日までの世界」という本がある。同氏が鳥類研究などのために足しげく通ったニューギニアなどの「小規模血縁集団」と現代の「巨大な国家」との対比の中で「人間社会の本質」を見事に描き出している。 両者は奥深い部分での共通性がかなりあるのだが、違いも相当ある。その中でも特筆すべきなのは、「小規模血縁集団」は、文字通り「血縁関係がある顔なじみの集団」で暮らしているのに対して、現代人は「日常の大部分をどこのだれか分からない人物との接触」に費やしていることである。 「小規模血縁集団」の場合は、隣の集落と友好関係を結ぶこともあるが、大概は限られた食料資源
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その16 現代の経済社会は、会社や国家というチームでプレーする

    2021-09-24 14:57  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/10月号連載記事■その16 現代の経済社会は、会社や国家というチームでプレーする●スーパーヒーローはかっこいい 仮面ライダー、ウルトラマン、スーパーマン、バットマンなど、私世代でもなじみがあるスーパーヒーロー達は、基本的に「ピン」である。相棒がいる場合もあるが、率直に言えば「アシスタント」程度の役割しか果たさない。 ミステリー(探偵小説)の金字塔であり、最も映画化・ドラマ化されたといわれる小説である「シャーロックホームズ・シリーズ」のホームズとワトソンの関係も、探偵とアシスタント兼記録係であると言ってよいであろう。 しかし、最近のヒーローものは、ゴレンジャーなどのように「対等な立場の仲間が力を合わせる」スタイルが増えてきているように思える。ワンピースは、ヒーローものや戦隊ものとは違うが、「個性的な仲間たちが
  • 人間経済科学と賢人たちの教え その15

    2021-07-28 20:03  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/8月号連載記事■その15 「信用」が富の源泉である●交換は人類を豊かにした 「人類とサルの違いは何か?」という疑問を子供の頃から持っていたが、いまだにその回答を明確に得ることができないでいる。 巷では、「サルが人間に進化した」ということがよく言われるがこれはまったくの間違いである。正確には、「人類とサルの祖先が同じで、途中で進化の道筋が分かれた」のだ。 脊椎動物である両生類から哺乳類が分岐したと考えられる2億年ほど前に比べれば、ヒトや類人猿が「旧世界ザル(オナガザル上科)」から分岐したのは3000万~2500万年前とされているから、最近のことである。 しかし、このような生物学的な考察よりも、人類を人類たらしめているのはその「文化」「文明」である。 今のところ、人類最古の遺跡はトルコ(アナトリア南東部)のギョ