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記事 4件
  • 村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その4

    2022-12-21 14:57  

    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(4回目)===第3部 情報処理量の増加がMLCC需要拡大の追い風に=自動運転とMLCC(multi-layer ceramic capacitor)= 自動運転の時代です。 情報処理の量が自動運転になると膨大になるのです。 センサーの数が膨大になり、それを瞬時に処理をしなければなりません。 そしてそれを処理するのが論理回路であり、マイコンチップやゲートアレイなどの演算装置(ロジック半導体)です。ゲートアレイは決まった演算を出力するための回路ですが、センサーからの入力信号はI/Oと呼ばれる端子からデジタル情報に直してから演算装置に入って演算装置がその入力データを計算して出力データを生成していくのです。 たとえば、前方に物体ありという情報がインプットされると速度を落とすとかどの程度ハンドルを切るかという情報へとアウトプットされる。減速する
  • 村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その3

    2022-12-16 23:00  

    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(3回目)===第2部 MLCCはさらに高付加価値化へ=MLCCの温度特性と耐圧特性= セラミックは強誘電性で、通常はチタン酸バリウム(BaTiO3)を誘電体として用います。これが高い誘電率を持つことから、温度、電圧、エージングにより誘電率は大きく低下してしまうのです。 セラミックの結晶構造が温度により電子のいたずらで相転移をしてしまいます。そうなると誘電率は大きく変化します。 一方で、二酸化チタン(TiO2)を基材とする非強誘電性(電圧がないときには分極がおきない)セラミックで、その多くはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)およびチタン酸カルシウム(CaTiO3)を添加物として含有したものですが、常誘電性(非強誘電性)のため、温度特性が高いのです。自動車では20年という長期の耐久性が求められます。 ところが温度特性を優先するとやはり
  • 長期投資の入門 第12回 SiCパワー半導体の将来性

    2022-10-26 16:01  

    =SiCパワー半導体の将来性= 近年、SiCパワー半導体の投資リスクを低減する動きが出てきました。 政府による補助です。 TSMC(台湾積体電路製造股有限公司)の前工程の九州への誘致がありましたが、同様にパワー半導体についても新工場建設においては政府からの補助金が出ています。 日の丸半導体への追い風としては、金融政策の違いによりもたらされた円安効果にあると考えます。円安傾向は製造業の国内生産回帰の流れを決定的にしました。 この円安は人口減少に悩む内需はインバウンドで救い、競争力の低下に悩む外需は円安で助けるという内需外需両面の支援策ともいえるものなのです。 特に生産拠点が日本だけの国内半導体メーカーはこの円安で欧米勢への本社コストの面で有利になりました。 SiCについては、この先はさらに集積回路化が期待できることから、とても楽しみな展開となっています。 将来想定としては、モーターひとつに
  • 長期投資の入門 第11回 太陽光とEVと炭化ケイ素との不思議な関係

    2022-10-18 23:17  

    =太陽光とEVと炭化ケイ素との不思議な関係= SiCは結晶欠陥が非常に大きなものであること。さらに、SiCは結晶そのものが傾いていることです。また、SiCは加工が難しい。欠点だらけでした。 これだけの不利な点があるのにどうしてEV向けにSiCが注目されるかについてはいろいろな背景があります。 まずは、走行距離の制約がEVにあること。 そしてなぜEVなのか。 これはカーボンニュートラルの要請にあります。 結局のところ、太陽光や風力などの不安定な再生エネルギーで電力を賄う方向にある。しかし、発電において石化燃料を使わないとなると自然エネルギーの変動が激しさを克服する必要がある。 その激しさを埋めるためには大量の蓄電池が負荷平準化の社会システムとして必要になる。人類が必要とする発電量の数倍の風力と太陽光発電がこれから設置されていきます。数倍の発電量が必要なのは変動を見込んでいるためですが、蓄電