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記事 39件
  • 孫子と三賢人のビジネス その12

    2019-08-23 10:02  
    産業新潮 http://sangyoshincho.world.coocan.jp/9月号連載記事■その12 機先を制する●機先を制するというのは先に始めることではない 私が若いころは、他人よりも早くスタートする=「先陣を切る」というのは、有利なような気がして、とにかく他人よりも先に新しいこと始めたいという気持ちにあふれていました。多くの若者にも同じような傾向があるでしょう。 もちろん、若者がチャレンジしてリスクを負わなければ、世の中は発展しませんし、軍隊でも「先陣を切る」兵隊がいなければ戦いができません。その意味で「先陣を切る」人々が世の中に貢献しているのは確かですし、成功したときに多額の褒賞や名誉を得ることができるのも当然でしょう。 しかし「先陣を切る」ことが個々の人々にとって有利であるかどうかは全く別の問題です。例えば軍隊で先陣を切る人々は、敵の反撃にあって死ぬ確率が高い(ハイリスク
  • 孫子と三賢人のビジネス その10

    2019-07-08 16:11  
    産業新潮 http://sangyoshincho.world.coocan.jp/7月号連載記事■その10 先手必勝と集中力●宮本武蔵と佐々木小次郎 どこまでが史実なのかは不明ですが、二人の巌流島における決闘はあまりにも有名で、多くのことを物語っています。命をかけた大事な決闘において大幅に遅刻する武蔵は「武士の風上にも置けない下劣な野郎だ」という考え方もあるかもしれません。 しかし、ルールや礼儀をきちんと守っても、負けてしまっては元も子もないという考えにも一理あります。戦後闇市の時代に、配給米しか食べず闇米を一切受け付けなかった裁判官が餓死するという事件がありましたが、この裁判官が英雄として扱われているわけではありません・・・ 孫子は、もともと今で言う「ゲリラ戦術」の指南書であり、弱者が強者を打ち倒すためのノウハウにあふれています。そのため、必ずしも「強者のルール」に従う必要は無いと考え
  • 孫子と三賢人のビジネス その8

    2019-05-10 20:46  
    産業新潮 http://sangyoshincho.world.coocan.jp/5月号連載記事■その8 一撃必殺●熟慮して行ったたった一つの決断が成功しないのなら、それより集中力が劣った多数の決断がうまくいくはずが無い ウォーレン・バフェットは小見出しのような警句を発しています。 しかし、世の中の大多数の人々の考えは違うようです。以前ある投資家の方とこんな会話をしたことがあります。 「大原さん、私はものすごくたくさんの利益を投資で稼ぎたいんです。そこで、できる限り売買の回数を増やしたいんですが、やはりコンピュータにやらせた方がいいですか?」「???投資は必ずしも儲かるとは限りませんから、たくさん売買すればよりたくさんの損をすることになるかもしれませんよ・・・」「大原さん、1万円での取引でたった百円のもうけでも、10万回やれば1000万円の儲けになるわけです。専門家なのにこんな簡単な計算
  • 孫子と三賢人のビジネス その7

    2019-04-03 15:17  
    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/4月号連載記事■その7 勝利を収めてから戦闘を始める●絶対に損をしないこと バフェットの金言の中には次のようなものがあります。一、絶対に損をしないこと二、一、の内容を絶対に忘れないこと。 念の入った表現ですが、「損をする」ことが大嫌いなバフェットらしい表現です。しかし「損をしない」ということは、「挑戦しない」ということとは少々違います。 バフェットの投資先の大多数は優良な大企業ですが、その購入のタイミングは、世間一般の常識とは異なった大胆なものです。 古くはコカ・コーラ。同社に投資を始めたときには、自称専門家などから「成長の止まった企業を高値掴みした」と馬鹿にされましたが、その後の同社の成長ぶり、株価の上昇はよく知られています。 また、ITバブルでは「テクノロジーがわからない時代遅れのポンコツ」とマスコミに揶
  • 孫子と三賢人のビジネス その6

    2019-03-01 00:28  
    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/ 3月号連載記事 ■その6 最高の仕事は何もしていないように見える ●匡の技には無駄が無い  読者の中にも優秀なゴルフ・プレイヤ―はたくさんいらっしゃるはずです。  セミプロ級の方々、例えばハンディ・キャップ・ゼロのプレイ―ヤであればワン・ラウンドの間に打つショットはパターも含めて平均72です。さらに、本当のプロであれば、バック・ティーから打っても軽々60台です。  ところが、私のようなへぼプレイヤーは「百八つ。煩悩の数を目標にしています」などといいながら、実際にははるかに多くのショットを打って、山を越え、谷を下り、時には池に入りながら駆けずり回ります。  これを観て「大原さん、頑張っていますね」とほめる人物はいないでしょう(皮肉なら別ですが…)。「もうちょっと、打ちっぱなしで練習してきたら?」といわれるの
  • 孫子と三賢人のビジネス その3

    2018-11-30 16:25  

    産業新潮http://sangyoshincho.world.coocan.jp/ 12月号連載記事 ■その3 戦わずして勝つべし ◆何もしないおじさん  私の友人で、メディア業界で長年働いた後、現在は自身の事業を行いながら大学の講義で教えている人物がいます。彼は毎年の授業で必ず学生たちにこのように言うそうです。 「君たち、社会人になったら会社というところには、何もしないおじさんがたくさんいるんだよ!」。 すると、学生たちは 「へぇ・・本当ですか?働かないおじさんがたくさんいたら、会社が成り立たないと思うのですが・・・」 と怪訝そうな顔をします。  ところが、彼らが卒業して2~3年後に彼のところへ遊びに来ると 「先生のおっしゃったことは本当でした」 と口をそろえて言うそうです。  このような会話はあちこちで交わされていると思いますが、この「学生」や「先生」の考え方は根本的に間違っていま
  • ドラッカー18の教え 第14回

    2018-04-26 08:39  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 5月号連載記事■大きければいいというわけではない ●大きいことはいいことだ?  私と同世代かそれ以上の方なら、山本直純氏が出演したエール・チョコレート(森永製菓)の「大きいことはいいことだ!」というコマーシャルをご記憶のことでしょう。当時はまだ高度経済成長時代で、規模さえ拡大すれば、業績(利益)は後からついてくると思われており(実際かなりの部分においてそうだったのですが・・・)、「大きさ」を追求する世相をうまくとらえて、このCMは爆発的にヒットし、おかげでエールチョコレートもかなり売れました。  今では、やたら規模だけ大きくても仕方がないということは、大手金融機関・企業の破たんによって、世の中に知られるようになりましたが、それでも企業経営者の報酬は、会社の業績やクオリティよりも、規模によって大きく影響されま
  • ドラッカー18の教え 第10回

    2017-12-29 15:31  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 1月号連載記事■人間には人物を見分ける能力など備わっていない ●富を生み出すことができるのは人間だけである  「富を生み出すことができるのは人間だけである」。まったくその通りです。どれほど優れた機械やソフトウェア―でも、まず「人間が意志を持って機械やソフトウェアをこの世に誕生させなければ、それらの製品そのものがこの世に存在しない」ということになります。  つまり、それらの製品にとって人間は「創造主=神」ということになります。  もちろん、それらの製品は、人間が意図をもって作動・運用しなければ、何の富も生み出さず、単なる物体にしかすぎません・・・  また、地中に眠る原油や鉄(銅)鉱石でも同じことです。  地下資源は、地球の歴史の中で数千万年、数億年単位で存在していましたが、人類がたった数千年前に文明と呼ばれる
  • ドラッカー18の教え 第8回

    2017-10-26 17:38  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 11月号連載記事■人間の手だけを雇うことはできない ●猫の手も借りたい  「猫の手も借りたい」という慣用句があります。実際に役に立つかどうかは別にして・・・忙しい時には「猫の手」でさえ頼りにしてしまうという意味です。もっとも「猫の手」だけを切り取って持ってきても仕方がありません(少しシュールな表現ですが・・・)。同じように「人手不足」の会社に切り取った人間の手をすらっと並べても何の役にも立ちません。  猫や人間の手は本体(胴、頭、足など)が一緒になっていてこそ初めて役に立ちます。さらに、少なくとも人間の本体(多分猫もそうではないかと思いますが・・・)には「心」が付いてきます。  この心がドラッカーのいうところの「ビジネスにおいて最も厄介なもの」ですが、その「ビジネスにおいて最も厄介なもの」である心こそが、「
  • ドラッカー18の教え 第7回

    2017-09-20 12:58  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 10月号連載記事■好きなことをするというのは、必ずしも楽をすることではない  「好きなこと」をすれば、やる気・意欲が高まるから仕事の効率が上がり、良い結果が出せる。その通りです。ただ、「好きなこと」の定義はなかなか難しいと言えます。  例えば学校のクラブ活動を例に挙げてみましょう。  「雑談部」というクラブがあるとします。放課後部室に集まって、若い男女が色々な話をするのは楽しいでしょうし、多くの人にとって「好きなこと」の一つには違いないかもしれません。  しかし、現実にはそのようなクラブを(少なくとも私は)見かけたことはありません(事実上そうなっているクラブは時折見かけますが・・・)。  なぜ、「雑談部」が存在しないのか?親や学校の先生の受けが良くないのはもちろんのこと、同級生からも馬鹿にされるというのが原