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小説「株仲間のぼやき(その4)」
2019-07-23 18:18晴海トリトンスクエアはWからZまで4つの建物で構成された一つの街である。 そこにはオフィスはもちろん、レジデンス、小売店、スーパー、飲食店、銀行などもあり日々賑やかに人の往来が見られる。 トリトンブリッジを渡ってすぐのところにある2階につながるエスカレーターを上がり、見渡すと各建物につながっている巨大ホールの存在感に圧倒される。 その中の一つであるX棟で開かれる晴海トリトン株同好会では会長の田崎とその友人で会の盛り立て役であるキャバクラ好きの与太慎一の明るい声が響き渡っていた。与太:「会長、もう予定開始時間を10分も過ぎてまっせ。多摩ちゃんの話は良いから、そろそろ始めましょうよ。」会長:「わかったよ。与太さん。今日はいつもよりお客さんの数が多いんで張り切っていきますよ。」「皆さん、本日もお集り頂き有難うございます。株は山あり谷あり、波乱万丈の世界ですが、このところの米中貿易摩擦で皆さんの -
小説「株仲間のぼやき(その2)」
2019-07-03 01:48トリトン株同好会には会長をはじめ楽しいメンバーが集まってくる。会長「今日から7月。皆さんのその後の運用成績はいかがでしょうか。」 その日の株式相場はG20が終わってほっと一息かと思ったが、予想以上にダイナミックな急騰を演じていた。 日経平均は一気に21700円台となり前日比454円高。2.13%の上昇を演じていたが、メンバーの中には心なしか元気のない顔があった。与太「会長、先週まで強かった多摩ちゃんはもう終わり?」 メンバーは株に愛称をつけて呼び合う習慣がある。 もちろん多摩ちゃんは多摩川ホールディングス(6838)のこと。 多摩ちゃんは先週2100円台の高値をつけ、1カ月もないうちに株価は倍以上にもなったのでメンバーの関心が高かった。与太「こんなに日経平均が上がっているのに多摩ちゃん株は今日も下げているよ。」会長「そりゃそうだろう。上がった株に利益確定売りが出るのは当り前。今日なんかは -
小説「株仲間のぼやき(その1)」
2019-06-26 22:07東京の晴海には株好きな仲間が集まって、ワイワイと賑やかな集まりをする場所があるらしい。 トリトン株同好会というこの集まりには株投資のベテランから初心者まで約20人のメンバーがいて、月1回の懇親会ではお酒を酌み交わしながらお互いに持っている株を披露しているとのこと。 先週もまたこの集まりがあったらしい。会長「この間、買った株はまた下がったけど、安いよな。でも本当によく下がってくるな。」 この会の会長はいわゆるバリュー銘柄が好きで、延べ40余りの銘柄に投資しているようだが、その多くはバリュー銘柄とのことだ。与太「会長、下がっているって、何買ったの?」会長「岡山の建設コンサルタント会社、ウエスコホールディングス(6091)は親しくしているアナリストの意見に従って決算で配当が取れる7月を目標にコツコツ安いところ拾って上がってきた。でもその調子でこのアナリストが言う別の中堅ゼネコン株を安いと思って -
孤独の株式投資(特別シリーズ:その1)
2018-05-09 20:40
~サラリーマン株重豊久が味わう株の世界~ 株重豊久のイメージプロフィール 43歳の中年サラリーマン。カブ歴は15年で億の近道の読者。億の金融資産を50歳までに作ろうと株の研究に勤しんでいる。今は人があまり見向きもしないような銘柄だが、味わい深い銘柄を研究対象にしてなかなかすぐに株価が上がらなくても孤独にその良さを味わっている。 **** **** **** **** 株重はどちらかと言うと地方にある銘柄が好きなようだ。 時にはQボードや名証2部に上場しているような銘柄も研究の対象としている。 日創プロニティ(3440・Qボード)はその自慢の銘柄の一つだ。 1年半前に研究し始めた株重はこの株を540円でポートフォリオに入れたと記憶している。その後ジリジリを株価水準を高め、今や1000円という水準である。とにかく地味ながら良いところがあるのに誰も見向きもしないよう -
株式連載小説「億の近道」第1話
2016-11-16 20:34
今号よりスタートします株式連載小説。その名もズバリ!!「億の近道」。 トランプだろうと誰だろうと生まれた時は裸一貫。最初は無一文で親の庇護の下、人生をスタートさせます。 トランプ大統領も親の仕事を引き継ぎ大きな資産を形成したのかと思いますが、気が付いたら大金持ちなどという人は少なく、途中では紆余曲折。とかくこの世はままならず、すったもんだの挙句に苦労に苦労を重ねてそれなりのお金をつかむ。 めぐり来るお金の多寡は千差万別。 小さなお金を早く億にしようともがむ人生模様を株式投資の世界で描く読者待望の株式小説。 山あり谷ありの株式相場を相手に戦う人々の葛藤や悩みを主人公である松永は優しく包んでくれる。 さあ、こんな時代だからこそ、億を目指そう!!この小説を読みながら…。第1話:出会い 外資系投資顧問会社で、アナリスト兼ファンドマネジャーを務めていた松永芭蕉は、あまりに生き馬の
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