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長期投資読本 炭化ケイ素パワー半導体業界の展望
2022-11-23 00:41
=長期の技術のトレンドの筋= 長期投資の筋として、製品の付加価値の上昇と付加価値当たりの費用の下落とが共存するイノベーショントレンドがあることをお話しました。 よい長期の技術のパターンその1:表面積が付加価値 表面積が付加価値になっている場合は、触媒や半導体など、界面が作用するケースで、どんどん薄化するとか、小型化するとかすることで、付加価値あたりの費用という相対的な指数(いわゆる比率)を改善することができたのでした。 これは中身が詰まった金属の塊を想定してください。 たとえば銅の塊を極薄に引き延ばすことで箔にすると、どんどん表面積を大きくすることができますね。立方体でその中身は詰まっているイメージ。 よい長期の技術のパターンその2:体積が付加価値 逆に体積が付加価値で表面積が費用の場合、主に空間、中身が空気であるものが多いのですが、段ボール箱のようなものを想定してください。 段ボール箱 -
長期投資の入門 第10回 SiCパワー半導体
2022-10-12 14:50
まず、最初にお知らせがあります。 鳥取市と松江市にお住いのみなさま、セゾン投信のリアルセミナーが開催されます。10月15日と16日の午後2時からです。 なかなか山陰に行く機会がないので、みなさまに直接お会いできるのを楽しみにしております。鳥取セミナーhttps://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220719091647.html松江セミナーhttps://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220719092148.htmlよろしくお願いします。=SiCパワー半導体= さて、次世代パワー半導体SiC MOSFETの将来性について連載してきました。本日もSiCパワー半導体の続きです。 技術的なトレンドは、とかく表面積を増やして付加価値当たりのコストを抑えること。 最初、SiCは小さな4インチの基板(ウェハー -
ひょっこりひょうたん島の日本
2022-06-16 23:34
四方を海に囲まれた和の国、日本には大陸国家とは異なる文化がある。 島国であるがゆえに逃げ場がない一方で外国からの侵略にも遭いにくい。 理不尽なことをやりそうな隣国に接しているが海に囲まれているため攻めるのはかなりの軍備が必要で、元寇の時に攻められたことが一度あるだけで、それも神風で難を逃れたという歴史がある。 そうした海洋国家である日本に攻め入る国は元寇以来なかったが、それから600年余りを経過して太平洋戦争が勃発。海洋国家、日本も米国からの東京大空襲や原爆の投下という悲惨な出来事を味わうことになった。 そしてまた、理不尽な隣国による軍事進攻の足音が近づいている。 日本がどこかに移動できれば良いのだが、残念ながらこの島国はかつて人気のあった人形ミュージカル劇「ひょっこりひょうたん島」のように大海原を漂うということはない。絶えず反社会的勢力とも言うべき理不尽な大陸国家の脅威に晒されている -
今こそ楽観論を
2022-04-28 13:19
億の近道創刊から22年も経過し私を筆頭に執筆陣もかなりくたびれてきたようです。それでも相川氏のような若手の執筆陣が加わるなど本メルマガも新たな時代を迎えるものと期待されます。 人の生き様は生まれて死ぬまでの歴史の中で語られ、昨日は119歳という世界最高齢の方が亡くなったとの報道がありましたが、株価と同様に山あり谷あり、波乱万丈の生き方もあれば平平凡々な生き方もあって人生十色。 甲状腺がんだと伝えられるロシアのプーチン大統領もいつまでも生きている訳ではなく、いずれは寿命が来てこの世からいなくなり人の歴史の中で語られる運命だと言えます。なぜウクライナを侵攻したのか、米国がなぜ止めないのかなど謎多き今回の進攻も後から語られる人類の歴史となって語られるのだろうと思います。 それにしても戦争は嫌なものです。幸福な暮らしを求めていたウクライナの人々が2月24日を境に暗転し悲惨な状況に陥ったことにな -
国土防衛に向けた視点
2022-04-28 13:10
2月24日に始まったロシアによるウクライナ侵攻から既に2か月が経過した。事態は長期化しなかなか停戦合意が見えないが5月9日の戦勝記念日に向けた東部地区への軍事進攻がポイントになると言われているが、こうした事態で日本にも危機意識が醸成されるべき局面となってきた。国民意識の向上や国土防衛の新たな戦略構築が求められる。[議論すべきテーマ]・核を持たない日本は核シェリングを含め近隣諸国による日本への核攻撃への備えはしておくべき・AI核防衛システム、攻撃アラームシステム、全国地下要塞プロジェクト・既存兵器での攻撃への迎撃体制、一般市民の退避行動システム・既存インフラの有効活用、地下シェルター構築構想:火山の爆発、津波への備えも兼ねた国家的退避インフラの構築・無人離れ小島の有効活用、友好国との連携、巨大な防衛基地建造・洋上避難基地建設 スイスの家庭では100%備わっている核シェルターが日本には0. -
非上場という選択肢
2022-04-28 13:08
日本で培われた高度技術がお隣の国に流出し脅威をもたらすとの話で思いつくのは上場しないという選択肢である。 上場するとディスクロージャーする必要もあり、事業活動で技術内容が外に漏れたりもする。そんなことは杞憂に終わると言っても過去において日本から漏洩した技術は枚挙に暇がない。 つまり国家戦略を担うようなハイテク企業は上場すべきではないという話に至る。東芝が厳しい岐路に立たされているようだが、まず東芝のような企業はある程度は国の保護が必要となるだろう。仮に原発再稼働となってもそこに従事していたエンジニアが不在では役に立たない。技術の伝承が必要なのにそこで活動が止まってしまってはいけない。 技術の流出は防がないとならない。とりわけ防衛技術やエネルギー技術国家の根幹を担う半導体などのハイテク技術を海外に盗まれるわけにはいかない。ヤンマーや矢崎総業などは非上場のままだが、立派な大企業として活躍し -
セラミックス:日本が誇る職人芸の世界8
2020-07-01 00:43【NOXセンサー】 前回のDPFに続き、ガソリンエンジンにもディーゼルエンジンで利用されているDPFと同様のフィルターが装着する見通しとなった。 というのが数年前に記述したレポートでして、ガソリンエンジン用のGPFについては、現況を確認してからいずれ億近でフォローさせて頂く予定です。 今回はNOXセンサーについてです。 世界的に排ガス規制が強化されることに加え、欧州の二酸化炭素、日米の燃費規制など、省エネ規制が段々と厳しくなってきている。 HC、CO、NOxを一度に酸化還元できる三元還元触媒採用は、ガソリンエンジンでのクリーンな排ガスが実現したが、燃費規制をクリアーするためには小排気量化や燃焼効率向上が求められる。 燃焼効率向上のためには圧縮比を高めることが手っ取り早いが、高めすぎるとノッキング、つまり異常燃焼が起こり、最悪の場合、ピストンが融けてしまいエンジンが破壊する。 排ガスエネルギ -
セラミックス:日本が誇る職人芸の世界7
2020-06-17 00:15【コージェライトDPF、大型ハニカム】 ガソリンエンジン用に5億個以上の実績を背景に日本ガイシがコージェライトでもDPFに参入してきた。 特徴は低熱膨張、耐熱衝撃性でSiCの様に分割して製造し接着する必要がない代わりに、SiCと同様に片側の穴の目封じが必要だ。焼成温度は1200~1300度CとSiCより低く、コージェライトは低コストで製造可能。 DPF市場拡大見込みに加え、ガソリンエンジンでのパティキュレートフィルター搭載が視野に入ってきた(5年以上前のレポートですので、当時GPFは量産されていません)。 燃費を稼ぐために圧縮比を上昇させるとノッキングが生じやすくなることを記載したが、これを防ぐ方法としてシリンダー内に燃料を噴射する直接燃料噴射方式(一般に直噴という)が増加している。 吸気・圧縮・爆発・排気の4工程からなるピストンエンジンは排気後に空気とガソリンの混合気を吸引し圧縮させるが -
セラミックス:日本が誇る職人芸の世界5
2020-05-20 00:21自動車触媒担持用ハニカムフィルター(ガソリンエンジン用)のプレーヤーは日本ガイシとコーニングが2強で各々50%弱のシェア。残りはトヨタグループのデンソーで、素材の異なるメタルハニカムでは新日鉄住金マテリアルズ(日鉄ケミカル&マテリアル)。 触媒コンバータで初期に採用されたセラミックス材料はコージェライトが選定され現在でも利用されている。コージェライトはアルミナ、タルク、カオリンなど土中に含まれる成分でコストは・・・安いですね。 酸化アルミニウム(通称アルミナ)は地球上で酸素、珪素に次ぎ多い元素で、硝酸アルミニウムや硫酸アルミニウムを1200~1300度Cで熱分解または塩化アルミニウムを酸素または水蒸気で1000度C以上で反応させる。 酸化アルミニウムの2019年の輸入価格はキロ当たり30.9円。 カオリンはカオリン石から取れる粘土鉱物の一種で、カオリンの含有率が高いほど高温に耐える磁器と -
セラミックス:日本が誇る職人芸の世界4
2020-05-09 02:16セラミックス製造方法は前号で終了し、今回は排ガス規制についてです。 日本ガイシ・日本特殊陶業ともガソリン、ディーゼル車両の排ガス、燃費規制強化により、ビジネスが大きく育ってきた。 1963年に米国で酸性雨、オゾン層保護が目的の大気浄化法が制定され、自動車排ガスや二酸化硫黄排出の制限やフロン、四塩化炭素全廃の規制が成された。 その後、1970年に改正法であるマスキー法が提案され、、1970年以降製造される車両の一酸化炭素(CO)や炭化水素(HC)の排出量を10分の1以下に、1976年以降の車両では窒素酸化物(Nox)を10分の1以下とする世界一厳しい内容であった。 技術的に高い壁となったものの本田技研工業がCO、HC、Noxを同時に低減させるには燃料を完全に燃焼させる以外に方法はないと判断し、希薄燃焼実現に漕ぎ着けた。完成したエンジンはCVCCと名付られ、主燃焼室の上部に設けられた副燃焼室
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