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記事 71件
  • 書評:武士道

    2019-06-26 22:08  
    書評:武士道   新渡戸稲造 著、ちくま新書   https://amzn.to/2N8NjVt 本書において、武士道と騎士道が比較されているが、確かになるほどと思う部分がある。 特に、両者とも封建制度における「御恩と奉公」という一種の「社会契約」(文書によらない社会慣習法)に基づいて成立している点に注目したい。 武士も騎士も、社会契約により領地(国家)を守るために自己犠牲を払うことを当然とし、その基礎の上に、「名誉を重んじる」あるいは「死を恐れない」というような精神的規範が形成された。 封建制というと、いかにも古臭くて抑圧的に思われがちであるが、実のところ全く逆である。 例えば、欧州においては、絶対王政のもと、国民は農奴などの牛や豚(あるいは奴隷)と同じ扱いを受ける人々が大半であった。 そのような権力者が国民を蹂躙する中で、絶対権力に抵抗するかのように成立したのが封建制度である。 絶対王
  • 書評:量子コンピュータ 超並列計算のからくり

    2019-06-20 16:53  
    書評:量子コンピュータ 超並列計算のからくり   竹内繁樹 著、講談社ブルーバックス   https://amzn.to/2In5yls●コンピュータの歴史 マスコミが騒ぐ先端技術のほとんどは眉唾ものである。 常温超電導、常温核融合、空飛ぶ自動車、AIなど・・・詳しくは現代ビジネスの2018年8月27日の記事「騙されるな、空前の電気自動車(EV)ブームは空振りに終わる」 https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57205?page=3 を参照いただきたい。 量子コンピュータもその「空騒ぎ」の一つであると思われる。 数学的に二進法を確立したのは17世紀のゴットフリート・ライプニッツで、"Explication de l'Arithmetique Binaire"という論文も発表しているが、現代コンピュータの理論的な歴史は少なくともそこまではさかのぼるであろう
  • 書評:とことんやさしい宇宙線と素粒子の本

    2019-06-13 16:04  
    書評:とことんやさしい宇宙線と素粒子の本   山崎耕造著、 日刊工業新聞社   https://amzn.to/2WvOOfE キリスト教は「終末論」で信者を増やしてきた宗教であり、初期の終末論として有名な「ヨハネの黙示録」(執筆年代はローマ皇帝ドミティアヌスの治世(西暦81年~96年)の末期といわれる)は、遠い未来の話では無く、当時キリスト教を迫害していたローマ帝国が神の怒りに触れて滅亡し、キリスト教徒が救われるというリアルタイムの話(いろいろな説がある)であった。 しかし、その後なんとコンスタンティヌス1世は、311年に「ミラノ勅令」を発布。325年にはニカイア公会議を開催してキリスト教を国教化している。 さらに西暦1000年のミレニアムには、終末論が再び高まり、贖罪のために全財産を貧者にばら撒いた金持ちも少なく無かったようだ。 西暦2000年の際にも、Y2K問題というコンピュータプロ
  • とことんやさしい燃料電池の本 第2版

    2019-06-06 14:38  
    書評:とことんやさしい燃料電池の本 第2版   森田敬愛 著、 日刊工業新聞社   https://amzn.to/2Xp52sr●地球温暖化騒動という愚行 私は、「地球温暖化騒動」は、ほとんど根拠が無いものと考えている。 もちろん、古代から地球の気温は、何回もの氷河期を挟んで、激しい変動を繰り返しているから、地球の気温が変化しないということでは無い。むしろ、過去の大幅な気候変動に比べれば、現在の地球の気温は、安定的であるということだ。 そもそも、厳しい氷河期が終わり「地球温暖化」が始まったからこそ、1万年ぐらい前から人類は偉大な文明を築き始めた。地球温暖化と「人類が排出する二酸化炭素」の因果関係を明確に示す証拠などなにひとつないということでもある。二酸化炭素は元々地球の大気中に大量に存在し、二酸化炭素のおかげで植物は生育できるのである。 ちなみに、シアノバクテリアが登場して、酸素を大量に
  • 書評:銃・病原菌・鉄(下) 1万3000年にわたる人類史の謎

    2019-05-27 23:24  
     書評:銃・病原菌・鉄(下) 1万3000年にわたる人類史の謎 ジャレド・ダイアモンド 著 草思社 https://amzn.to/2VXpnYr●「愛と思いやりの社会」と「恐怖と暴力で支配される社会」 本書は<銃・病原菌・鉄>を主題とした文明論であるが、人類の「コミュニケーション」について述べた本とも言える。 「銃による殺し合い」、「病原菌による感染」、「鉄という「知識」の伝達」はどれも、人間と人間の間のコミュニケーションによって発生する。 著者は「我々が未開だと思っているアボリジニなど狩猟採取生活をしている人々の方が個体としては優秀だ」と述べている。 筆者も全くその通りだと思う。例えばアボリジニに限らず、ナイジェリアなどでも「弱い乳幼児」はすぐに死亡する。厳しく言えば自然淘汰だ。日本のような先進国ではごく当たり前の「保育器」など提供されない。 また、高齢者も自分で自分の面倒を見ることが
  • 書評:二宮尊徳 財の命は徳を生かすにあり

    2019-04-25 01:46  
     書評:二宮尊徳 財の命は徳を生かすにあり 小林惟司 著、ミネルヴァ書房 https://amzn.to/2ICxQK4●真の革命家・尊徳 二宮尊徳(金次郎)は歴史に名を残す有名人だが、その功績・人柄が誤って伝えられている典型であろう。 戦前の修身の教科書に、明治天皇の次に多く取り上げられていることから、軍国主義教育と結び付けられがちだが、むしろ尊徳は戦後GHQや米国人の研究者から「リンカーンに匹敵する民主主義の巨星」とほめたたえられたくらいである。 まず、農民から幕臣にまで大出世したことだが、本人が望んだことでは無い。むしろ、尊徳のすぐれた行政・財務改革に嫉妬・畏怖した小田原藩の家老をはじめとする武士の抵抗勢力が、小田原藩の改革に口を出せないように祀り上げてしまったというのが真相だ。 実際、ほぼ同じ時期に小田原藩はとてつもない功績を残した尊徳に、藩への出入りを禁止するという忘恩行為を行っ
  • 書評:生物化するコンピュータ

    2019-04-19 16:48  
     書評:生物化するコンピュータ デニス・シャシャ&キャシー・ラゼール著、講談社 https://amzn.to/2UZUrq2●デジタルは原始的である 「生物化するコンピュータ」という言葉の持つ意味は大きい。人類の文明において「デジタル」が表舞台に登場してきたのは、ここ半世紀ほどのことである。それまでは、すべて基本的にはアナログであった。 現在のトルコに残された、現存する人類最古の遺跡とされる「ギョベクリ・テペ」の時代から約1万年、同じ祖先からサルと分岐したのが2800万年から2400万年前頃と推定されていることを考えれば、ごくごく最近の話だ。 だから、世の中で「人類はアナログからデジタルに進化する」という考え方が流布するのも仕方が無いのかもしれない。 しかし、これはまったく間違った考えである。 生物はデジタルからアナログへ向かって進化しており、特に人間の脳はアナログだからこそ、高度な情報
  • 書評:二宮金次郎とは何だったのか

    2019-04-17 10:24  
     書評:二宮金次郎とは何だったのか 臣民の手本から民主主義者へ 小澤祥司 著、西日本出版社 https://amzn.to/2P2DiGQ ●二宮金次郎の虚像 今、二宮といえば、嵐(ジャニーズ)の二宮和也氏をさすのであろうが、二宮金次郎もたぶん日本人なら誰でも知っている有名人である。 ただ、「いったい何をやった人なのか?」ということについて、明確に答えることができる人は少ないのではないだろうか? 二宮金次郎は、江戸時代の後期、相模の国(現在の神奈川県)小田原藩の貧しい農家に生まれた。洪水で田畑を失い没落した家の再興を若くして果たし、その再興手腕を藩の重臣の家の再興でも活用。最後には幕臣にも取り立てられた立志伝中の人物である。 その活躍は、主に現在の栃木県で行われたが、その名声は近隣にも鳴り響いた。 その中でも、静岡県の掛川市は傍流とも言えるが、後の明治期に至るまで、二宮金次郎の始めた<報徳
  • 書評:銃・病原菌・鉄(上)

    2019-03-30 02:17  
     書評:銃・病原菌・鉄(上) 1万3000年にわたる人類史の謎  ジャレット・ダイヤモンド著、草思社  https://amzn.to/2OpVtpu  大航海時代以降、欧米が繁栄し、アジアやアフリカなどの人々を植民地化し蹂躙したのは偶然か?必然か?  本書では、欧米人が現在の世界を支配しているのはタイトルの三つが直接的な原因だと考えているようだが、それは(下)で議論が展開される模様だ。  (上)ではその三つの直接的原因の遠因について議論が展開される。 基本的には  1)人類がどのように余剰生産を生み出し、それを活用したのか?  2)余剰生産を生み出すための、栽培化、家畜化は、世界のそれぞれの地域でどのように発展したのか  3)後年、南米大陸で、自らの肉体を細菌兵器化し、アステカ人をほぼ全滅させたスペイン人をはじめとするヨーロッパ人は、どのように免疫を獲得したのか? に関する議論を展開し
  • 書評:ニュートン2019年4月号統計と確率

    2019-03-22 17:27  
     書評:ニュートン2019年4月号統計と確率   https://amzn.to/2TOVZmM  投資の神様ウォーレン・バフェットは、「投資をするのに高等数学が必要なら、私はいまだに新聞配達をしていただろう」というジョークをとばしている。  実際、私の35年以上におよぶ投資人生(バフェットの半分ほどしかないが・・・)においても、高等数学が必要な場面に遭遇したことが無い。  一時<金融工学>なるものが流行って、ディーラーや経済学者がやたら難解な数式を振り回して暴れたが、投資ではほとんど成功できなかった・・・・ノーベル賞経済学者を集結させたLTCMは、金融業界を揺るがすような破た んをしている。  バフェットが鋭く指摘するのは、「目の前に2メートルの柵があれば、それをよじ登ろうとせずに、周りに30センチの柵が無いか探すべきだ」ということである。私は、同じことを「鼻からうどんを食べる必要は無