-
書評:大国の興亡<下巻>
2018-10-18 15:20書評:大国の興亡<下巻> 1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争 ポール・ケネディ 著 草思社 https://amzn.to/2Cju0Sf■平和主義がナチスの台頭を招いた 第一次世界大戦以降、本書が執筆された1980年代後半までの「大国の興亡」が詳細に述べられている。 日本は第一次世界大戦の戦勝国であり、自国が戦場になることは無かったので、その悲惨さについてはあまり語られることが無い。 しかし、4年半の総力戦による戦死者は800万人。回復不能な障害を負った者が700万人。重軽傷を負った者が1500万人。また、ロシアを除いた全欧州で、500万人が、戦争がもたらした病気や飢饉や物資の不足で死んでいる。ロシアでは内乱による多数の死者を合わせると、それ以上の人間が死んでいる。さらに、1918年~19年にかけて流行したインフルエンザは戦争で疲弊した数百万人の -
書評:大国の興亡<上巻>
2018-10-10 23:52書評:大国の興亡<上巻> 1500年から2000年までの経済の変遷と軍事闘争 ポール・ケネディ 著 草思社 https://amzn.to/2RDGtW1 ■法皇様に支配された暗黒時代からの脱出 <上巻>だけを読んだ段階でも、500年におよぶ(上巻では第1次世界大戦のあたりまで)欧州史の壮大な歴史絵巻には圧倒される。 およそ1000年の間のキリスト教(カトリック)支配のもと、西ヨーロッパ圏では古代ローマ・ギリシア文化の破壊が行われ、多様性を失うことにより、世界に誇るような文化を生むことはできなかった。いわゆる中世を暗黒時代である。 この期間におけるキリスト教支配は苛烈であり、宗教裁判において典型的に見られるように、教会に雇われたプロフェッショナル(拷問師)による拷問、火あぶり、八つ裂きなどその残虐性は際立っていた。北朝鮮の将軍様ならぬ、カトリックの法皇様の独裁によ
1 / 1