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書評:二宮尊徳 財の命は徳を生かすにあり
2019-04-25 01:46書評:二宮尊徳 財の命は徳を生かすにあり 小林惟司 著、ミネルヴァ書房 https://amzn.to/2ICxQK4●真の革命家・尊徳 二宮尊徳(金次郎)は歴史に名を残す有名人だが、その功績・人柄が誤って伝えられている典型であろう。 戦前の修身の教科書に、明治天皇の次に多く取り上げられていることから、軍国主義教育と結び付けられがちだが、むしろ尊徳は戦後GHQや米国人の研究者から「リンカーンに匹敵する民主主義の巨星」とほめたたえられたくらいである。 まず、農民から幕臣にまで大出世したことだが、本人が望んだことでは無い。むしろ、尊徳のすぐれた行政・財務改革に嫉妬・畏怖した小田原藩の家老をはじめとする武士の抵抗勢力が、小田原藩の改革に口を出せないように祀り上げてしまったというのが真相だ。 実際、ほぼ同じ時期に小田原藩はとてつもない功績を残した尊徳に、藩への出入りを禁止するという忘恩行為を行っ -
書評:二宮金次郎とは何だったのか
2019-04-17 10:24書評:二宮金次郎とは何だったのか 臣民の手本から民主主義者へ 小澤祥司 著、西日本出版社 https://amzn.to/2P2DiGQ ●二宮金次郎の虚像 今、二宮といえば、嵐(ジャニーズ)の二宮和也氏をさすのであろうが、二宮金次郎もたぶん日本人なら誰でも知っている有名人である。 ただ、「いったい何をやった人なのか?」ということについて、明確に答えることができる人は少ないのではないだろうか? 二宮金次郎は、江戸時代の後期、相模の国(現在の神奈川県)小田原藩の貧しい農家に生まれた。洪水で田畑を失い没落した家の再興を若くして果たし、その再興手腕を藩の重臣の家の再興でも活用。最後には幕臣にも取り立てられた立志伝中の人物である。 その活躍は、主に現在の栃木県で行われたが、その名声は近隣にも鳴り響いた。 その中でも、静岡県の掛川市は傍流とも言えるが、後の明治期に至るまで、二宮金次郎の始めた<報徳
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