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書評:徳の起源 他人を思いやる遺伝子
2018-02-09 11:48書評:徳の起源 他人を思いやる遺伝子 マット・リドレー 箸、翔泳社 http://amzn.to/2EKbx0u ■「利己的な遺伝子」(ドーキンスが主張するのと同じ意味) 私も含めた人類は「自分の利益を最大化するため」に行動する。これは決して間違いではありません。実際、自然淘汰というのはそれぞれの個体(遺伝子)が自己利益を最大化する結果生じるものです。 ところが、この自然界の「自分さえ良ければいい」という部分だけに着目し「合理的経済人」(という妄想)を産み出した経済学がほとんど機能しないのも事実です。 本書は、「人間は自分のことだけを考える悪人なのか?それとも他人のことを常に気にかける善人なのか?」という古くて新しい課題=<性悪説VS性善説>的な観点を踏まえて、人間の<徳>について論じています。 興味深いのは、著者が得意とする遺伝子的な観点からの考察。例えば同じ血縁集団の中であ
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