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書評:武士道
2019-06-26 22:08書評:武士道 新渡戸稲造 著、ちくま新書 https://amzn.to/2N8NjVt 本書において、武士道と騎士道が比較されているが、確かになるほどと思う部分がある。 特に、両者とも封建制度における「御恩と奉公」という一種の「社会契約」(文書によらない社会慣習法)に基づいて成立している点に注目したい。 武士も騎士も、社会契約により領地(国家)を守るために自己犠牲を払うことを当然とし、その基礎の上に、「名誉を重んじる」あるいは「死を恐れない」というような精神的規範が形成された。 封建制というと、いかにも古臭くて抑圧的に思われがちであるが、実のところ全く逆である。 例えば、欧州においては、絶対王政のもと、国民は農奴などの牛や豚(あるいは奴隷)と同じ扱いを受ける人々が大半であった。 そのような権力者が国民を蹂躙する中で、絶対権力に抵抗するかのように成立したのが封建制度である。 絶対王
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