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記事 2件
  • 書評:種の起源(下)

    2018-03-14 12:49  

    書評:種の起源(下) チャールズ・ダーウィン 箸、光文社文庫  http://amzn.to/2HvM62D●人間の脳は最近ほとんど進化していない  下巻では進化(種)の中間的存在の生物が、化石として見つかるケースが少ないという批判に対して、<地層堆積の膨大な時間の中で生物が化石として保存されるケース(可能性)が少ない>ことなどを、地質学の深い知識から論じています。  当時はまだ大陸移動説(ドイツの気象学者アルフレート・ヴェーゲナーが1912年に提唱した説がはじめとされる)は登場していませんでしたが、地形の変化によって生物の分布や化石の見つかる範囲が大きく変わるということにはすでに気付いていました。  この議論の中で感じるのは、生物の進化というのは数百万年、数千万年、数億年、数十億年(ダーウィンの時代にわかっていたのは4億年~5億年前のシルル紀のあたりまでです)の悠久の時間を味方にして
  • 書評:最新脳科学で読み解く「脳のしくみ」

    2018-01-18 12:56  

    書評:最新脳科学で読み解く「脳のしくみ」 車のキーはなくすのに、なぜ車の運転は忘れないのか? サンドラ・アーモット+サム・ワン 箸  http://amzn.to/2EJYzyE  「人間経済科学」において考察する「人間」の中心が「脳」にあることは否定できません。したがって「脳科学」は「人間経済科学」を構成する主たる要素の一つです。  特に本書は、生科学的な脳の機能の解説だけではなく、脳と人間の行動との関係性に重点を置いた話が中心であるため、「人間経済科学」の観点からも貴重な内容にあふれています。  「行動経済学」でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマンと相棒のエイモス・トヴェルスキーの研究に触れた部分もあります。  興味深いのは、映画からの引用が多いこと。「レナードの朝」、「レインマン」、「アルジャーノンに花束を」など脳機能に障害を持った主人公が登場する映画は山ほどありますし