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石川臨太郎という存在
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石川臨太郎という存在

2019-07-03 12:51



     その人は、最初に「リスクテイカー」と名乗っていた。
     のちに、「リスクは避けるものでは無く管理するもの」という金言を残す。

     2003年に、億の近道本誌へはじめて寄稿したときは「石川凜」と名乗っていた。
     その連載は、「ツキを呼び寄せるためには、ツイていると言い続ける」が主旨。
     いわば、いつもリスクに対峙を続ける投資家への応援歌でもあった。

     株で得た資産を国内不動産、海外不動産、金の現物などに分散しながら、専業投資家のキモである生活防衛とリスクマネーの分離を確立していた。


     2008年末には自身の成功体験や失敗談をベースに、投資家としてのメンタルを指南したいと、有料メルマガを開始。
     いまでは様々なところから専業投資家の有料コンテンツが世に出ているが、彼は間違いなく先駆けである。
     発刊にあたり、メンタルや投資哲学だけではお金を出して購読してもらうのは厳しいとの協議により、「研究銘柄」が生まれた。

     さらに「臨太郎」に改名すると伝えてきた。

    「勝海舟かい?」
    その問いに
    「ふふふ。字は違うけどね。」
    といたずらっ子のように返ってきた答えが印象的だった。


     「研究銘柄」(村田雅志氏が「研究の研究」で指摘した通り、初期は「銘柄研究」と言うタイトル)は、毎回1銘柄を深掘り調査分析して提示するスタイルとなった。

     「研究銘柄」は、財務分析と定性分析という二つの軸を置き、時には企業へのメールや電話取材を敢行してその質を高めていった。

     あるとき、YEN蔵氏を加えた3人でのふとした雑談から「中期経営計画」と「採用サイト」というキーワードが浮上した。以降、分析の中に織り込むこととなった。
     中期経営計画は会社のビジョンや経営者の覚悟・矜持が透けて見える。
     採用サイトは、自社のビジネスや強みを学生へ理解させるために、平易な表現や例を挙げて開示している。
     これらを投資判断の材料に使わない手はない。

     そして、配信開始半年を待たず、有料メルマガの内容が進化した。
     2009年5月頃のことである。

     以後、バランスシートの比較分析を加えるなど、彼の投資家としての成長とともに、有料メルマガの内容もさらに進化していった。


     彼がよく使うフレーズに、
    「進化論のダーウインは、強いものが生き残ったのでは無く、変化出来るものが生き残ったと言っている。」
    がある。
     彼はまさに地で行っていた。


     彼は非常にアイディアマンでもあった。

     世が株主優待に注目しつつあるような雰囲気を感じると、
    「今度は研究銘柄を一時置いといて、株主優待銘柄特集をやりましょう!」と提案してきたこともあった。
     自転車で移動する優待投資家がメディアで騒がれる遙か前から、彼は優待投資家だった。

     愛妻家の彼は、無料で送られてくる食品や金券の山を背景に、愛妻へ投資の効用を説いたことだろう。

     また、常に、近い将来から数十年先までの展望を持ち、それを元に投資先を選定していた。
     それは投資テーマやトレンドのみならず、技術的・政治的背景をも織り込んだものだった。

     大きな目線からストーリーを考え、最終的に投資対象銘柄まで落とし込む。
     当たり前のようでなかなか実践出来ないことを、彼は難なくやり遂げていた。

     それらは、業界別の特集や、投資テーマの特集などに結実し、読者へ提供された。


     10年もの間、毎週やりとりをしていた。
     そんなに長くやっている感覚は無かった。

     それはいつもの日常。
     週末に原稿を仕上げ、送られてくる。
     それをチェックし、必要なら内容確認し、有料メルマガを仕上げていく。

     後期には、もういちいち確認しなくても、言わんとすることが理解出来た。
     これが歳月というものか。

     結果、509回にわたる毎週配信の軌跡がある。
     10年もの間、休んだのは2週だけだ。
     925万文字。それは10年間で彼が表現した内容だ。
     1号あたり平均17,500文字。
     文字通り力作だ。


     余命宣告を受けても、彼は冷静であった。
     即座にやらねばならないことを判断し、そして粛々と実行した。
     人生の窮地に立たされて、そこまで冷静にいられる人間がいるのか、と驚きの目で見守るしか無かった。


    「本を出したい。」
     そう言って相談されたのは、余命宣告から1週間も経たない頃。
     そうして驚くべきスピードで出版への道が出来ていく。
     覚悟を決めた人間の行動力は凄い。素直にそう思った。

    「面白いと思って書いた。どう?」
     書き下ろし原稿が送られてくるたび、間髪入れずに電話がかかってくる。
     そんな日々が2ヶ月続いた。


     抗がん剤の副作用で朦朧としながらも、
    「本当は売買している場合じゃ無いんだけど、銘柄の見直しを少しした。わかっちゃいるけど、より良い株を遺すためについ動いてしまう。」
     そんな電話もかかってきた。

     あぁ、この人は本当に株が好きなんだな。
     そう思った。


     ありがとうございました。あなたのおかげで私も大変勉強出来ました。
     心より感謝申し上げます。安らかに。


    ぢんぢ部長(松田憲明)


    追伸。
     石川臨太郎の有料メルマガを著書「カンニング投資術(ダイヤモンド社)」で取り上げていただいたJACKさん、ありがとうございました。ちょうど上梓のタイミングで有料メルマガが休刊となってしまいまして、ご迷惑をおかけいたしました。
     「カンニング投資術」 ⇒ https://amzn.to/2Jhn4ae
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