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記事 79件
  • ドラッカー18の教え 第17回

    2018-08-01 18:18  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 8月号連載記事 ■強みに集中し、弱みは無視しろ ●企業は強みによって競争に勝つ、弱みでは無い  「企業は強みによって競争に勝つ、弱みでは無い」という言葉がドラッカーの考えを雄弁に物語っています。ただ、神が与えた人間の本能は、多くの人々に全く反対の行動をとらせます。  役所に申請に行って「あっ、10頁の3行目ですけど、「ケ」の横線がちょっとだけ枠からはみ出ているので、再作成して提出してもらえますか?」と言われるような官僚主義は別にしても、「他人の欠点や間違いを見つけ出す才能」は、ほぼ万人に公平に与えられています。読者の方々も、上司、あるいは部下の欠点の一つや二つ上げるのはわけないことでしょう。あるスポーツ紙はだれが日本の首相になってもけなすことで有名ですが、どれほど優れた宰相でもスポーツ新聞のネタにできるよう
  • 書評:トコトンやさしい 配管の本

    2018-07-12 20:38  
    トコトンやさしい 配管の本 西野悠司 著、日刊工業新聞社  https://amzn.to/2ueL5qS  ウォーレン・E・バフェットは「投資の成功のための本質」を「安く買って売ることである」と看破しています。  「なんだ、当たり前のことじゃないか!」と思われる方が多いかもしれませんが、バフェットに言わせれば「世の中のほとんどの投資家は、この<安く買って高くる>という簡単なことができていないからうまくいかないのです。  バフェットが師匠ベンジャミン・グレアムから教わった二つの重要事項の一つは「ミスター・マーケットと名付けられた、日々の躁うつ病にも似たマーケットの不安定な動きに左右されないこと」ですが、もう一つがこの「安く買って高く売る」ことです。  ただし、「安く買う」と言っても「昨日あるいは去年よりも株価が安い」というような意味では決してありません。バフェットは市場の日々の動きはまっ
  • ドラッカー18の教え 第15回

    2018-06-01 20:38  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 6月号連載記事■コミュニケーションは受け手が主役 ●禅問答  こんな禅問答があります。 「誰一人いない山奥で大木が倒れた。音は聞こえるか?」  山奥で大木が倒れれば、空気は当然振動します。しかし、それが「音」になるためにはその音が、人間の耳の中の鼓膜を振動させ、その振動が脳の中で音として認知される必要があります。つまり、だれもいない山奥で木が倒れても、音を感じる人間がいなければ音は聞こえないということです。  ドラッカーも著書でこのエピソードを取り上げていますが、「誰もいない山奥で叫びまくっている」経営者やマネージャーは決して少なくありません。  経営やマネジメントにおけるかなり深刻な問題といえるでしょう。 ●情報とコミュニケ―ション  ドラッカーは人間同士でやり取りされるものを、「情報」と「コミュ二ケーシ
  • バフェットからの手紙(2018)

    2018-03-08 15:56  

     今年も2月24日(土)に、バフェットからバークシャー・ハサウェイ株主へのメッセージ、いわゆる「バフェットからの手紙」が公開されました。 (ちなみに、バークシャー・ハサウェイからの情報の公開は、市場がオープンするまで投資家が十分考慮・分析するために週末に行うのが基本です)  元々は、日本でも多くの上場企業が発行している株主通信の「社長メッセージ」のようなもので、あくまで株主にしか発送されなかったものですが、その優れた内容から大評判となり、今日ではバークシャー・ハサウェイのHPでだれもが読めるようになったわけです。リンクは下記です。  http://www.berkshirehathaway.com/letters/letters.html  しかしながら、バークシャー・ハサウェイの経営権を取得してから53年目の今回は「禅譲」を意識してか、かなりあっさりしたものであり、これまで恒例であっ
  • 書評:道徳感情論(第4部~7部)

    2017-11-10 01:31  
    道徳感情論(第4部~7部) アダム・スミス 箸、村井章子+北川知子訳、日経BP社  http://amzn.to/2z5HPCm  本書を読了して感じたのは、あくまでアダム・スミスは、ギリシャのアリストテレスやエピクロス、ローマのキケロ等に連なる(道徳)哲学者であるということです。  彼は本書の中で、共感=(社会への)同調の重要性を説いています。日本的な表現で言えば「世間様」「お天道様」に恥じない行為こそが、各個人に求められるのだという主張を繰替えしているわけです。  自分の本能を適切にコントロールすることが、個々人の「徳」を高めるのに極めて重要であり、それができない本能が優勢な人間は、「下劣な下司野郎」だというわけです。  スミスの定義によれば、銀行・証券を含む金融機関のほとんどの人間は下劣な下司野郎ですし、金儲けに血眼になっている投資家の大半も同様です。  しかし、スミスが、利己心を
  • ドラッカー18の教え 第4回

    2017-06-22 22:52  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 7月号連載記事■すでに起こった未来を探す。未来を予想することはできない。  人間とはいったいどのような存在なのか?と問われたとすれば、答えは無限に等しくあるでしょう。  私が一番気に入っている答えは「人間は神とサルの間に存在する」というものです。つまり、「ある時は神様のように崇高であり、逆に、あるときにはサルのように本能に従って行動するのが人間である」ということです。ただし、人間はサルでも神様でもありません。そこにははっきりとした線引きがあります。  例えば、神様にできて人間にできないことの一つに「未来を予想する」ことがあります。神様には未来がお見通しであっても、人間にとっての未来は、まさに深い霧の中に存在するのが現実です。  年末、年始になると新聞や雑誌で「景気・為替・株価見通し」の特集が組まれ専門家や著
  • バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第17回

    2017-02-24 00:56  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 3月号連載記事■競争戦略名言集その2 ●良い競争相手・悪い競争相手  「競争相手は全て敵だ!」と考える方が少なくないかもしれません。それが必ずしも間違いだとは言いませんが、例えばほとんどの業種に「業界団体」が存在するのはなぜでしょうか?  同じ業種で同じ顧客をターゲットにビジネスを行っている企業は全て競争相手のはずですが、それぞれが同じ業界団体の一員として歩調を合わせて行動することも珍しくありません。それは、業界の外にも闘うべき相手がたくさんいるからです。  例えば業界全体の不利益になる政府の過剰規制、自分たちの業界に攻め込もうとする他の業界の企業群等々と対峙するためには、それぞれの企業が個別に対処するよりも業界の企業全体が一枚岩となって行動した方が圧倒的に有利です。ですから、業界全体の利益のために協調的行
  • バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第16回

    2017-02-02 22:10  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 2月号連載記事■競争戦略名言集その1 ●正しいやり方は一つではない  「正しいやり方は一つではない」という言葉自体は、ドラッカーもその著書の中で繰り返し述べています。彼は「マネジメントのやり方」や「会社組織のあるべき姿」に関して、唯一絶対の公式などなく、それぞれの企業の個性や状況によって「正しいやり方は何通りでもある」と主張しています。  また、バフェットも、買収した数多くの企業の経営をそのまま既存の経営者に一任していることからもわかるように「成功するやり方はたくさんある」と考えているのです。  それにも関わらず、世の中の学者やコンサルタントなどが「見果てぬ唯一絶対の公式」を求めて空回りしているのは、「経済学」を科学だと誤解している点に大きな原因があります。  例えば、物理学をはじめとする科学において実証実
  • バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第12回

    2016-08-24 11:58  
    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 9月号連載記事 ■競争戦略の核心その4 社風 ●決算書や数字のデータだけで企業の良し悪しはわからない  バフェットやドラッカーは、現代の会計システムの問題点をしばしば指摘します。バフェットの師匠であるベンジャミン・グレアムは、その名著「証券分析」などで、具体的な事例を使って、合法的な会計基準の変更をいくつか行うことで、高収益会社をぼろ会社に見せたり、その逆にぼろ会社を高収益会社に見せかけることがいとも簡単にできることを証明しています。  また、ドラッカーは、「会計を学んで1年もすれば、減価償却の基準を変えることによって、ほとんどあらゆる利益を損失に変えることができることを知る。 また、近い将来と遠い将来のニーズの評価次第でいかようにも会計を操作でき、これらに大きな影響を与えることのできる支出項目はとても多い」
  • バフェットとポーターに学ぶナンバーワン企業戦略 第11回

    2016-07-20 13:33  
    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 8月号連載記事■競争戦略の核心その3 仕入れ力(節約力) ●差別化とコストコントロール  バフェット流で「ブランド力」と表現される内容は、ポーター的に言えば「差別化=競争力」と言えますし、ドラッカーの表現を借りれば「イノベーション」に相当するでしょう。  これら三つの内容は、全く同じではありませんが、同じことの違う側面に注目して違う表現をしているといえます。  例えば、一神教であがめる神はすべて同じ(イスラムは旧約聖書も新約聖書も経典の一つとして認めているし、イエス・キリストは周知のようにユダヤ人のユ ダヤ教徒であり、ユダヤ教の聖典である旧約聖書を認めている)なのに、イスラムではアッラー、ユダヤ教・キリスト教ではヤハウェ(エホバ)と呼び、それぞ れ全く違った宗教としてお互いに敵対しているようなものです。  また