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記事 252件
  • 東大生と京大生への講演 その5

    2023-09-14 19:42  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■12■株価の理論 さて、準備体操の説明が終わった。ようやく、株の理論のことを述べよう。 まず、バリエーションに触れよう。アナリストが最初に習う理論は、配当割引モデル(DDM)である。DDM:P=d0*∫[t=0 to t=N]exp{(g-r)t}dt DDMは、r-gを一組にしたもの、だからr-gをひとつの説明要因と見なせる。後は配当の継続期間によって説明される。 この継続期間をNとする。r-gやNの2つだけを決めれば、DDMによって、理論株価が算出できる。■13■DDMの普及を阻害するもの 残念な
  • 東大生と京大生への講演 その4

    2023-09-07 23:19  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■10■真の学力を備える 一流のアナリストになるには、情緒は必要だ。だが、それだけでは不十分だ。 アナリストには真の学力が必須だ。 何かを論理的に理解しなければならないとき、わたしは数学や物理や工学の力を借りる。世の中というものは、そもそも、簡単に理解できるようなものではない。むしろ、世の中とは、ほとんど、人間にはわからないものであろう。 だから、新聞や雑誌やテレビなどで、誰もが理解できるように工夫されて書かれた媒体に接しているなら、最後まで物事はわからないままであろう。 世の中には人生をそれだけに費や
  • 東大生と京大生への講演 その3

    2023-09-01 14:55  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■7■アナリストとしての準備理論を学ぶ前に、アナリストがやるべき「準備体操」とでもいうべき前段がある。 それは、「よい目を持つこと」、そして、「眼を養うこと」だ。 世の中をありのままに見よう。そして、遠い過去にも、遠い未来にも思いを馳せよう。感じよう。 ありのままの世の中はなんと美しいことか。人間はなんとすばらしいことか。 曇りなき眼で世の中を見て多くのことに感動する。 そうした「よい目」を持つことはよい投資家になるための必要条件だと思う。 人は偏見を持ち、時には激しい思い込みをしてしまう。 間違った認
  • 東大生と京大生への講演 その2

    2023-08-25 15:15  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■4■理論株価は強い確信があるときのみ意味を持つ 確かに、ユニバースをすべてチェックして、すべての企業の株価と業績から理論株価を算出し、理論株価が現在の株価を上回っている度合いに順序をつけることは可能かもしれない。だが、それは、あまり意味がない。 なぜなら、ほとんどの企業は理論株価を考えるだけの強い確信度合に欠けるからだ。つまり、ほとんどの企業は「並み」の企業であり、景気などの外部環境に大きく左右される。理論株価のベースになる将来の配当列をアナリストが自信をもって書き切れない。 だから、ほとんどのユニバー
  • 東大生と京大生への講演 その1

    2023-08-09 15:39  

    「アナリストよ、歴史家のように記述し、科学者のように分析し、芸術家のように共感し、哲学者のように思考せよ。」 2015年に東大生と京大生を相手にアナリスト業務について講演したことがありました。その講演内容をメモってくれた東大生のA君がいました。 8年前のものですが、懐かしく想い紹介します。■1■疑問 「バイサイド」と呼ばれる機関投資家に所属し、運用の現場で日々奮闘している若いアナリストたちは四半期ごとの短期業績について膨大な時間を費やしている。それらは本当に重要なことなのだろうか。 運用の現場では、ファンドマネージャーが売りと買いの材料を「絶えず」探しているように見える。 投資の材料を「絶えず」探し回る必要はあるのだろうか。 運用対象としての株式はそんなに頻繁に売買する必要があるのか。 今日10%下落している銘柄を明日5%リバウンドするかどうか議論をする。 この議論は本質的なものだろうか
  • "この人ならば!"と見込んだ方が大活躍してくれて

    2023-08-01 13:50  

     組織に所属する以上、辞めるときは、「立つ鳥、跡を濁さず」。迷惑をかけないようにと心掛けてきた。組織を離れるときは、「この人ならばやってくれるだろう」と意中の人を口説き、引き継いでもらう。 DFR(ダイヤモンド・フィナンシャル・サービス)役員のOさんとわたしが2018年から始めたのが月額課金のポートフォリオ提供サービスであった。構想に半年以上をかけたプロジェクトだった。 発足当時60人でスタートし、21年には300人近くになっていた。毎月、着実に会員が増えていった。ニーズはあった。たとえば1億円の資産がある方がアクティブ・ファンドに1%の運用報酬を払えば年間100万円のコストになる。DFRなら年間12万円なのでお得になると考えたお客様が多かった。 ただし、提案されたポートフォリオを構築するために、証券会社に自分の口座で顧客自らが発注しなければならない。わたしにとってもモデルポートフォリオ
  • 誹謗中傷あふれる社会

    2023-07-25 22:14  

     この社会には他者を匿名で誹謗中傷する最低な輩が存在する。 自らの不遇を憂さ晴らしがしたいのか、それともひねくれた正義感から毒を吐くのかは本人ではないのでわからない。 これまでわたしは誹謗中傷には寛容であった。 ただし、若く才能あふれるタレントのryuchellさんが誹謗中傷を気にして自殺するような悲しい出来事が生じた。ある方はこうした誹謗中傷社会を「執拗なネットリンチで追い込まれ、亡くなってからもまだ罵声が続くグロテスクで冷酷な社会」と嫌悪感をあらわにしたという。 もはや誹謗中傷は社会的に見過ごせないのではないかと考えを改めつつある。 匿名による誹謗中傷で他者を平気で自殺に追い込むような人には相応の痛みを受けてもらった方がよいのではないか。 昨今は弁護士請求でNTTなどのプロバイダーから個人をある程度は割り出せると聞いている。 わたしにとっても、かつて、本当に迷惑な事件が生じたことがあ
  • ヴェルナー・ゾンバルト「恋愛と贅沢と資本主義」(1922)(講談社)の視点 (その3)

    2023-07-21 19:48  

     100年以上前の本ですが、タイトルはドイツの経済学者ゾンバルト(1863-1941)の書籍です。 アマゾンリンク ⇒ https://amzn.to/3JCkwmW 前回、無から有が生まれる様を描写しました。 お風呂、シャンプー、持ち家の例をあげてみました。 逆にいえば、水にお金を払わない時代のうちに、水メーカーの株を買えば、水が有料化されたころに儲かります。 このように、株式投資のコツは、無から有へとなる領域を探すことです。 領域も拡大していきます。月明りや蛍の光は無料の光源でしたが、蝋燭が普及し光源は「市場」になりました。 宇宙空間への市場の拡大。女性市場への拡大(たとえば女子ボクシング女子野球)。男性市場への拡大(たとえば男性用化粧品)。 こうした市場拡大は留まることを知りません。 時間の拡大も同様です。夏野菜の通年化、賞味期間の拡大、冷凍市場の拡大(冷凍できる時間軸が拡大してい
  • ◆億の近道5000号記念プレゼント!!

    2023-07-20 19:41  

     億の近道5000回を記念して、アンケートにお答えいただくと、抽選で以下の賞品が当たります! A賞~C賞までお好きなコースをお選びください。全てのコースへの申込みもOKです。 奮ってご応募ください。●A賞:炎のファンドマネージャ有料メルマガ「炎の投資情報」1ヶ月購読権 :3名様 詳細= http://www.iforum.jp/honoh/●B賞:村田雅志氏の石川臨太郎分析「生涯パートナー銘柄の研究の研究」 全12回:3名様 詳細=https://note.com/okuchika/m/m1942860db708●C賞:山本潤氏書籍「初心者でも勝率99%の株ポートフォリオ戦略」:3名様 amazonリンク ⇒ https://amzn.to/44xtbzq●応募〆切 7月28日(金)23:59 発表は、当選者へメールでお知らせします。 *C賞当選者は、送付先住所を返信ください。 以下のリ
  • ヴェルナー・ゾンバルト「恋愛と贅沢と資本主義」の視点(その2)

    2023-07-13 21:07  

     100年以上前の本ですが、タイトルはドイツの経済学者ゾンバルト(1863-1941)の書籍です。 アマゾンリンク ⇒ https://amzn.to/3JCkwmW ゾンバルトによれば、フランスのルイ14世の時代には、国家財政の3割弱が王様の個人的な支出だったそうです。これらの個人的な支出は手工業者や大工の左官仕事に費やされましたが、画家、金属細工屋、ガラスや、彫刻家にも多額の支払いとなりました。マリーアントワネットの衣料費については細かい記述があります。 そこで、思考実験です。 仮に、人類の供給能力が格段に向上したとしたら、どうなるでしょうか。 単なる需給論・均衡論で考えるとモノの価格は限りなくゼロになってしまいます。 なぜならば供給能力が格段に上がれば需要と供給のバランスが崩れてしまい価格が暴落するからです。 株式投資ではこれからのことを考えるのですが、わたしたちの狭い視野で考える