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為替市場動向~関税と利下げ~
2019-06-14 13:13米国発の市場ニュースのキーワードTariff(関税)に並ぶのはRate Cut(利下げ)。 米金融当局FRBは、トランプ大統領からのプレッシャーを受け、市場からの利下げ期待に取り囲まれている印象です。 米国債利回りは、中期ゾーンも利下げを織り込む形で下げ、年初は2.4%水準だった2年物利回りは直近1.9%水準に低下。今年中の利下げ確率予想は97%。12月の政策金利のフォーワードレートは1.77%(現在の政策金利は2.25~2.5%)まで低下しています。 今後開催のFOMC(連邦公開市場委員会)での3回の利下げを織り込むという、ややフライング気味の印象を受けます。 6月のFOMCは、来週18日~19日に開催されます。今月の利下げ確率は、さすがに21%程度。現在、インフレ率は低く、関税問題による将来の景気下振れリスクがあるとはいえ、すぐに利下げを正当化するほどの経済指標も見当たらないことから -
為替市場動向~すべては米中次第?~
2019-05-31 02:09米中貿易問題、EU議会選挙、BREXIT関連のニュースがヘッドラインで目立つ中、長期金利の低下が主要各国で進んでいます。 米国債10年もの利回りは、2.3%を割り込み、直近では2.24%まで低下。これは、2017年10月以降の水準。これは、政策金利の実効レベルである2.4%を下回り、ここだけ見ると逆イールド状態になっています。 一般的には、景気後退予兆のサインとしては2年物vs10年物利回り(直近は、+0.13BP)とされてきましたが、ここへ来て、超短期金利と長期金利の比較も取りざたされるようになっているのは、利下げ期待に加えて、昨今の長期金利の低下の背景には、やはり景気後退入りが近いのでは?という心理が見え隠れしているのかもしれません。 先週5月22日に、5月のFOMC議事録が公開されました。 注目されたのは、金利面のことよりもFRBのバランスシートにある国債ポートフォリオの再構築につ -
為替市場動向~メイ・ストーム、そろそろ落ち着く?~
2019-05-27 23:27無事に通過か、と思われた日本の10連休。連休明け直前5月5日の驚きの発信源は、米国トランプ氏のツイートでした。 既に、ご存じのように、米中貿易交渉において、「中国側が約束を破った」ことを理由に、中国製品への10%から25%への輸入関税引き上げや対象商品拡大の方針が打ち出され、中国からも米国からの輸入製品への関税引き上げが報復措置として取られ、資本市場は都度、リスク回避となり、5月相場は波乱でのスタート。特に異例の長い連休ボケにかかりつつあった日本への目覚ましともなりました。 相場格言にSell in Mayというのがあります。6月の半期決算を前にポジションを調整する傾向を示唆したものですが、今回は、まるでMay Stormでした。 5月5日から10日経過して、そろそろ一連の材料も消化されつつあり、また、米中貿易協議の再開もあるようなので、一旦は落ち着きどころ探しでしょうか。相場格言に、「 -
為替市場動向~重要イベントも続く10連休~
2019-04-26 00:50中国の予想以上に良い経済指標を受けてリスクオンも見られるマーケットですが、欧米は先週末にイースター休暇。続いて、今週末からは日本の10連休と、何かと方向感が出にくい相場です。 日本のGW10連休中には、米国ではFOMC、4月の雇用統計発表といった波乱の可能性があるイベントが控え、ポジション調整中心の様子見気分が強い展開です。 今年の年末年始、特に正月にドル円相場が、瞬間的に大きく円高に振れた経緯から、前代未聞の10連休中の市場リスクオフによる円高リスクが警戒する声も聞こえます。 10連休中の市場に波乱のインパクトを与える可能性大と思われる重要イベントのスケジュールを以下に挙げてみます。 1)4月26日(金)米国 2019年1~3月期のGDP速報値 2)4月30日(火)~5月1日(水)の5月FOMC 3)5月1日(水)米国 4月のISM製造業指数 4)5月3日(金)米国 雇用統計 1)3) -
為替市場動向~なかなか決まらないBREXIT、米中協議~
2019-04-17 10:294月第2週央。東京は冷たい雨。今年は長く楽しめた桜も散る頃合いとなったようです。 4月に入り高値圏の株式市場は昨日は軟調に、ドルもやや軟調に推移となりました。 昨日、IMF(国際通貨基金)が世界成長見通しを3.3%に引き下げ。 今年3度目の引き下げで、2009年の金融危機以来最低数値への修正だったことや、米トランプ大統領のEU製品110億ドル相当への関税をかけるとツイートで呟いたことも影響したものと見られます。 米国も日本も株式市場が高値圏に来ていたので、利益確定の理由でもあったでしょう。 また、米国の経済指標では、2月のJOLT求人件数が昨年の4月以降で最低だったことも芳しくないニュースでした。 今年に入ってからの米国経済指標は、政府閉鎖の影響が暫く残り、その後も強弱入り乱れ、決め手に欠けるものが多く見られます。 先週末に月初恒例の前月(3月)の米国雇用統計が発表されました。雇用者数は -
為替市場動向~FRB更なるハト派色~
2019-03-30 02:19主要国の中央銀行がハト派化。と、当コラム前号でも記しましたが、先週行われた米国の金融政策を決定する連邦公開市場委員会FOMCでの決定は、市場予想以上に、それを色濃く表明しました。 今回のFOMCの主な決定事項は、政策金利の現状維持(2.25~2.5%)で市場予想通りでしたが、注目されたのは以下2点を示唆したことでした。 1)2019年2回の利上げ予定を見送り(2020年の1回は据え置き) 2)2019年9月末にて、バランスシートの縮小を停止する方針 2)に先立ち、5月から米国債保有分の縮小を300億ドルから150億ドルに半減を決定。 1)2)は、市場が予想以上のハト派度でした。 FOMC後のパウエル議長会見では、景気見通しは変わらず「ポジティブ」との発言。 一方でFOMC経済見通しは12月の数字から下方修正(例えば、実質GDPは2.3から2.1、失業率は3.5~3.7 -
為替市場動向~どちら様もハト派化~
2019-03-16 12:38より多くの人が納得する結論を出すための多数決という民主制のシステム。 英国のEU離脱に関する(BREXIT)法案議論で結論が出ない英国議会を見るにつけ、多数決の難しさを感じます。 3月29日のEU離脱予定日を2週間後に控え、欧州議会のあるストラスブールに飛んだメイ首相が、11日にEUとの間で「法的拘束力のある変更」修正案で合意したとの報を受け、通貨ポンドは上昇したのも束の間、法案を持ち帰った英国議会では否決で、ポンド下落、と乱高下。 議会採決日の直前で忍耐強く修正案を纏めたメイ首相でしたが、残念な結果です。 あとは、合意なき離脱なのか?延期するのか?の議会投票が今日明日に予定されています。 合意なき離脱案の可決はないとは思いますが、延期要請案になったとしてもEU側に承認されることも必要ですし、仮にEUもOKしたとしても、EUユンケル議長が「政治に2度はあるが、3度目はない」と -
為替市場動向~英EU離脱目前。こう着の為替相場~
2019-03-05 01:15今週末から3月への月替わり。 今月に入り、株式市場が戻り相場となる中、債券市場、為替市場はこう着状態が続いています。 英国のEU離脱BREXITの期日が実質的に1か月を切る中、未だ行方は不確か。新しいニュースが出る度にポンドが乱高下。2月の主要通貨のパフォーマンスでは、対米ドル上昇のトップが英ポンド。特に昨日、「メイ首相が、離脱延期案を検討」の報で上昇したのが影響しました。 一方で、多くの主要通貨は、2月月初来昨日まで、対米ドルで下落しました。 さて、今週は、注目イベントが続く週でもあります。 26日27日にはFRBパウエル議長の上下院での議会証言。28日には米国の18年第4四半期のGDP数値発表があります。また、政治的には米北首脳会談、進展が伝えられる米中貿易協議の行方も、米中首脳会談開催も含めて楽観的な見方を織り込みつつあるだけに、逆に、今後の動きには気をつけたいところで -
為替市場動向~心配な欧州景気鈍化~
2019-02-16 01:55日本の建国記念日連休前には急落した株式市場も、春節明け後の中国市場の堅調ぶりに、連休明けにはリカバー。さらに、昨日から今日にかけては、米国の暫定予算の期限15日を前に懸念されていた予算案が議会を通過したことで政府機関の閉鎖回避へ、また、米中貿易協議の件でトランプ大統領が柔軟姿勢が見られたことが好感され、投資家のリスク許容度に改善が見られ、空売り派もショートカバーを余儀なくされたようです。 リスクのONとOFFが忙しく交錯、まるで季節の変わり目の天候変化のようです。 為替相場は、2月に入ってから(プチ)ドル高傾向で推移。昨日2月12日にはドル指数(主要通貨をバスケットとした米ドルの相対的価値)が年初来高値となりました。年初から、レンジ内で上下していた相場が、ここへ来て上値を抜いてきた感じです。 最も、ドル高に寄与したのはユーロの弱さです。元々、バスケット通貨の中で比率が高いので、ド -
為替市場動向~波乱の後の静けさ~
2019-02-02 10:48昨年後半の動きを引きずって正月波乱で始まった2019年。1月もそろそろ明日で終わります。 更なるリスクオフか?!シナリオは(今のところ)肩透かしを食い、基本、急落からの反発で1月が終わりそうな雰囲気です。株式市場は、昨年末のクリスマスが大底だったと当面は言われる可能性が高そうです。 今後の景気シナリオ悪化がコンセンサスになってしまった感があるので、悪いニュースに驚きの反応をしなくなったのかもしれません。 日経平均年初1月4日終値19,518.17から始まりましたので1月の月足は陽線で終わるものと思いますが、前年同月で見ると下落(昨年1月末の日経平均は23,098.29)、買い戻しによる反発は伴いつつも、上値は重い展開が続くのではないかと思います。 さて、年末年初のリスクオフ相場を緩和したのは、米国FRBのパウエル議長の利上げ休止ととれる発言でした。「辛抱強く観察して、様子を見守
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