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記事 29件
  • ドラッカー18の教え 第16回

    2018-07-04 19:28  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 7月号連載記事■失敗のない人間は何もしてこなかったのである ●過去を変えることはできる  最先端のタイムマシンの研究(ほんの数十年前までは、タイムマシンの研究をしている科学者はマッド・サイエンティスト扱いでしたが、素粒子レベルでの研究は現在学問として認められつつあります)によれば、少なくとも素粒子レベルにおいては「現在から未来への移動」は実現可能とされていますが、「過去への移動」は、「タイムマシンが実際に制作されたときが限界」であるとされます。つまり、まだタイムマシンが制作されていない現在より過去への移動はできないとされています。  また「おじいさんのパラドックス」と呼ばれる問題もあります。  例えば読者の一人が過去にさかのぼって、自分のおじいさんを撃ち殺したとします。するとおじいさんの子孫であるその読者も
  • ドラッカー18の教え 第15回

    2018-06-01 20:38  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 6月号連載記事■コミュニケーションは受け手が主役 ●禅問答  こんな禅問答があります。 「誰一人いない山奥で大木が倒れた。音は聞こえるか?」  山奥で大木が倒れれば、空気は当然振動します。しかし、それが「音」になるためにはその音が、人間の耳の中の鼓膜を振動させ、その振動が脳の中で音として認知される必要があります。つまり、だれもいない山奥で木が倒れても、音を感じる人間がいなければ音は聞こえないということです。  ドラッカーも著書でこのエピソードを取り上げていますが、「誰もいない山奥で叫びまくっている」経営者やマネージャーは決して少なくありません。  経営やマネジメントにおけるかなり深刻な問題といえるでしょう。 ●情報とコミュニケ―ション  ドラッカーは人間同士でやり取りされるものを、「情報」と「コミュ二ケーシ
  • ドラッカー18の教え 第14回

    2018-04-26 08:39  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 5月号連載記事■大きければいいというわけではない ●大きいことはいいことだ?  私と同世代かそれ以上の方なら、山本直純氏が出演したエール・チョコレート(森永製菓)の「大きいことはいいことだ!」というコマーシャルをご記憶のことでしょう。当時はまだ高度経済成長時代で、規模さえ拡大すれば、業績(利益)は後からついてくると思われており(実際かなりの部分においてそうだったのですが・・・)、「大きさ」を追求する世相をうまくとらえて、このCMは爆発的にヒットし、おかげでエールチョコレートもかなり売れました。  今では、やたら規模だけ大きくても仕方がないということは、大手金融機関・企業の破たんによって、世の中に知られるようになりましたが、それでも企業経営者の報酬は、会社の業績やクオリティよりも、規模によって大きく影響されま
  • ドラッカー18の教え 第13回

    2018-03-30 10:58  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 4月号連載記事 ■長期と短期は両立しない ●日銭を稼ぐことと、将来の大きな果実  毎日の暮らしを成り立たせるために、定期的で確実な収入があるのが望ましいのは、いうまでもありません。しかし、その収入から将来への投資としてある程度の資金を振り分けることも必要でしょう。  例えば、個人でいえば、次のようなことです。  まず、自分や家族の生活を成り立たせるために会社で働き月給を受け取ります。この月給は、会社に問題が無いかぎり安定的にもらえるものですから、そのために一生懸命働くのは当然です。しかし、さらに自分自身を成長させ、より良い地位や給与を得るためには、自己研さんが必要です。  社内外の資格の取得のための試験勉強や、英会話能力を高めるために学校に通ったり、人脈・ネットワークを広げるためにビジネス交流会に積極的に参
  • ドラッカー18の教え 第12回

    2018-03-01 01:27  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 3月号連載記事■組織は凡人を非凡にすることができる ●一+一=三になる  数学の公式で「一+一=二」は誰でも知っています。そしてこの公式は普遍的であり、変わることがありません。また、現実の世界でも、佐藤浩市が某社のコマーシャルで語っていたように「力を合わせれば一+一=三になるというのは幻想であり、一+一はあくまで二にしかならない」と考える人々も多いようです。しかし、それは間違いです。  そもそも、一+一が二以上にならないのであれば、それぞれ一のままでいた方がましです。例えば、自営業者・フリーランスは一です。その一が集まって組織を作ってもメリットが無いのであれば、一億総フリーランスになった方が、国民にとって良いということになります。なぜなら組織に属すれば、当然のことながら組織のルールに拘束され、個人の自由が多
  • ドラッカー18の教え 第11回

    2018-01-26 00:15  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 2月号連載記事 ■短期の現象にシステムは無い。あるのは混沌だけだ。 ●複雑系とは何か  「短期の現象にシステムは無い。あるのは混沌だけだ」、そしてその混沌の中で「長期の時間軸をとればはっきりとしたトレンドが現れる」ということを説明するには、どうしても「複雑系」の理論に踏み込まなければなりません。  読者の方はすでによくご存じかもしれませんが、「複雑系」の定義をおさらいしてみます。  複雑系=『お互いに関連する複数の要因が集まった系。全体としてなんらかの性質などを見せる。しかしそれらの(全体としての)動きは、個々の要因や部分からは明らかでないもの』。  このように説明されると、「いったいなんじゃそれは?」ということになってしまうと思いますが、例えば気象について考えればわかりやすいと思います。  例えば明日の天
  • ドラッカー18の教え 第10回

    2017-12-29 15:31  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 1月号連載記事■人間には人物を見分ける能力など備わっていない ●富を生み出すことができるのは人間だけである  「富を生み出すことができるのは人間だけである」。まったくその通りです。どれほど優れた機械やソフトウェア―でも、まず「人間が意志を持って機械やソフトウェアをこの世に誕生させなければ、それらの製品そのものがこの世に存在しない」ということになります。  つまり、それらの製品にとって人間は「創造主=神」ということになります。  もちろん、それらの製品は、人間が意図をもって作動・運用しなければ、何の富も生み出さず、単なる物体にしかすぎません・・・  また、地中に眠る原油や鉄(銅)鉱石でも同じことです。  地下資源は、地球の歴史の中で数千万年、数億年単位で存在していましたが、人類がたった数千年前に文明と呼ばれる
  • ドラッカー18の教え 第9回

    2017-11-22 20:47  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 12月号連載記事■責任を負わなければ権限は無い。危機においてこそリーダーの真価が問われる ●古代では暴力と恐怖による支配が当たり前だった  人間社会が始まった時から、常に権力者は存在しました。秦の始皇帝、アレクサンダー大王、カエサル(シーザー)、ナポレオン等々数限りありません。彼らはほぼ例外なく、本来外敵から自国を守るはずの軍隊を国民に向け、「暴力とそれに伴う恐怖」で人々を支配しました。今から考えればひどい話ですが、古代社会から近代の初期に至るまでは「法の支配」などという考えも確立されず、権力者が権力と恐怖で人民を操るのはごく当たり前のことだったのです。  しかし、近代に入ってからは、すくなくとも先進国では、「法の支配」が優勢となります。どのような権力者でも、まったく人民を無視した政治を行うことは不可能にな
  • 書評:道徳感情論(第4部~7部)

    2017-11-10 01:31  
    道徳感情論(第4部~7部) アダム・スミス 箸、村井章子+北川知子訳、日経BP社  http://amzn.to/2z5HPCm  本書を読了して感じたのは、あくまでアダム・スミスは、ギリシャのアリストテレスやエピクロス、ローマのキケロ等に連なる(道徳)哲学者であるということです。  彼は本書の中で、共感=(社会への)同調の重要性を説いています。日本的な表現で言えば「世間様」「お天道様」に恥じない行為こそが、各個人に求められるのだという主張を繰替えしているわけです。  自分の本能を適切にコントロールすることが、個々人の「徳」を高めるのに極めて重要であり、それができない本能が優勢な人間は、「下劣な下司野郎」だというわけです。  スミスの定義によれば、銀行・証券を含む金融機関のほとんどの人間は下劣な下司野郎ですし、金儲けに血眼になっている投資家の大半も同様です。  しかし、スミスが、利己心を
  • ドラッカー18の教え 第7回

    2017-09-20 12:58  

    産業新潮 http://homepage2.nifty.com/sancho/ 10月号連載記事■好きなことをするというのは、必ずしも楽をすることではない  「好きなこと」をすれば、やる気・意欲が高まるから仕事の効率が上がり、良い結果が出せる。その通りです。ただ、「好きなこと」の定義はなかなか難しいと言えます。  例えば学校のクラブ活動を例に挙げてみましょう。  「雑談部」というクラブがあるとします。放課後部室に集まって、若い男女が色々な話をするのは楽しいでしょうし、多くの人にとって「好きなこと」の一つには違いないかもしれません。  しかし、現実にはそのようなクラブを(少なくとも私は)見かけたことはありません(事実上そうなっているクラブは時折見かけますが・・・)。  なぜ、「雑談部」が存在しないのか?親や学校の先生の受けが良くないのはもちろんのこと、同級生からも馬鹿にされるというのが原