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記事 14件
  • 『捨てられる銀行』シリーズ著者 橋本卓典さんに聞く。現場で取材を続ける理由と、これからの金融機関に求められるサービス - 前編

    2023-09-01 14:58  

     今回の対談のゲストは、共同通信社編集委員として精力的に日本各地の金融機関、中小企業への取材を続けている橋本卓典さんです。 2006年に共同通信社入社後、経済部記者として流通、証券、大手銀行、金融庁を担当していた橋本さんは、あるきっかけから地方に目を向け始めます。 金融行政と地域経済・地域金融を追った取材の成果は、2016年5月に『捨てられる銀行』(講談社現代新書)となって発表され、ベストセラーに。 その後も『捨てられる銀行2 非資産運用』、『捨てられる銀行3 未来の金融 「計測できない世界」を読む』を出版。 最新作の「地銀と中小企業の運命」(文春新書)も含め、「人とは何か?」という独自の視点で書かれた著作は高い評価を得ています。 前編ではそんな橋本さんのキャリアについて、後編では経験豊かな経済記者の目から見た「個人の資産運用とアドバイザー」について深掘りしていきました。 ●メガバンクを
  • 相場環境のよさ

    2023-05-25 22:46  

     日本企業はよくも悪くも欧米企業に比べて横並びの傾向がありました。時代と共に日本の経営者の質も格段に上がってきており、最近では「競合他社はどうしているのか??」という質問をする経営陣はめっきり少なくなっています。 自社株買いと配当を合わせた総還元率では期間利益の半分程度を目安に還元するという企業が珍しくなく、昨年に続いて今年度も自社株買いの枠は兆円単位で相場を下支えしそうです。 積極的な投資家への還元の背景には、昔に比べて銀行借り入れなどのコミットメントラインの設定が長期化できていることもあります。かつてはコミットメントラインも1年の枠であったのが、3年を超える中期的な枠を提供できる銀行も少なくありません。コミットメントラインがあれば、M&Aや経済危機にも対応できるようになります。 しかし、そうはいっても、コミットメントラインには銀行に有利なブリーチ条項が多数ちりばめられており、たとえば
  • 顧客本位とは何か?

    2023-05-23 18:41  

     5月12日(金)に、京都信金QUESTIONで開催されたイベント「顧客本位ってなんだ」に参加してきましたので内容を報告したいと思います。 まず最初に講演いただいたのが、「捨てられる銀行」シリーズで有名な共同通信編集委員の橋本卓典さん。 今回、第2部パネルディスカッションで参加いただいた、北國銀行、京都信金の2つの金融機関がどのように顧客本位な体制を築いてきたかというお話でした。 北国銀行は現在ホールディングス社長の杖村修司さんが、2013年の専務時代から大きな変革を起こしたそうです。 行内での変革の合言葉としては「顧客起点か?」ということを大切にして銀行内で起こるあらゆる事を「銀行目線」ではなく「顧客目線」「顧客起点」で再構築しなおしたようです。 営業のノルマも廃止し、収益主義、成果主義から顧客主義へ大きく変えました。 この変革を支えたのは、銀行システムの変革だったそうです。 銀行のシ
  • 投資先がない

    2019-11-23 12:52  
     先週はヤフーとLINEの統合発表によりLINEはストップ高、ZHDも約17%高となる一方で、TOBが済んだZOZOは寄付きこそ高かったものの、その後は続落しました。 個人的には8,000億円もの価格でZOZOを買うだけで何故に株価が上がるのか?不思議でしたが、流石にLINEとの統合は話題性があります。 が・・・、株価の方は正直なもので、SBGへの傘下入りで将来性を感じられる会社は株価が維持され、話題性で短期資金が入った銘柄や、オンライン衣料品会社は売られています。 これからは中小が乱立しているIT系企業のM&Aも話題性が高まりそうです。 注意点は、材料性の高いニュースが出れば一気に買われ、下方修正などが出れば直後から反射的な売りに見舞われることです。 例えば、直前まで数日間連騰していたMTG(7806)などは悪材料が出た途端に僅か5営業日で36%も下落しました。そもそも売上高500億円の
  • 不正融資の残滓

    2019-02-18 14:46  
     昨年9月、スルガ銀行の不動産融資の件で「まだまだ他行でも不正融資が出てきそう」と書きましたが、不正融資もさることながら、悪質不動産業者による様々な手口も露わになってきています。  TATERUに続きレオパレス21にも呆れました。  大手から中小まで荒みきった不動産業界。これほど遵法意識と倫理観を失っている業界は他に見当たりません。大きな金が動く「当たれば儲かる」業界ですから、金のために良識を失っていくのでしょう。  業界関係者が相談に来る場合も、「危なっかしく」そして「美味しそうな」案件が多いのですが、冷静に調査・分析すると「本当に儲かるの?」「止めた方が良いのでは?」と断る案件が多いです。兎に角、人の金(他人の褌、他人のリスク)を使ってひと儲けしたい、当たれば数年は悠々自適・・・と言うブローカー話が本当に多いです。  先日は不良債権への分類増加に困っている地銀から債権買取りを進めてい
  • 銀行の行方

    2018-12-02 16:03  

     まずは最近ニュースが増えている消費増税対策。  増税対策と言う名の選挙用バラマキ策が次から次へと出てきます。2%の増税に対して5%の還元策って何だろか?と・・・いよいよ意味不明です。  景気が好調でも補正予算を組み続け、少子化対策で始まった授業料無償化が大学にも広がり、無意味な軽減税率で混乱を招き、そして個人消費に対して5%の還元策(票田=地方後援会支援策)まで出てきました。これでは結果として減税策になり、富裕層優遇にもなってしまいます(呆)。  この時とばかりに、後援会員向けの選挙対策用バラマキしかゴキブリの頭には無いようです。票さえ取れれば、あとは野となれ山となれ・・・(^^;)  前回の増税延期時には、少子化や中国の景気減速などを「国難!」とまで言い切って延期を決めたのに、「選挙対策用」でしたから選挙が済めばこれと言った改革案など出るはずもありません。野党にしても対案を出してく
  • 銀行のサラ金ビジネス その3

    2017-12-04 23:00  

     また北朝鮮によるミサイル発射があったようですが金融市場への反応は限られました。国際社会の警告を無視した(無謀としか言いようの無い)軍事行動に対する反応が希薄になりつつあることに驚きます。  これがもし、欧州の(ロシア寄りの)どこかの国が地中海か北大西洋に向けて弾道ミサイルを発射したら大騒ぎになることでしょう。常識的に言えば、欧州諸国からは韓国は大変な状況に見えるでしょうし、日本の再軍備への議論が何時起きても可笑しくない状況と考えるのではないでしょうか?  毎度毎度「断固たる・・・」と言うコメントだけで収まってしまう不思議。アメリカ軍が居るから?・・・自分達で国を守ろうという意思の無い国をアメリカが自国民の命を危険に晒してまで救おうとするのか?有り得ません。  平和ボケの一言で済ませてしまえる事なのか?または見たくないものから眼を背けようとする人間の性なのか?いずれにしても国政トップが
  • 銀行のサラ金ビジネス

    2016-09-10 00:38  
     ちょうど2か月前、円ドル為替は6日連続の円高となり7月8日には瞬間的に100円/ドルを超えた後、20日までの僅か8営業日で107円(7%安)まで売られました。この間に日経平均株価は11%も上昇しました。  それまで6月下旬からの1か月間は指数が乱高下するだけの(寒々しい)博打相場でしたが、その後は為替動向と株価指数の連動性が落ちていることが分かります。  まさに日銀がETF増額を発表した以降です。  評判の悪い日銀のETF買付策ですが、少なくとも今のところは投機ファンドによる相場操縦を抑え込むことに成功しているようです。ただその一方で失われたものも大きく、長い効果を期待する(正常な)オペレーションとは言えないのでしょう。  まだ暫くはファンドのポジション調整による売買が続きそうですが、米大統領選の行方が見えてくる10月に入れば徐々に物色の方向性が見えてくるのではないでしょうか。  さて
  • 日本の銀行ビジネス

    2016-05-06 16:09  
    初めに。相変わらず日本のメディアはその低質性をまき散らしています。  上からの命令なのでしょうが、どの民放も似たような震災映像のレポートばかりで(大変だ、大変だと騒ぐだけで)他にニュースは無いのか?と、毎度ウンザリします。  ネットの書き込みには、視聴率を取れそうな映像を求めて立ち入り禁止区域に入り込み嫌がる被災者を映したりインタビューを試みたりと、救助や被災者の生活に障害となる行為にまで及んでいると書いてあります。  これらが本当なら、立ち入り禁止区域に侵入したレポーターは棒で叩いて良い…くらいの法律でも作らない限り止まらないのでしょうか。この体たらくの責任 も電波利権にしがみ付く総務省と関連(利権)団体にあります。これを書きはじめるとキリがなく読者の皆様に怒られそうですので…済みません(^^;)  ところで今年の日銀の金融政策について予想していたところでは、まずは0.1%だった当座金利
  • 急落中の高配当利回りの主力銀行株は買いか

    2016-02-18 13:49  
    東証1部の平均PERは13.7倍としても全体市場には恐ろしいほど低PER、低PBR、高配当利回り水準に放置されてしまった銘柄が散見されます。  もともと万年割安株として放置されてきた銘柄もあれば、業績の下方修正の可能性を先取りしたもの、流動性に難があり換金売りで一時的にしろ売り込まれている銘柄など様々ですが上場3600社の多くは右肩下がりの展開となる中で3月期決算の達成に邁進している筈。  前提となる為替相場を1ドル=120円としてきた輸出企業は現実の為替相場が一気に110円台まで円高になり、これが定着するとなれば業績の下方修正を余儀なくされることになります。  円安メリットから円高デメリットを受ける企業の下方修正の嵐が今後想定されることになります。  問題はこれがいつまで続くのか、落ち着く局面はやってくるのかということになります。  全面安から内需型企業の上昇と輸出型企業の下落が混在する