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記事 46件
  • 長期投資の入門 第11回 太陽光とEVと炭化ケイ素との不思議な関係

    2022-10-18 23:17  

    =太陽光とEVと炭化ケイ素との不思議な関係= SiCは結晶欠陥が非常に大きなものであること。さらに、SiCは結晶そのものが傾いていることです。また、SiCは加工が難しい。欠点だらけでした。 これだけの不利な点があるのにどうしてEV向けにSiCが注目されるかについてはいろいろな背景があります。 まずは、走行距離の制約がEVにあること。 そしてなぜEVなのか。 これはカーボンニュートラルの要請にあります。 結局のところ、太陽光や風力などの不安定な再生エネルギーで電力を賄う方向にある。しかし、発電において石化燃料を使わないとなると自然エネルギーの変動が激しさを克服する必要がある。 その激しさを埋めるためには大量の蓄電池が負荷平準化の社会システムとして必要になる。人類が必要とする発電量の数倍の風力と太陽光発電がこれから設置されていきます。数倍の発電量が必要なのは変動を見込んでいるためですが、蓄電
  • 長期投資の入門 第9回 パワー半導体について

    2022-10-06 11:56  

     いよいよ今月も最終日です。みなさま、いかがお過ごしでしょうか。 まず、最初にお知らせがあります。 鳥取市と松江市にお住いのみなさま、セゾン投信のリアルセミナーが開催されます。10月15日と16日の午後2時からです。 なかなか山陰に行く機会がないので、みなさまに直接お会いできるのを楽しみにしております。鳥取セミナーhttps://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220719091647.html松江セミナーhttps://www.saison-am.co.jp/seminar/detail/20220719092148.htmlよろしくお願いします。 さて、SiC MOSFETの成長性について連載してきましたが、本日もその続きです。=手順について おさらい パワー半導体について= 今回はパワー半導体のことを考えてみます。 手順は以下の通りです。1
  • 長期投資の入門 第8回 長期の技術のトレンドの筋

    2022-09-21 22:52  

    =長期の技術のトレンドの筋= 長期投資の筋として、製品の付加価値の上昇と付加価値当たりの費用の下落とが共存するイノベーショントレンドがあることをお話しました。☆よい長期の技術のパターンその1:表面積が付加価値 表面積が付加価値になっている場合は、触媒や半導体など、界面が作用するケースで、どんどん薄化するとか、小型化するとかすることで、付加価値あたりの費用という相対的な指数(いわゆる比率)を改善することができたのでした。 これは中身が詰まった金属の塊を想定してください。 たとえば銅の塊を極薄に引き延ばすことで箔にすると、どんどん表面積を大きくすることができますね。立方体でその中身は詰まっているイメージ。☆よい長期の技術のパターンその2:体積が付加価値 逆に体積が付加価値で表面積が費用の場合、主に空間、中身が空気であるものが多いのですが、段ボール箱のようなものを想定してください。段ボール箱は
  • 物価が15年で3倍になる時代!子供たちに燃え尽きない教育を

    2022-09-16 22:15  

     iPhone1台約28万円。 2022年9月に発表されたiPhone14シリーズの最上位機種の価格は、私がかつて証券会社で受け取った「初任給」をはるかに上回る価格です。下位の機種でも約14万円です。 億近読者の皆様こんにちは。 子を持つ親御様のために、お金の教育論について寄稿させていただいております遠藤です。 今回は、iPhoneの価格から気付きを得た、「子供を燃え尽きさせない教育」について解説します。 話を戻します。 iPhoneは、登場してから15年が経ちますが、その間で新機種の価格は約3倍になったことになります。複利で年率8%ずつ上昇したことになります。 この価格上昇率は、アメリカの現在のインフレ率と同じです。 2022年7月のアメリカの消費者物価指数は、前年比プラス8%超になっています。8%は15年複利で約3倍になる数字です。 平均的な物の価格が、iPhone並みのペースで上が
  • 長期投資の入門 第7回 勝利の方程式を満たす銘柄群は存在する

    2022-09-13 12:23  

    =勝利の方程式を満たす銘柄群は存在する= 前回紹介した「勝利の方程式」を満たす投資対象はあるのでしょうか。 多数あるのです。 たとえば省人化のサービスです。 省人化とは人の仕事を機械やITシステムで置き換えることです。 たとえば昔は目の良い若い人を大量に目視検査などに動員していましたが、いまではCMOSセンサで無人で行うようになります。多くの製造業は労働力をアジアなどの低賃金国に依存していますが、新興国の労務費は毎年のように上がります。すると人件費を代替できる製品やサービスの価値も毎年のように上がることになります。 テクノロジーの発展により人の仕事を置き換える領域はますます増えていきます。単純作業から仕事はロボットなどの自動化設備に置き換えられています。 数量増が期待できる市場は多数あります。 人の仕事を置き換える自動化関連の市場は対象がヒトであるため、世界の人口がこれからも増えるため、
  • 長期投資の入門 第6回 銘柄選定のための勝利の方程式

    2022-09-06 21:38  

     銘柄選定の基準とは、 1)伸びる市場で、 2)シェアを伸ばしていける企業であって、 3)その商品価格(付加価値)が上がっていくような企業 に投資をするというものです。 1997年から4年間、わたしは好成績を上げたことで、そのタイミングで投資本を出版することになりました。2001年にイーフロンティア社から「インベストメント」を出版したのですがその43ページに上記3つのシンプルな投資選定基準が書かれています。 amazonリンク ⇒ https://amzn.to/3cDMsJS 3つの条件とは 1)市場拡大 2)シェア向上 3)価格上昇(価格対費用比率の向上) が同時に生じる事象を見つけることでした。 この3つを「勝利の方程式」と呼んでいました。 証券会社でリサーチをしていたころから使用している基準ですのでかれこれ30年経過しますが未だに使用しています。-銘柄選定の条件その1 市場が拡大
  • 長期投資の入門第5回 スケールメリットの存在

    2022-08-30 13:27  

     配当は業績に連動し毎年増えたり減ったりします。 配当はずっと着実に増えるわけではないのです。 ただし有望な事業への投資を優先して行うことで新規の売上が既存の売上に付加されていくでしょう。 これから普及が始まる商品がある。 たとえば電気自動車や自動運転はこれから期待できる。 シェアを拡大するという商品もあるでしょう。 あるいは地域面で拡大できるものもあるでしょう。 たとえば関西で創業した会社が西日本で売り上げを上げるというパターンもある。そのうちに東日本に進出することもできる。さらに海外に進出できる場合もあるでしょう。 こうした普及率やシェアの向上や地域の拡大が成長のパターンです。 もうひとつのパターンは商品価格の上昇です。 たとえば半導体の製造装置は30年前では一台数億円だったものがいまでは一台で数十億円というものがざらです。さらに、員数の増加パターンがある。たとえば自動車に搭載される
  • 長期投資の入門 第4回 拡大再生産の背景

    2022-08-23 20:26  

    【拡大再生産の背景 資本の成長率の方が人件費の増加率よりも高い】 ここからは、企業がよい投資先がある状況を仮定し、利益の拡大再生産ができると仮定します。競争も厳しくなく、収益性の指標であるROEが長期に維持できると仮定します。 すると一株当たりの純資産であるBPSの成長率はROE×(1-配当性向)となります。ROEの水準の高さと配当性向の低さで複利効果が期待できるわけです。拡大再生産ができるという前提ですから。 一般に、ROEは配当利回りよりもずっと高いものです。 また所得の伸び率よりも企業の資本の伸び率の方が高いとトマ・ピケティは著書「21世紀の資本」(みすず書房2014年出版)で示しました。 資本収益率(=r)が経済成長率(=g)よりも高いという不等式が話題になった本でした。(r>g) アマゾンリンク ⇒ https://amzn.to/3KhJjvX ピケティの主張は至極当然のこと
  • 長期投資の入門 第3回 企業の業績は長期的に維持されるのか

    2022-08-17 16:01  

    【企業の業績は長期的に維持されるのか】 仮に企業規模が拡大せずにずっと売上や業績が横ばいだと仮定しましょう。 それでも毎年の配当の再投資により投資家の持ち分は複利で増えていきます。 このことを複利効果と呼びます。 たとえば2%の配当利回りならば2倍になるのに50年はかかりません。 もう少し早くて35年で2倍になることを計算で確認しました。 (1.02^35=2.00) 1.02の35乗が2 投資家が2%の配当利回りであっても資産を単利の50年でなく、再投資の複利35年で2倍にできると同様に、企業は利益が横ばいであっても再投資によって企業規模を複利で増やしていくことができるのでしょうか。 残念ながら、それは「できない」のです。 100の売上で10の利益を出す企業(利益率10%)があるとしましょう。 市場が飽和していてこれから将来を考えても100を売るのが精一杯であるときどうするべきでしょう
  • 長期投資の入門 第2回 上場企業の永続性について

    2022-08-09 15:01  

    【億の近道の読者のみなさまへ】 みなさま、こんにちは。 セゾン投信の共創日本ファンドのポートフォリオマネジャーの山本 潤です。 8月に入り猛暑が続いております。どうかお体をご自愛ください。 長期投資の入門ということで、2回目となります。 7月30日の共創日本会議はハイブリッド開催でした。オンラインでは200名を超える方々が申し込みがあり大盛況でした。 この場を借りて御礼申し上げます。 前半部分で音声が小さくてみなさまにはご迷惑をおかけしました。 次回はこのようなことがないようにいたします。【上場企業の永続性について】 株式会社にはあらかじめ決められた寿命はありません。 適切に経営がなされているならば企業は永遠に存続することが可能です。 日本では株式会社は明治時代に導入されました。ですから日本の株式会社の歴史は百数十年程度に過ぎません。ただ、演繹的に考えて、営業キャッシュフロー(事業からの