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記事 46件
  • 長期投資入門 その1 ~スケールメリットとトヨタの30年~

    2023-10-13 21:28  

     30年前といえば1990年代の前半。 バブルが崩壊した時代にトヨタの売上高純益率は一桁前半であった。 2%程度の年が多かった。 純益は1000億円台。 売上も10兆円に満たなかった。 バブル景気がはじけてはいたが、金利も高く、財務内容がよい企業は経常利益の方が圧倒的に営業利益よりも高い時代であった。 財務が投資を担当している財テク時代でもあった。 時価総額はいまの10分の1。 その後、円高にも苦しむが、総じて、業績は右肩上がりであった 近年、トヨタの純益率は大幅に改善し、10%には満たないが一桁後半になっている。 売上が数倍になり、利益率が数倍になったので株価は10倍以上になったわけだが、これがグローバル企業の典型的なパターンのひとつであることはあまり議論されない。 規模の経済が働き、固定費の効率化がなされる。 固定費とはたとえば人件費だが、要するに人は頭が良いので生産性が高まる。 R
  • 年度末に思う

    2023-04-06 14:13  

     人は情熱を失っていない時間だけが真に生きている時間ではないか。 仕事もこなすだけの作業ならばそれは時間を切り売りしているだけで生きたことになるのか。 真に生きるためには情熱を持ち続けて意義あることに果敢に挑戦したい。 そうやって、私は日々深く反省しているのです。 生きる上で次に大事なものは覚悟。 たとえば、ある上場業務スーパーがあるが、彼らは食品工場を自社で多数を有する製販一体型の企業です。インフレ前は冷凍うどん5玉で百円台の価格でしたね。圧倒的な価格と量で消費者から支持を得ているのです。 通常、小売はメーカーを下に見て、返品も平気でします。ところがそれをしない。売れなければ自分でつくった自分が悪い。自社の損失となります。 リスクを受け入れ、覚悟を決めているわけですね。 本当によいものを開発し、圧倒的な商品性を持たせて販売する。リスクを軽減するためには努力に努力を重ねるしかないわけです
  • 村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その4

    2022-12-21 14:57  

    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(4回目)===第3部 情報処理量の増加がMLCC需要拡大の追い風に=自動運転とMLCC(multi-layer ceramic capacitor)= 自動運転の時代です。 情報処理の量が自動運転になると膨大になるのです。 センサーの数が膨大になり、それを瞬時に処理をしなければなりません。 そしてそれを処理するのが論理回路であり、マイコンチップやゲートアレイなどの演算装置(ロジック半導体)です。ゲートアレイは決まった演算を出力するための回路ですが、センサーからの入力信号はI/Oと呼ばれる端子からデジタル情報に直してから演算装置に入って演算装置がその入力データを計算して出力データを生成していくのです。 たとえば、前方に物体ありという情報がインプットされると速度を落とすとかどの程度ハンドルを切るかという情報へとアウトプットされる。減速する
  • 村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その3

    2022-12-16 23:00  

    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(3回目)===第2部 MLCCはさらに高付加価値化へ=MLCCの温度特性と耐圧特性= セラミックは強誘電性で、通常はチタン酸バリウム(BaTiO3)を誘電体として用います。これが高い誘電率を持つことから、温度、電圧、エージングにより誘電率は大きく低下してしまうのです。 セラミックの結晶構造が温度により電子のいたずらで相転移をしてしまいます。そうなると誘電率は大きく変化します。 一方で、二酸化チタン(TiO2)を基材とする非強誘電性(電圧がないときには分極がおきない)セラミックで、その多くはチタン酸ストロンチウム(SrTiO3)およびチタン酸カルシウム(CaTiO3)を添加物として含有したものですが、常誘電性(非強誘電性)のため、温度特性が高いのです。自動車では20年という長期の耐久性が求められます。 ところが温度特性を優先するとやはり
  • 村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その2

    2022-12-12 12:24  

    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(2回目)=== 今後のMLCC事業は大きく展望が開けている状況です。 高い単価が得られる車載向けの数量が急拡大するという見通しが持てるからです。 需要の拡大の背景の理解には、コンデンサそのものへの理解が先決です。 それではMLCCという製品の詳細をみていきましょう。=MLCCの構造= コンデンサは構造的には誘電体(絶縁体)を電極で挟む単純な構造です。 誘電体には物性による誘電率があり、高い誘電率を持つチタン酸バリウムなどが主材料です。 内部電極にはニッケルを使用しています。MLCCはmulti-layer ceramic capacitorの略です。陰極と陽極の違いがない無極性コンデンサです。 電荷Qは内部電極の面積Sと薄さdと誘電率εなどで以下の比例関係式にて決定されます。 QはSε/dに比例(電荷は内部電極の面積Sと誘電率εの積を
  • 村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編その1

    2022-11-30 18:24  

    ===村田製作所(6981)の利益成長力 MLCC編(1回目)====はじめに= セゾン共創日本ファンドの保有銘柄の1つである村田製作所の保有理由の一部をまとめたものです。村田製作所のコンデンサ事業の将来性を感じていただくために執筆いたしました。 第1部で村田製作所のコンデンサ売上の推移やその中核となるMLCCの基本を説明します。海外売上が中心に村田製作所の売上は急拡大していますが、国内売上も頑張っていることをご紹介します。 第2部ではMLCCの高付加価値化の長期トレンドをご紹介します。 高耐圧や高温特性の求められる領域が自動車やロボットでは求められるのですが、長期の業績の強い追い風となることを説明いたします。 第3部では自動運転など、今後、車の情報処理量が膨大になることがMLCCの需要の拡大にどうして結びつくのかをお話します。 今回は、MLCCを中心にお話しますが、バンド数が劇的に増え
  • 長期投資読本 炭化ケイ素パワー半導体業界の展望

    2022-11-23 00:41  

    =長期の技術のトレンドの筋= 長期投資の筋として、製品の付加価値の上昇と付加価値当たりの費用の下落とが共存するイノベーショントレンドがあることをお話しました。 よい長期の技術のパターンその1:表面積が付加価値 表面積が付加価値になっている場合は、触媒や半導体など、界面が作用するケースで、どんどん薄化するとか、小型化するとかすることで、付加価値あたりの費用という相対的な指数(いわゆる比率)を改善することができたのでした。 これは中身が詰まった金属の塊を想定してください。 たとえば銅の塊を極薄に引き延ばすことで箔にすると、どんどん表面積を大きくすることができますね。立方体でその中身は詰まっているイメージ。 よい長期の技術のパターンその2:体積が付加価値 逆に体積が付加価値で表面積が費用の場合、主に空間、中身が空気であるものが多いのですが、段ボール箱のようなものを想定してください。 段ボール箱
  • 長期投資家読本 化学の知識は投資に必要か?その3

    2022-11-15 19:49  

    =教科書の選定 平山令明氏「暗記しないで化学入門」BLUE BACKS 使用する教科書は2021年11月に講談社のブルーバックス シリーズから新調出版された「暗記しないで化学入門」平山令明氏の化学の入門書です。 平山先生は昨年2021年時点では東海大学の生命科学研究所の所長として多くの論文を書かれています。化学教育書も数多く執筆されています。わたしは平山先生の書物はほとんど揃えています。 わたしの一押しの本が平山先生の「暗記しないで化学入門」(本コラムでは以下、教科書と記述します)なのです。是非、手に取って読んでもらいたい本です。電子版もあり、値段は1100円で教科書としてはとてもお買い得です。 日ごろから化学の難しさに頭を痛めていましたので、それが氷解した喜びは大きく、わたしが特別に感銘を受けた書です。 amazonリンク ⇒ https://amzn.to/3G5NfzC このコラム
  • 長期投資家読本 化学の知識は投資に必要か?その2

    2022-11-07 16:08  

    =アナリストにとって文理どちらも重要= 家族を持ち、4人の息子のうち3人が理系であったことから、数学や化学の素晴らしさをみなで語りあう家族との団らん食卓を夢見ていたのです。ところが我が愛妻はジュエリー大好きなピュアな文系です。 先日、NHKのポアンカレ予想の特番を妻が見ていて心配してくれました。 「数学者って大変ね。気が狂うのね。あなたも数学の博士課程で気が狂わないでね」と数学者と狂人を「一般化」するので、「心配しないで。至って平凡なわたしはどうあがいても気が狂うぐらいに数学に没頭する時間もないから安心してください」と言いました。 中央大学理工学研究室のお世話になって10年目。仕事が忙しく数学の研究は遅々として進んでおりません(焦り)。 我が子4人の受験を経験して強く感じるのは日本の教育は数学をやや軽視している印象。たとえば計量経済学などを将来勉強するためには数学なしの受験は好ましくない
  • 長期投資家読本 化学の知識は投資に必要か?その1

    2022-11-02 16:05  

    =はじめに なぜアナリストが化学を勉強するの??= 正直申し上げて、株屋に理系教養は必要でしょうか。 必要ないといえばないかもしれません。 短期の循環(株価の上げ下げ)だけを扱う短期投資では業績の動向とチャート分析だけでもなんとかなるかもしれません。 長期の投資ではどうでしょうか。 こちらも経営者の評価や事業環境など、ビジネススクール的に物事を整理するだけで十分かもしれません。競争優位論やブルーオーシャン戦略といったものでなんとかなるのでしょう。 ですが、どうしてもなんとかならないところがあります。 それはバリュエーションのところで、今回の読本では書けないところですが数式が多数出てきます。 教養(本コラムでは理系の教養)は将来の展望を見通すときにどうしても必要になります。業績の手前の部分、ビジネス・デベロップメントを技術評価するとき、世の中の情勢はこうだから、こういう要素技術とこういう経