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  • 為替市場動向~気がつけば、じわじわとドル高円安~

    2018-10-05 13:25  

     日本では半期末、そして今年の第3四半期が終了し、最終四半期が始まりました。  そんな9月最終週、イタリアの財政拡大を巡った混乱から、イタリア国債が売られ、対ドイツ国債利回りとの10年ものスプレッドは2%台の半ばから3%に拡大、通貨ユーロ、欧州株が弱い展開となりました。  報道によると、イタリアの財政計画で、財政収支対GDP比は2019年でマイナス2.4%になり、EUの定めるマーストリッヒ条約の基準(財政赤字対GDP比3%以内)には収まっているものの、赤字規模が今年4月に前政権が出した見通しの2%を上回っていて、19年以降も改善しない見通しとなっていることから懸念が広がった格好です。イタリア現政権の財政計画は、これまで心配されてきましたので、「やはり」の印象があります。  直近、本日10月3日のイタリア紙で、政府が2021年に向けて2%へ近づけていく方針を来年度予算案に盛り込むとの報道
  • 為替市場動向~動き乏しいドル円相場~

    2018-09-21 15:41  

     報復には報復、とばかりに米中貿易摩擦が収まるどころかエスカレートする中、このところの金融市場はリスクオンの動き。株式市場では、ニューヨークも上海も、更に日経平均も強い。為替市場では、ドル安・円安と言うリスクオン時のパターン。  米中貿易摩擦問題のインパクトが薄れてきたのもありますが、13日にトルコ中銀の予想を上回る大幅利上げ以来、トルコ・リラ安懸念が一服して、新興国通貨、株もリカバーしてきたことが安心に繋がっていると思われます。  リスクオンの市場心理を背景に、9月に入ってからの円相場は円安で動いています。と言っても、値幅は大きくはないのですが。ブラジル・レアル、南アフリカランド等幾つかの例外を除き、殆どの通貨に対して円安です。  ドル・円相場は、111円05銭に始まり、安値110円38銭、直近がほぼ今月の高値である112円30~40銭台で、未だ高値を示現した年初の113円39銭を抜
  • 為替市場動向~真夏の悪夢かトルコ・リラ急落~

    2018-08-24 13:23  
     8月のマーケットには、「真夏の悪夢」と喩えられる出来事があると言われて来ましたが、今年はトルコ・リラ・ショックでしょうか。  8月10日(金)週末から13日の月曜日にかけて、トルコリラが一日の動きとしては歴史的とも言える急落となりました。  トルコが拘束した米国人牧師の取り扱いについての米国とトルコ間の交渉行き詰まりから両国の関係悪化が表面化するなか、10日のトルコ・リラ対円では、19円97銭から始まった相場が、英国フィナンシャルタイムズ紙の「欧州金融当局がスペイン、フランス、イタリアが持つトルコへの債権リスクを懸念」の報道をきっかけに、まずユーロが売られ、その後、トルコ・リラが安値17円台まで売られました。  次に追い打ちをかけたのが、トランプ大統領です。  トルコから米国への鉄鋼・アルミへの関税を2倍にするとツイートしたことから安値16円11銭2.5厘まで売り込まれました。  週が
  • 為替市場動向~日米通商協議や季節要因で様子見?~

    2018-08-10 15:39  

     事前に諸説あった日本銀行の異次元緩和の修正内容が7月31日にオープンになりました。  一部報道機関が事前に観測記事として出していた、 1)長期金利の誘導目標である「イールドカーブコントロール」の修正(±0.1%を2倍に拡大) のほか、 2)マイナス金利適用の政策残高を半減 3)政策金利に新たに「フォワード・ガイダンス」を導入して、現在の長短金利水準を来年秋の消費税再引き上げ後の状況が落ち着く迄、維持すること を示したのは周知の通りです。  10年物の日本国債は、2016年には一時マイナス金利での推移もありましたが、イールドカーブコントロール政策以来、過去約2年、ほぼ0.02~0.07%程度のレンジ内で推移してきましたが、今回の決定以来、ほぼ0.10%程度で落ち着いています。  今回の修正に対する直後のドル円相場の反応は、むしろ円安でした。  市場の受け取り方は、「出口が近い」ではなく
  • 為替市場動向~金利上昇相関のドル高~

    2018-05-18 21:49  
     米国の金利上昇が続いています。  10年国債は2011年7月以来の約7年ぶりに終値ベースで3.07%をつけました。  株式市場は、金利上昇への嫌気もあり、反落。  為替市場は、金利の動きに相関してドル高反応を強めました。  昨日5月15日に発表された米国の小売売上高が2か月連続プラスであったこと、加えて3月の数字の上方修正への反応で金利上昇の動きが加速しましたが、アジア時間帯から米債利回りの上昇の動きが出ていました。弾みがついている印象です。  4月27日に発表された米国の第1四半期のGDP速報値は、前期比年率+2.3%で市場予想よりも良かったものの、昨年の第4四半期の+2.9%からは鈍化を見せました。  一方で、インフレ率は、原油高の影響もあって高止まり傾向です。  この状況から、金融政策正常化プロセスである政策金利上げは今後も予定通り行われ可能性が高いと思われます。  これで、さら
  • 為替市場動向~新年度入りもレンジ相場継続?~

    2018-04-08 03:31  

     桜の花びらが散る中、日本では新年度が始まりました。  海外からは「貿易戦争」懸念、一方、安定政権が続いてきた国内政治の混迷懸念もあり、明るくない環境でのスタートではありますが、氣分改め良い年度にしていきたいものです。  株式相場は、1月から月足が陰線続きに加えて乱高下激しいワイルドな動き。  同様に、ドル円相場も1月から月足は陰線続きで、3月期末106.28というサポートの節目105円を辛うじて耐えた場所で終わりました。  日米の政治リスク、とりわけ米国政府が通商政策で「どんなカードを出してくるか分からない」不安を考えると、円高への警戒感は引き続き続くことが予想されます。かつての日米貿易摩擦の時代とは状況は異なりますが、やはり輸出企業の業績への影響が心配されます。  また、例年は3月には期末要因で円高になる傾向があり、新年度入りで新規の外債投資も入り反動が入るという傾向がありましたが
  • 為替市場動向~FRB新議長の初登場はタカ派で~

    2018-03-02 10:00  

     市場波乱と冬季オリンピックに揺れた2月も末日となりました。  株式市場は、2月中旬を当面の底になるのか戻りを試しているように見えます。  一方で、株式市場下げのきっかけとなった米国長期金利の利回りは大きく変化しない中で、注目されたのが昨日のFRB新議長であるパウエル氏の議会証言でした。  先週21日に発表された1月のFOMC議事録(イエレン議長最後のFOMC)の声明文では、利上げに関して『「更なる」慎重な利上げ』の継続が明記されていました。  「更なる」という言葉の追加は、景気に対する見通しの引き上げ、金利上げ路線を維持するというFRBの意図を示したのではないかとの推測が多数をしめました。  2017年の3回利上げに引き続き、2018年も3回利上げをするだろうという予想が大半を占めました。一方で、1月の雇用統計での賃金上昇から始まったとも言えるインフレ懸念は加速を見せているわけではな
  • 為替市場動向~通商問題発言からの米ドル安の流れ~

    2018-02-16 23:21  

     2月2日に発表された米国の1月雇用統計における賃金上昇率の加速をきっかけにして、インフレ懸念→長期金利の急上昇→資産価格の割高感→水準修正の動きへと連鎖。もともと高所に居た米株式市場の大反落と共に、リスクオフの株安が世界的に広がりました。  債券安・株安の動きが支配的になってから約2週間になりますが、未だVIX(恐怖指数と呼ばれる変動率)も高値に張り付き、心理的にリスク敏感な地合いが続いています。  一般的に、投資家がリスクオフを選好する中では、為替相場は円高ドル高基調であることが多いのですが、昨日までドル円相場は108円でサポートされて不思議な位静かな動きが続いていました。不思議な静けさの後には何か来るもので、日本の連休明けを襲ったのがトランプ大統領の通商問題への言及。これで一気にドル安・円高に動きました。  元々、トランプ政権の公約の中にはアメリカ第一主義、通商問題もアメリカ優位
  • 為替市場動向~米利上げ直前、静かなドル高基調~

    2017-12-16 12:56  

     師走も半ばに近づき、来週末はクリスマス。  海外のクリスマス休暇や年末が意識される今週、注目イベントが予定されています。  米国では、米利上げが確実視されるFOMC(連邦公開市場委員会)(発表は日本時間14日未明)と税制改革法案審議の行方、そして、明日は欧州中銀(ECB)理事会、英国中銀(BOE)理事会が予定されています。  今回の米FOMCでは、以前から0.25%の利上げは確率100%と確実視されています。  逆に利上げがなければ大事件となるでしょう。  今回の注目は、来年の利上げ継続がどの程度表明されるのかにありそうですが、終了後に記者会見するイエレンFRB議長は2018年3月にパウエル氏に交代しましすので政策に大きく影響するような目新しい発言をするとも思えません。  一方で、今回のFOMCでは理事による経済見通しドットチャートが(匿名で)発表されます。特に、これまでも注目されて
  • 為替市場動向~怒涛の9月から10月は?~

    2017-10-05 14:55  

     北朝鮮を巡る地政学的リスク、自然環境の猛威にさらされた米での巨大ハリケーン被害、そしてメキシコで起こった連続大地震など、様々なノイズが市場を騒がせた怒涛の9月も過ぎ、10月が始まりました。  今年の9月は星座の動きで大きなエネルギーの影響があった時期とも聞きました。毎日のニュースも材料ですが、マーケットは、宇宙の森羅万象に影響されるとも言えます。  9月の外国為替市場での主要通貨対米ドルのパフォーマンスは、対ドル上昇トップは、英ポンド(+3.3%)ニュージーランド・ドル(+0.4%)位で、前半リスクオフでドル安傾向もあったものの、終わってみるとドルが反発して終了しました。  ドル円相場は、様々なリスク回避の事象により瞬間107円前半もつけたものの、一夜にして急速に切り返し反騰、9月は3か月ぶりにロウソク足チャートの月足陽線引けで終わりました。  北朝鮮との摩擦が軍事リスクに発展する可