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ヘッジ付き外債
2016-10-12 00:51生保は長らく外債投資をヘッジ付き外債という手法で行ってきた。 これは例えばドルを購入してドルの債券を買うのでなく、3ヶ月ぐらいのスワップでドルを調達(借り入れて)債券を投資する手法を言う。これだと調達コストがかかるのだが米国10年債利回りが1.7%であれば、調達コストを差し引いても、日本国債の利回りを上回ればよしとしてきた。 それがドルの調達コストが上昇し、最近は1.8%ほどあるようで、10年債の利回りを超えてしまう。そうなると為替差損回避のためのヘッジ付き外債は意味が無くなるので、生保はドルを現物市場で購入してそれで米国債に投資しているのではないかとの話が市場に出回っている。 100円付近を買っていたのは、このような長期投資化のドル買いといわれており、100円をサポートしたドル円は、米長期金利の上昇、それにもかかわらず株価が高止まりしていることを受けて一時104円台前半に上昇し -
市場潮流
2016-10-03 15:06今週(9月26~30日)の国内株式相場は、日経平均株価が週間で304円18銭(1.8%)下落し、1万6449円84銭で取引を終えました。 2週間ぶりの下落です。 ドイツ銀行が米司法省から巨額の和解金支払いを求められたうえ、米主要メディアが「複数のヘッジファンドがドイツ銀行の経営体力を懸念し、資金を移している」と報じたことなどから、金融システム不安が再燃。 日銀が金融政策に新しい枠組みを導入したことも、「金融緩和の縮小ではないか」との見方も浮上、投資家心理が悪化しました。 一方、石油輸出国機構(OPEC)が28日、予想に反して原油生産の減産で合意したことで、29日は資源株が急伸。しかし、週末30日は、29日の米国株式市場でドイツ銀行株が急落したことを受け、日経平均株価も243円安となりました。 来週は、日経平均株価で、1万6000円~1万6500円のレンジでの推移を予想します。 -
為替市場動向~今日は2大イベント開催~
2016-09-23 12:04言うまでもなく、今日は9月の最注目イベント、日&米両国の金融政策決定会合の同時開催日です。 日銀の政策結果発表と黒田総裁の記者会見、その後日本時間22日午前3時に予定されているFOMCの結果発表、と滅多にない同日開催日程です。 今週に入ってからの市場は、日本の連休、また半期末前ということも影響してか、様子見に徹している向きが大勢です。現在(13時)日銀の政策結果の発表 が長引いていることから、市場では期待が高まっているようですが、このコラムに記述するには間に合わないので、結果には触れずにおきますことをお断りして おきます。 さらに、日銀の結果が出ても、米国FOMCの決定が出るまでは動きづらいことと思います。 8月のジャクソンホールでのFRB議長イエレン氏、また主要理事たちの「数か月以内の利上げの可能性」言及から、9月の利上げ観測は出たり入ったりを続けてきました。 その間、米国 -
為替市場動向~日&米の同日金融政策決定、どちらも何も出ない?~
2016-09-08 17:06米国の利上げ観測は、8月中旬に急浮上し、その後26日で行われたイエレンFRB議長講演を後方支援するようなフィッシャー副議長の利上げへの強いメッセージから盛り上がり期待が高まりました。 そんな中、昨日発表されたISM非製造業景況指数の数字が予想外の6年半ぶりの低調さを示したことから急速に後退。一時は104円台乗せまであったドル円相場は今朝の東京市場で101円台前半まで戻してきました。 ドル円相場が下方へ戻した背景にあったのは、米国の経済指標による利上げ期待後退に限らず、日本サイドにもありました。日銀理事会内で検証をめぐって意 見対立が深刻になっているとの一部報道で、9月20~21日に予定されている政策決定会合では何も決定できないだろうとの見方も出たことも重なりました。 また、その前日出た浜田内閣官房参与による「日銀はFRBの決定前に追加緩和を決定すべきでない」という趣旨の発言も10 -
為替市場動向~9月になれば動く?~
2016-08-25 14:14世の中的には、オリンピック、高校野球などのイベントも終了し、今年も夏休みが終盤となりました。薄商いが続いていた市場も、そろそろ参加者回帰で活気づくか?と期待したいところですが、いやいや、薄商いは夏休みのせいだけじゃない、のが本当のところかもしれません。 そんな中、目先の材料は、再び(性懲りもなく?)米国の追加利上げ。そのヒントになる発言が出るかもしれないFRBイエレン議長のジャクソンホールでの講演(8月26日)。彼女の発言内容によっては、利上げ期待を高める可能性があるとされています。 直近のFOMC(米・金融政策決定会合である連邦公開市場委員会)の議事録では、雇用状況の改善、海外要因(特にBrexitの影響)による不確実性が 減った、との2点が注目されたものの、マーケットの反応は利上げを織り込みでドル高に動くより、逆にドル安が進みました。 その後のニューヨーク連銀総裁ダドリー氏の -
為替市場動向~政策期待で楽観?~
2016-07-15 01:19英国のEU離脱を決定した国民投票直後の混乱は一旦沈静化したかに見えましたが、先週、マーケットは再びリスクオフの動きになりました。きっかけは、英国 で不動産ファンド解約が続いていることや企業マインドの悪化が起こっていること、加えて、イタリアの銀行の不良債権問題がクローズアップされたことでし た。 先週末の東京市場は、リスクオフ再びの株安、円高で米雇用統計待ちになりました。 8日夜発表の6月米国雇用統計は、予想を大幅に上回る非農業部門の雇用増でニューヨークダウは大幅高でリスクオフが和らぎ円高も反転と思いきや、ドル円 相場は直後100円台から101円台へちょこっと乗せただけで、その後は一転100円割れを瞬間演じるなど、円高基調の強さを見せつけられる展開となり、 日本の参院選結果を待つことに。 主要通貨の対米ドルの動きをBrexit直前を起点に先週末まで見てみると、上昇はダントツの日本円5. -
Rの敗北
2016-06-28 18:00先週は大きく揺れた週末となりました。 よもやの英国のEU離脱という国民投票の結果を市場は重く受け止めて世界で最も早くその結果を知った日本株に衝撃的な売りが浴びせられたことは皆さん承知のことと思います。 海外要因とは言え、専門家から語られる話はこれから世界経済に及ぼす影響はリーマンショック以上のものとなるなどと言われ、為替が一気に1ドル=100 円割れの円高になり、つれて日本株も売られるという構図で持っている株を売らざるを得ないという悪夢のような出来事がわずか数時間のうちに起きました。 LEAVE(離脱)とREMAIN(残留)の戦いで結果としてRが敗北し、俗に言うブリグジットショックが現実に起きたことで世界の株式相場は今後しばらくは経済の動向を見据えた神経質な展開を余儀なくされることになりそうですから、早計な行動は避けないとなりません。 とは言え、たった1日で日経平均は1200円以上 -
為替市場動向~5月のドル円相場、GWの波乱からの戻りは本物?~
2016-06-02 13:355月はゴールデンウィークのドル円波乱相場から始まりました。 日本の金融追加和期待の肩透かし、その直後には、米国の財務相による為替報告書で「監視リスト」掲載といった材料も追い打ちとなり、一時は1年7か月ぶ りの105円台(105.55)安値に急落。大型連休中で薄い東京市場をもて遊ぶように投機筋が暗躍、下げを加速したようです。 連休明けの麻生財務相の再三の介入発言による相場反発。また、中盤には米国の再利上げが今後2ヶ月の内に行われる可能性が浮上。FOMC議事録やイエレ ン議長を含めたFRB当局者たちの発言が繰り返されました。伊勢志摩サミット後の日本当局の政策期待も多少はサポートになり、重要な抵抗線の一つ111円 台まで直近で戻してきました。 アジア市場を始点終点とすると、5月の始値は106円30銭、終値は111.06(東京時間18時)。これを書いている時点では、チャート的に4月の大きな陰 -
市場潮流
2016-04-25 17:19今週(4月18~22日)の国内株式相場は、日経平均株価が週間で724円46銭、率にして4.3%上昇しました。2週連続の上昇です。 週初は円高と原油安の進行、熊本など九州で相次ぐ地震への懸念などから、大幅に続落して始まりました。しかし、19日(火)以降、米国株式相場の上昇、円安傾向などを好感して回復に転じ、22日(金)まで4日続伸して、1万7572円で取引を終えました。 22日には「日銀が金融機関への貸し出しにマイナス金利の適用を検討」との報道もあり、日銀の追加緩和への期待が拡大。銀行株や不動産株が買われたほか、外為市場で1ドル=110円台まで円安が進行し、輸出関連株も買われる展開となりました。 「1万7000円を超えると上値は重い」とみていた筆者にとっては意外な株式相場となりましたが、来週の焦点は日銀の金融政策決定会合(27~28日)と考えます。 国内景気のもたつきに加えて、九州で -
為替市場動向~急激なドル円下げ、反発も上値は限定?~
2016-04-14 13:104月12日に原油相場の指標WTI原油先物相場が年初来の高値42ドル台をつけてきたことから、リスクオフが続いた相場もやっと『オン』の動きが見られました。 一時107円台をつけたドル円相場も108円台の後半まで、日経平均株価も本日の前場終値16,300円台に戻しました。多くの年で株式が高値をつけるとされる定説5月への動きなのか、一時的な調整なのか? 新年度に入り、日銀短観が示した景気下振れ、企業業績の悪化懸念、米国の利上げ期待への低下、世界の首脳の一部の税逃避話漏えいのスキャンダルまで出 て、リスク取りに消極的、上値が重い状況が続きました。それでもドル円相場はレンジ内弱含みながら、心理的下限110円を何とか保ってはいました。 しかし、弱気心理を現実の動きにしたのは、4月5日の安倍首相の米紙インタビュー記事。通貨安政策と恣意的通貨介入を否定する趣旨の発言で一気に107円60銭台まで付ける
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