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記事 24件
  • 長期投資入門 その1 ~スケールメリットとトヨタの30年~

    2023-10-13 21:28  

     30年前といえば1990年代の前半。 バブルが崩壊した時代にトヨタの売上高純益率は一桁前半であった。 2%程度の年が多かった。 純益は1000億円台。 売上も10兆円に満たなかった。 バブル景気がはじけてはいたが、金利も高く、財務内容がよい企業は経常利益の方が圧倒的に営業利益よりも高い時代であった。 財務が投資を担当している財テク時代でもあった。 時価総額はいまの10分の1。 その後、円高にも苦しむが、総じて、業績は右肩上がりであった 近年、トヨタの純益率は大幅に改善し、10%には満たないが一桁後半になっている。 売上が数倍になり、利益率が数倍になったので株価は10倍以上になったわけだが、これがグローバル企業の典型的なパターンのひとつであることはあまり議論されない。 規模の経済が働き、固定費の効率化がなされる。 固定費とはたとえば人件費だが、要するに人は頭が良いので生産性が高まる。 R
  • 自己株買いの意味

    2022-05-25 15:56  

     発行済み株式数が膨らんだ結果、需給が悪化し株価が低迷。こうした事例が相次ぐ中でその需給悪を改善するために多くの企業は自己株買いを実行することになる。 過去において発行した株式を一旦買い戻すことを自己株買いと称し多くの企業が日常茶飯事的に行っている。特にキャッシュリッチな会社で市場での評価が低いと経営者が判断した場合に打ち出される施策である。 1兆円の自己株買い策を打ち出したソフトバンクGの孫社長がその代表である。1万円以上の株価が今は5000円前後。どのタイミングで自己株買いを行っているのかは不明だが、下振れ局面での下支えになっているものと拝察される。 これに限らずトヨタ(7203)も一旦5月で終えた自己株買いを6月17日から再び実施するとの話。 時価総額が大きい日本を代表する株価意識の強い企業の施策が自己株買い。 株価を堅調に推移させて継続的な評価の維持、向上を図ろうとする企業にとっ
  • 大型連休の狭間にて

    2022-05-06 18:32  

     GW連休の前半が終了し本日は狭間となる一日です。 皆様のGWの過ごし方はいかがでしょうか? 少し肌寒い日々がまだ続いてきましたが、後半は天気も良くなるそうですから大いに大型連休をお楽しみ頂くと良いかと思います。 株式相場は円安に原材料高、原油高が加わり、おまけにインフレ傾向対策から金利引き上げ気運もあり米国株の大幅調整まで加わり日本株も元気がありません。 ここは休むも相場。しばし株のことは忘れてGW休暇を楽しんで下さい。 いやいや休暇より株だという方は本メルマガもご愛読下さい。 株価の調整局面こそチャンスだと思われているのかも知れませんが、それでもこの調整局面での投資はなかなか大変です。銘柄分散、時間分散などリスク分散が必要な株式投資ですが、どうやって高値で買った株の処理をするのか、なぜあの株やこの株をあの高値で買ったかなど悩ましい状況が続いているのかも知れません。 特にグロース市場銘
  • 自己株買いの考察

    2022-04-28 13:06  

     株式市場は2つの世界的な恐怖に襲われたため、不安感の下で相場の調整が続いている。 株式相場には全体相場だろうと個別株相場だろうと山と谷があり、この変動を横目に市場に集まっている投資家にリスクとリターンをもたらすことになる。 変動は上にも下にも行くことになるが過去の平均値を下回り、どこまで下がるのか分からない投資家は投げもあって中途半端には手が出せずにボトムを確認するまでは買いを手控えることになる。 そうなると相場は悪循環となる。指標面では明らかに割安だと思えても投げが投げを呼ぶため株価は想定外に下げることになる。 DX関連、ICT関連銘柄など一連の新興市場銘柄の下落などはまさにこうしたパターンで変動してきた。 反対に過去の平均的な株価水準を上回り買い人気が続くと反対にどこまで上がるのかが読めずに売りの手が引っ込み、それを見た買い方の勢いが増して途方もない株価がつくこともある。 こうした
  • 市場潮流

    2021-08-24 13:36  

     今週(8月16~20日)の東京株式市場は、日経平均株価が週間で963円90銭下落し(率にして0.56%の上昇)、2万7013円25銭で取引を終えました。3週ぶりの下落です。 週初から、新型コロナ感染者数の連日の急増が意識され、16日(月)は日経平均株価が前週末比453円安と大幅に下げ、営業日ベースで3日続落。 続く17日(火)も、前日比98円安となり、4日続落。 18日(水)は中国・上海や香港の株式相場が堅調に推移したことなどが好感され、同161円高と5営業日ぶりに反発。 19日(木)は、前日に公表された7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事録で、年内のテーパリング(量的金融緩和の段階的縮小)開始が議論されたことが明らかになったことから、米国株が下落。国内では14時半過ぎには、「トヨタ(7203)が9月の世界生産を計画比で4割減らす」とのニュースが流れ、日経平均株価は同304円安
  • 株価低迷が続く過去プレミアムがついた銘柄群

    2021-07-22 09:32  

     株式市場は個別銘柄が集まって構成されその平均値が算出され日経平均やTOPIXといった指数が関心の的としてニュースでも話題になります。 コロナショックで日経平均は1万6000円台まで急落しました。 その際はニュースメディアが伝えていましたね。でも決してメディアではその大きく下げた時に株を買えとは言いません。 メディアの役割は中立的にその相場の動向を忠実に伝えることにありますから当然です。でもなあ。あの時誰かが買えと言ってくれたらなあ。なんてわがままなことを冗談めいて言う投資家もお見えかも知れません。 あの時の出来事を未だに覚えているという投資家はどの程度お見えでしょうか。 確かにあの時の安値であの株を買っていたらと思うと大きなチャンスを逃したと悔しい思いに駆られるのかも知れませんがそうしたチャンスは全体相場がそうならなくても個別銘柄では既にジワジワと押し寄せているのかも知れません。 皆さ
  • 自己株買い

    2021-07-14 15:10  

     企業が発行した株式を市場の内外で買うことを自己株買いという。 株式市場では日常茶飯事にこうした自己株買いは行われている。 この施策は取締役会での決議で実行されるので比較的容易に打ち出せる施策だと言える。 投資家は様々な理由で個別銘柄に投資されているかと思うが、市場の需給が悪化し投資した時から大きく値下がりをした余裕ある企業に対して期待したいのは継続した利益成長や成長施策の打ち出しだけではない。企業価値以下で取引される状況が続くのであれば経営施策として自己株買いは有効だ。 直近ではトヨタ(7203)が上限41百万株、上限2500億円、の自己株買いを9月末まで行うと発表。既に6月中は220万株、21.5億円の自己株買いを行った。 平均単価は9773円。市場内で買うことになるためこのところの株価は全体相場がどうであれ結果としては底堅い。 しかも9月末には5分割というイベントが待っている。 私
  • 祝!?トヨタ株1万円台乗せ!!

    2021-06-09 14:23  

     5月12日の発表以来、わが日本が誇る最後の産業の砦とも言うべきトヨタ(7203)の株価が堅調に上昇。日本の経済や社会を語る時、トヨタを抜きには語れない。 社会や歴史の教科書にも登場する自動織機を発明した豊田佐吉に端を発して今日では世界の自動車メーカーの頂点に立っているトヨタグループ。その創始者の誕生日は1867年3月19日。その誕生から154年を経てトヨタグループの中核企業となるトヨタの株価がもう間もなく1万円の大台に乗せようとしている。(タイトルは株価1万円を先取りしたもの。明日にでもこの1万円台乗せは実現するだろう。) 5月12日の発表というのは9月末に5分割を実施するというもの。 つまり1万円という株価がついてもそれは5分割後に2000円になるわけで目の前の1万円は既に分割後の株価2000円を頭に入れたものとなっている。 実はトヨタは6月18日から9月末までに上限4100万株、上
  • 時価総額をめぐる戦い

    2021-03-03 01:22  

     上場企業は様々な経営課題と戦っている。 基本的な主たる戦いはどうやって業績を向上させるかだが、それは株主(オーナー経営の場合は自らの資産に反映される)に報いるためであり、これから投資してくれる投資家を導くためでもある。 業績は単に表に出る売上や利益といった数字だけでなく未来に向けた布石(=投資)も含んでいる。業績向上の結果として株価は変動を見せる。 ネガティブな評価がなされたり、ポジティブな評価がなされたりと四半期ごとの業績が株価変動の源泉となり株主にとっては悲喜こもごもの結果につながる。 株価が変動するということでその結果、時価総額も変動することになるのは自明のこと。 現在の日本最大の時価総額企業は26.4兆円の世界最大の自動車メーカー、トヨタ(7203)だが、日本最大の時価総額と言っても米国には更に上をいくEVメーカー、テスラが存在しトヨタのはるか上をいく時価総額(80兆円)となっ
  • 時価総額上位を見るか下位を見るか

    2019-06-26 22:03  
     最新号の会社四季報では日本の株式市場には3739社の企業が上場しているようですが、皆さんはその中からどんな銘柄を対象にして売買されていますか。 株式市場での企業の評価は株価という具体的な数値で様々になされていますが、そうした株価だけを多くの投資家の皆さんは考えて取り組まれているものと思います。 そうした株価と発行済み株式数の掛け算が時価総額。以下の数式ですぐに出て参ります。 発行済み株式数(除自己株)×株価=時価総額 市場全体の時価総額は現在、およそ600兆円ですが、このうち日本最大の時価総額となっている企業は皆さんよくご存知のトヨタ(7203)で約22兆円となっています。 トヨタのグループ企業にはデンソー(6902)や豊田自動織機(6201)、アイシン精機(7259)、豊田通商(8015)といった時価総額が1兆円を超える企業が数多くあり、それらを合わせたら日本の株式市場の5%はトヨタで